vol.170 ぎむきょーるーむ こどもに「しつけ」は必要ですか?

<span style=”font-size: x-large;”>ぎむきょー170
くどくど
迷い、悩むとき
お母さん
何度もいう意味ある?
子どもにどの程度くり返しいって聞かせるのか悩みます。いえばいうほど聞く耳もたなくなりそうなので。自分が子どものころ、何度もいわれたことは覚えていて身についていることもあるので、くり返しいうべきだとは思うのですが、子どもに「はいはい……」
という反応をされると、いう意味があるのかな?と思ってしまいます。(娘8歳、息子0歳)

ダメだとわかっていても
同じことで何度もしかっているのに聞かない。叩いてしまうこともあるが、「叩かれるからやめる」ではダメだと思う。でも、どうしていいかわからない。(息子12歳・6歳)

子どもの反応は…
こども
聞かない、すねる
静かにいい聞かせようとしても聞いていない。強く怒るとすねる。どうすれば、人の話しを聞いて理解してくれるのか。(娘11歳)
注意しても直さないが
一年生の次女の鉛筆の持ち方がおかしいので注意をするのですが、「こちらのほうが持ちやすいし書きやすいの」といい、楽しそうに書いているのを見ると、それを否定して正しい持ち方にさせるのはどうなのだろうといつも思ってしまいます。先生は「早く直さないとあとあと困ります」といいますが、ほんとうにそうなのかなあと思っちゃいます。(娘9歳・7歳)

しつけようと
Q親がいっても聞かないときは?
Aまずは、安定した親子関係を保つことから。
反抗しないのは困る
はっきりいってしまうが、親のいうことをよく聞く「聞きわけのいい子」のほうが要注意である。
たしかに、「親のいうことをよく聞く子」はあつかいやすいし、親も楽だ。しかし、それほど従順であるということは、自分に葛藤がないということでもある。
幼ければ、親と一体感があるからよいかもしれないが、成長するにしたがって「反抗」というかたちで自分の存在感を確認するが、そんなときにも反抗しないのは、ちょっと困る。反抗しっぱなしも親は疲れるが、子どもにはいいこともある。
つまり、「聞きわけがいい」「親のいうことをよく聞く」ことも、「聞きわけがない」「親に反抗的」とのバランスの問題なのだ。どちらかに偏りすぎると、けっこうたいへんかも知れないということだ。
お父さん
子どもに要求するなら
親のいうことを聞かないときは、三つくらいの方法と、根本的な二つの課題がある。あまりにも、杓子定規だねといわれるかも知れないが、いちおう親として、頭に入れておいてもらいたい。

方法❶
どうしてもいうことを聞かせたいときは、大人自身が、自分のなかでとりひきする
子どもの言い分を聞きながら、親の指示の妥当性をきちんと話すが、ある部分では目をつぶる。
「箸の持ち方に気をつけなさい」というなら、「多少好ききらいがあっても目をつぶる」というように。立てつづけの「要求」「指示」は全部をだめにする。

方法❷
子どもに出す要求レベルと、自分の満足レベルをべつにする
子どもに「一時間くらいは勉強しなさい」といってやらせるなら、「30分やればよいほうだろうな」くらいに思うようにする。
方法❸
大人サイドの要求を、大人の意志・気分ではなくて、客観的な事実・現実で示す
たとえば、「お小遣いを100円ちょうだい」といったら、財布を見せて、今日はあと500円で夕食までみんなのぶんを買わなくてはいけないから、50円しかあげられない…というように。「たくさんあげたいけど、現実が許さないのだ」と。
女の子
課題❶
インフラとしての親子関係をつくっておく
親のいうことを子どもが聞くとか聞かないというのは、日常的な親子関係の積み重ねであって、都合のいいときだけ「よく聞く」なんていうのはありえない。日常的に、親子がある程度安定した関係を保つ必要がある。幼いころから、密着部分と離反している部分がそれぞれあるということが重要で、そのためには、家族以外の人間(友だち、先生、地域の大人など)とつきあわせるが大事だ。家族関係の充実は、家族以外の関係があればこそだ。
課題❷
子どもといえど、一人の人間として向き合う
子どもをバカにした態度で臨む親は失敗して当然だ。「だって、子どもって未熟じゃないですか」という声もあるが、そこがまちがい。いうなら、「親の私だって未熟ですけど」だろう。
まず、子どもの話を聞くことが重要で、そのうえではじめて交渉となる。とにかく、まじめに話を受けとめてみる。小学校の一年生からでも始めたほうがよい。「なるほど、そうか」「そう思っているのか、よくわかった」という受容と承認のうえで、「しかし、いまは……」と話すことも大事だ。
説得しようと理屈をいいあえば大人が勝つに決まっている。だから、「理屈で子どもをへこますこと」ばかり考えてはいけない。あくまで、説得的態度だ。根気のいる仕事である。
(お・は編集人 小学校教員 岡崎 勝)