VOL.150 医食住 暮らし上手! 食 低農薬でも、減農薬でもない、 無農薬があたりまえの作物を!

01わたしたちは、人生の土台をしっかりと支えている衣食住という生活にもっとまなざしを向けるべきだ。もっと考え、もっと反省し、改良を重ね、知性と芸術的感性を生活の基本に差し向けようではないか。衣食住こそがわたしたちを生かし、現実にこの人生を歩ませているのだから。(by ニーチェ)
にらめっこ編集室では「衣」を「医」に置き換え編集しました。

低農薬でも、減農薬でもない、 無農薬があたりまえの作物を!

農薬には様々な種類があることをご存知でしょうか。さらに、農作物の葉や実に直接吹き付けるもの、土壌にまぜこむもの、種子に処理を施すものなど、使い方も様々です。今回は、「ネオニコチノイド系農薬」に焦点をあててみましょう。

「ネオニコチノイド系農薬」の用途としては、殺虫剤として使われています。浸透性農薬といわれる通り、植物全体の部位に行き届き作用を発揮するので、播種時や苗の段階に施用しておくことで、植物全体に行き渡り、その植物を食べた虫に殺虫効果があるという仕組みです。持続性が高いので何度も農薬を散布する手間が省ける、農薬の施用回数が少なく見えるという、使用者にとっての利点があります。クロチアニジンやフィプロニルなどは出荷量が増加しており、日本でも広く流通しています。

一方で、ヨーロッパやアメリカ
などの学者や行政が、ミツバチが集団で消失する”ハチ群崩壊症候群Colony Collapse Disorder(CCD)”の原因を探っています。その原因のひとつとして注目されているのが、ネオニコチノイド系農薬です。
日本でも石川県立大学の上田氏らにより、赤と
んぼ類アキアカネが1989年と比べ、2007・2008年に1/100~1/200と減少しており、ネオニコチノイド系農薬がその原因ではないかという研究発表があります。環境面でこの農薬の影響はまだまだ計り知れないものがあります。
環境への影響がよく分かっておらず毒性の情報が不十分、またフランスやイタリアなどはこの農薬による種子処理を禁止しているという事実がありますが、日本の対応はどうでしょうか・・・
残留農薬基準でみてみましょう。

イミダクロプリドは平成24年6月より残留基準値が改定され、「ほうれんそう」は2.5mg/kgから一気に上がって15mg/kgになりました。クロチアニジンも平成19年の改正により「にら」で2mg/kg→15mg/kg、「レタス」で3mg/kg→20mg/kgに改正されています。

ネオニコチノイド系農薬が広く使われるようになり、「残留基準値を引き上げる=基準値を超過する作物を減らす=農薬を作る企業を守る」ことを重視している政府。これが日本の実状です。ここまで基準値が引き上げられ、その全てに基準値ぎりぎりの残留農薬があっても、ADI(1日摂取許容量)以下に収まるという事で許可するというのが建て前のようです。しかし、環境への影響についてはその農薬評価の中ではほとんど言及されていませんし、人体への影響に関しても、特に幼少児ではあまり余裕のない値になっています。ネオニコチノイド系農薬を例にとっても分かるとおり、農薬の使用許可実態に大きな問題を感じます。
この日本の状況を多くの皆様へ知っていただきたいと思います。

ネオニコチノイドってなぁに?

イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリドなど、ニコチンと似た分子構造を持つ農薬の総称。ネオニコチノイド系農薬ではありませんが、同じような作用をするフィプロニルと共に、環境に問題のある農薬として取り上げられます。
タバコの葉に含まれるアルカロイドであるニコチンと、その類縁物質は、ニコチノイドと呼ばれています。ニコチノイドは、神経系で重要な働きをしている、アセチルコリン受容体に作用し、神経を興奮させ続けます。この作用により、殺虫作用がありますが、昆虫だけでなく、人間を含む多くの生物に対して高い毒性を示します。そこで、ニコチノイドの構造を元に、人間に対する毒性を低減するように開発されたのが、ネオニコチノイド系農薬です。しかし、未発達の脳には影響があるという意見もあります。人体への影響が小さく、高い殺虫効果が長く持続する事から、広く使用されています。

名古屋生活クラブ

名古屋生活クラブでは、ネオニコチノイド系農薬の危険性を訴え、いち早く生産者と協力しネオニコチノイド系農薬の使用中止に動いています。
無農薬野菜や無農薬米をつくる、信頼できる生産者が多くいます。
無農薬が難しいものも、危険な農薬を使わないように協力し合える、生産者と消費者と流通の関係性を大切により安全な食品をお届けできるよう努めています。実際に2012年度から農家にお願いし、米の低農薬栽培の際、使用していたネオニコチノイド系農薬の使用を中止してもらいました。

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中村さん・・・冬季には白鳥が毎年訪れるほど美しい田んぼ。長年無農薬栽培で食の安全に真摯に取り組む、味も絶品。放射能測定を行い、測定結果公表のうえ案内している。

 

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(福島県郡山市)

 

 

 

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河崎さん・・・
毎年、生き物観察会を共同で実施。
無農薬の田んぼのため多くの虫が共存している。

 

 

 

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(長野県 下伊那郡南箕輪村)

 

 





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