VOL.149 記者雑感 From 気仙沼 食品の不思議 あちこちに

「食品の不思議 あちこちに」

気仙沼市の人口は、住民基本台帳の上では7万人弱。市外の仮設住宅や親戚の家に暮らしながら住民票を移していない人が多いのでかなり不正確だが、各務原市の半分以下で羽島市より少し多い。
その規模の街としては、大資本ではないスーパーが健闘している。「マルホン」「ジャンボ」「片浜屋」などなど。蘇原の「サンマート」に近い形態だ。規模のメリットはないはずなのに、とにかく安い。
営業を再開した飲食店は少ないし、40歳になった今、体調が気になる。単身赴任ながら、できるだけ自炊をと心がけている。情けない話だが、せめてネギぐらいはきらさないようにと。
7月上旬、ある地元スーパーに行った。白ネギが一把158円。値段は納得。かごに入れようとして「千葉産、福島産」と書いてあるのが目に入った。手を止めた。福島? 産地が複数なのに何で一つの箱に入れるの? その店でネギは買わなかった。
この店は正直なんだろう。放射性物質に無関心なのか、知っているから千葉産と混ぜたのか、国の基準を信じているのか。そして自分がやったこと、またそれを書いていることが風評被害につながるのか。何度も考えたが、またしても分からない。
ただ、いくら食品の放射性物質を検査して100ベクレル以下でも、それを食べ続けたた結果の内部被爆について「大丈夫」とは誰も保証していない。名古屋に住む37歳の妻は、「海藻も危ないんでしょ。できるだけ食べないで」と言う。
気仙沼市は7月、市民が持ち込む食品の放射性物質検査を始めた。2週間で100ほどあった。採れた物と場所、そして結果は、数日おきにHPと週3回の記者会見で発表する。キャベツやタマネギなど、自分で育てて自ら食べる農産物が大半なのに地域性を感じた。
おかしかったのが、果実酒(さるなし)と、果実酒(山ぶどう)。「採取地」は市民の森となっている。市民の森に酒を売る施設はない。市有地で植物を採って焼酎かリキュールに漬けたんだろう。そんなことは持ち込んだ人が言わないと市側も分からない。また「正直だなあ」とうなってしまった。なお、「さるなし」は地元のベテラン記者も知らなかった。
震災がなければ素朴な場所だった。そう思う反面、不思議に感じることもある。スーパーではマイバッグをまず見かけない。レジ袋が当然。アイドリングストップ、という考えもあまりない。もらえる物はもらい、使える時に使っておけ、というやり方なのか。それは震災があったからか。誰かに聞きたいが、機会を捉えられずにいる。

NO338:市内の山間部に水産課工場を作る業者も現れた。沿岸の加工団地にも誘われたが「津波が来ない所でないと商売を続けられない」と断った。7月24日。

 

「食品の不思議 あちこちに」

気仙沼市の人口は、住民基本台帳の上では7万人弱。市外の仮設住宅や親戚の家に暮らしながら住民票を移していない人が多いのでかなり不正確だが、各務原市の半分以下で羽島市より少し多い。
その規模の街としては、大資本ではないスーパーが健闘している。「マルホン」「ジャンボ」「片浜屋」などなど。蘇原の「サンマート」に近い形態だ。規模のメリットはないはずなのに、とにかく安い。
営業を再開した飲食店は少ないし、40歳になった今、体調が気になる。単身赴任ながら、できるだけ自炊をと心がけている。情けない話だが、せめてネギぐらいはきらさないようにと。
7月上旬、ある地元スーパーに行った。白ネギが一把158円。値段は納得。かごに入れようとして「千葉産、福島産」と書いてあるのが目に入った。手を止めた。福島? 産地が複数なのに何で一つの箱に入れるの? その店でネギは買わなかった。
この店は正直なんだろう。放射性物質に無関心なのか、知っているから千葉産と混ぜたのか、国の基準を信じているのか。そして自分がやったこと、またそれを書いていることが風評被害につながるのか。何度も考えたが、またしても分からない。
ただ、いくら食品の放射性物質を検査して100ベクレル以下でも、それを食べ続けたた結果の内部被爆について「大丈夫」とは誰も保証していない。名古屋に住む37歳の妻は、「海藻も危ないんでしょ。できるだけ食べないで」と言う。
気仙沼市は7月、市民が持ち込む食品の放射性物質検査を始めた。2週間で100ほどあった。採れた物と場所、そして結果は、数日おきにHPと週3回の記者会見で発表する。キャベツやタマネギなど、自分で育てて自ら食べる農産物が大半なのに地域性を感じた。
おかしかったのが、果実酒(さるなし)と、果実酒(山ぶどう)。「採取地」は市民の森となっている。市民の森に酒を売る施設はない。市有地で植物を採って焼酎かリキュールに漬けたんだろう。そんなことは持ち込んだ人が言わないと市側も分からない。また「正直だなあ」とうなってしまった。なお、「さるなし」は地元のベテラン記者も知らなかった。
震災がなければ素朴な場所だった。そう思う反面、不思議に感じることもある。スーパーではマイバッグをまず見かけない。レジ袋が当然。アイドリングストップ、という考えもあまりない。もらえる物はもらい、使える時に使っておけ、というやり方なのか。それは震災があったからか。誰かに聞きたいが、機会を捉えられずにいる。

 

NO338:市内の山間部に水産課工場を作る業者も現れた。沿岸の加工団地にも誘われたが「津波が来ない所でないと商売を続けられない」と断った。7月24日。

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1675:15年連続でカツオ水揚げ日本一の気仙沼漁港。今年も入港が始まった。6月6日。

 

 

 

 

 

 

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2001:宮城県で震災後唯一海水浴場を再開した大島の小田の浜。海岸は津波で三分の二がなくなった。7月21日。

 

 

 

 

 

012056:津波で海中に流れ出た石油タンクの回収作業。22基のうち19基目だ。20基目の引き揚げ作業中の7月28日には爆発事故が起き、潜水士1人がけがをした。7月26日。

 

 

 

プロフィール

現役新聞記者(宮城県・気仙沼在住)
私のいる事務所兼住居は、1階の浸水のみですみましたが、3軒隣の警察署も、少し離れた小学校も解体です。節電といわずとも、家の周辺は真っ暗。人がいないから…街灯もいらないわけで…これから、気仙沼で自分の見たまま感じたままをお届けします。





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情報誌情報

創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

配布地域

岐阜県各務原市、岐阜市、関市、可児市、大垣市
設置場所

幼稚園、図書館、児童館、郵便局、教育関係などの公共機関、 大手スーパー、スポンサー様の窓口