VOL.150 医食住 暮らし上手!医 今からでも遅くない 放射能から身を守る3原則

今からでも遅くない 放射能から身を守る3原則

原則ー1 測る
食品、給食、土壌、水…、何でも実際に測ってみれば、ほんとうに「何が安全か」「安全でないか」があきらかになり、不安を払拭できます。
まずは、事実を冷静に知ること。すべてはそこからです。
今後、私たち大人がするべきは、何事もなかったかのように振る舞って問題から逃避したり、いたずらに不安になることではありません。事実を知り行動することです。

原則ー2 避ける
放射能汚染問題で私たちがこれから特に長期にわたって気をつけるべきは、内部被ばくです。微量でも汚染された食品や飲み物は、口にしないよう避けていく必要があります。「上手に避けるための智恵」を身につけることが大事です。

原則ー3 動く
自分たちで情報を集める、測定する、自治体に働きかける。そうして具体的に動くことで、状況は変わっていきます。
規制数値超えはもちろん、たとえ少しであろうと、汚染されているかどうかという、不安と疑いを持ちながらものを食べるのはつらいことです。何をどの程度食べたら危険なのか、それすらわからないのです。
今、私たちを悩ませているのは、この「わからない」ではないでしょうか。
どうせわからないのだから、考えたって仕方がない、と思うのは間違っています。分かるように努力することは、誰にでも出来ます。
あきらめず、目を背けず!放射生物質は、測って避ければいいのです!

Q-放射性物質は水洗いで落ちるというのは本当?

Q-放射性物質は水洗いで落ちるというのは本当?いちごは洗うと傷みやすいのでケー キ屋さんでは洗わないで使っていたり、レス トランでは、野菜は洗わずに使うところも多 いと聞きました。外食したり、ケーキを買 うのは避けた方がいいですか?

A-国の安全基準に頼らず、自分が本当に安心 できる”自分基準”を持とう。

●問題は放射能だけ?
外食したり、惣菜やケーキなどを買ったりする場合、問題は放射能だけではありません。農薬や添加物、遺伝子組み換え食品…といった問題もあります。中には「放射能は大丈夫、たっぷり使われている農薬の方が心配」といった食品も。
そうしたことを考えてリスクを避けるには、「どういう食材をどこから仕入れて、どういう処理をしているか」があきらかな店、公表してる店、自分なりに信頼できる店を利用するしかありません。食の安全にこだわっていることを全面に出している店、市場の地場野菜を使っている食堂、オーナーとの知り合いのなじみの店などです。
心配な店では、店員に直接、「いちごの産地はどこですか?」「洗っていますか?」などと聞いて、それから判断するのが現実的です。

●店まかせ、国まかせにしないで”自分基準”を持つ時代
どの店でも安心して食べたり変えたり出来るようになればよいのですが、国の規制値を超えていなければ業界では「安全」とされてしまうのが現実ですから、期待できません。
たとえば法律では、スーパーなど店内で調理された総菜や外食は、原材料の産地は表示しなくてよいことになっています。外食事業者に直接卸されるものにも、表示義務がありません。
ですから、「安心な食材で作られた料理を食べたい」と思ったら、自主的に原材料やyそくざいの産地を店頭やホームページ、メ
ニュー表などで公開しているレストランやスーパーを自分で選んでいくしかないのです。
今までは「安い店ならいい」というのでも多少大丈夫だったかも知れませんが、これからは、少なくとも子どもがいる家庭では、そうはいきません、
店を選ぶ個人的な基準を持ちましょう。
表示がなければ、「この肉の産地はどこですか?」「野菜は洗っていますか?」と自分から聞いていきことも大事です。そうして「食の安全」を意識する消費者が多いことを示せば、店の意識も変わっていきます。
メーカーや商品宅配業者も同様で、こちらから働きかけていけば、営業する立場から、「うちはこういう風に安全です」とアピールするようになります。産地を示したり、自主検査の件数を増やしたりと、努力するところが増えていきます。

●食品は洗えばセシウムが落ちる、というのは本当?
私たち測定室の実験では、ホウレンソウ3検体を洗ったところ、セシウムの数値がすべて約1/3に前下がりました。しかし、ブロッコリーはほとんど変わりませんでした。
葉物は表面に付いた放射性物質をある程度洗い落とせるけれど、ブロッコリーのような凹凸の激しい形状の場合は中に入り込んでしまうため、洗浄効果が低いようです。
日本放射線安全管理学会が出している『福島第一原発事故によって汚染された野菜に付着した放射性物質の除去法に関する中間報告』でも、同様の分析がなされています。
なお、果菜のキュウリやナスは水洗いでストロンチウム90の50~60%が、葉菜のホウレンソウでは80%が除去できると報告されています。
しかし、あく抜き(塩を加えて煮沸)については、セシウムやヨウ素が50~80%除去できるという実験結果もあれば、水洗いの効果と大差ないという結果も出ています。
いずれにしても忘れてはならないのは、これらは基本的に原発事故で飛散した放射性物質が空から落ちてきて野菜の表面に付いた場合、つまり「放射性降下物」とか「フォールアウト」と呼ばれる場合に有効なデータだということです。根を通して、土壌から吸収した放射物質の除去について、ではありません。

天然のカリウムは放射生物質なのに、 食べても大丈夫?

人間の体に必要な栄養素のひとつに、カリウムがあります。そのうちカリウム40は放射生物質です。半減期は約13億年。大昔に宇宙で作られ地球に到達した後も現在にまで残っているのです。
カリウムは大地にも含まれていますし、窒素、リンとともに植物の三大栄養素で畑にも肥料としてまかれるため、植物にも含まれています。

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カリウム40は放射生物質とはいっても、長い間、人類が共存し適応してきたものです。人類が作り出したセシウムやプルトニウムとは意味が違います。

事故から時間を経た今、

事故から時間を経た今、そしてこれから先、問題になっていくのは「洗えば落ちる表面的な放射性物質」よりも、「商品の内部に入り込んだ放射性物質」のほうです。
酢洗いや酢漬け、薬品処理などで除去できるというデータもありますが、そもそも家庭であれ店であれ、そうした手間をかけるのには限界があります。それなら最初からきちんと測定して、避けるべきものは避けた方が現実的です。
もちろん地表につもった放射性物質が風で舞い上がり、また野菜の表面に降ってくることもありますし、そもそも野菜は洗って食べる方が安全とは思いますが…。

『「内部被ばく」こうすれば防げる!』 ?放射能を21年間測り続けた女性市議からのアドバイス? より( 文藝春秋刊)
漢人明子 小金井市議・「小金井に放射能測定室を作った会」共同代表
監修:菅谷昭 医学博士(甲状腺専門)、長野県・松本市長