「里山ビジネス」
フキ(蕗)の季節になると思い出すことがあります。小学校時代、村の小学生(4~6年生)はゴールデンウィークになると、「フキ採り」をしていました。みんなでフキを採り、集めたものを近隣のお店が買ってくださり、得たお金を夏の花火代にあてていたのです。いつからこんなことをするようになったのか、いつ途絶えたのか、わかりませんが、いま思えば、これはなかなか面白いことだったと思います。徳島・上勝の「葉っぱビジネス」ならぬ、フキ採りビジネスですね。おなじ花火でも、大人から買い与えてもらった花火とはきっと重みも違ったことでしょう。また来年のために「根っこは残す」など大事なことがここで継承されていったようにも思います。食品総合研究所・鈴木建夫理事長がまとめたデータによると、欧米には食素材は約2千種類で、日本にはなんと1万2千種類あるそうです。世界に誇る豊かな食素材を活用しない手はないですね。ある会議で、京都府の局長がこんなお話をしてくださいました。「ぼくたちはフキを束ねて売るだけでなく、神社の境内で大きな鍋を用意し、火を焚き、フキの佃煮をつくって売り、それを何かの費用にしていました」と。小学生が加工までしていた!
すばらしいお話ですね。たくましさって、生きるちからって、これからのますます大事な時代になりそうです。
やれる!
数年前の2月、高校時代の同級生を講師に招いて、講演会を企画しました。東京在住で著書22冊、累計61万部というベストセラー作家の藤沢あゆみさんです。当日は朝起きると、なんと大雪でした。実家に帰っていた彼女から朝、「超大雪だけど、どうします?」と不安そうな電話がありました。でも、ぼくはこう言いました。「たとえお客さんが一人でもやりましょう」と。藤沢さんの本に『やれる!』というタイトルの本があります。「仕事なし、お金なし、彼氏なし」のダメダメだった藤沢さんが夢を実現するまでの体験的実践的成功術を書いた本です(なんと10万部の大ヒット本)。ぼくは雪景色を見て、「雪でもやれる!」と思ったのです。大雪だけど、それを逆手に何かすてきな発想ができないか、自由にイマジネーションができないかなと。そんなことを藤沢さんに話していたら、いつものポジティブな彼女に戻っていきました。会場に着くと、来てくれていたのは一人じゃなかったのです。雪だけど、やれる!逆境さえも逆手にとるべし!その冬、ぼくは大切なことを学んだのです。
※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は中国語訳され、台湾、中国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。