vol.170 記者雑感from気仙沼

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「放射性廃棄物 行き場なく」
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「指定廃棄物」をご存じですか。福島第一原発の事故で放射性物質が空中に飛び散った。雨などと一緒に降り注ぎ、屋外の稻わらにくっついたり、川に流れ込んで下水施設で不純物を集めた泥になったり。このうちセシウムの濃度が1キロあたり8千ベクレルを超えるものは、国が責任を持って処分するとして「指定」した汚染物だ。
しかし、茨城や栃木など5県に新設する予定の処分場については、ほぼ何も決まっていない。宮城県の場合を時系列で追うと、2012年10月、県と全35市町村長の会議で、県内に処分場を1カ所作ることで合意。14年1月の5回目の市町村長会議で環境省は、栗原市、加美町、大和町の3市町を候補地として挙げた。どの市町も建設反対を表明。その後、栗原と大和の2市町は「3市町同時であれば、現地調査には応じる」との態度を取った。処分場受け入れではなく、「調べてもらえば不適地だと分かる」との意味だった。一方、加美町は無条件で調査も拒否し続けた。
15年12月、約1年4カ月ぶりの市町村長会議で、とうとう3市町とも候補地を返上するとの意思を正式に環境省に告げ、何もかも白紙に戻った。県内の指定廃棄物3300トンのうち、最多の2200トンを抱えるのが、私が住む気仙沼市の西隣の登米市だ。農家などが保管し続けている。市長は3市町を露骨に批判こそしないが、「当初はすべての市町村に可能性があり、来た場合の覚悟は(どの首長も)持っていたはずだ」と、かなり不満の様子だ。
でも、3市町の首長を「エゴだ」と断じることはできない。皆さんが、住民の命や暮らしに責任を負う立場だったら、どうでしょう。だからといって、福島県由来のゴミゆえ処分も福島で、という主張も一理あるが、素直にはうなずけない。福島には「東京の電気を作っていたんだから、東京湾に埋め立てて」と話す住民がいると、同僚が記事にしていた。
正解はない。より「まし」なやり方を考えて選ぶしかない。宮城県南部の白石市は、汚染が1キロあたり8千ベクレルに満たない牧草を、福島県浪江町の民営牧場の求めに応じて、餌として提供した。「指定廃棄物」でないので、移動させること自体は自由だ。被曝した牛に食べさせて、汚染牧草の量を減らす。私は賛成だが、牧草の移動が汚染拡散につながるという意見や反論はもちろんあるでしょう。
それにしてもだ。こんなゴミの処分方法も決まらないまま、川内、高浜と原発の再稼働が相次ぐ。大地震と原発事故から5年。我々は失っただけで、何も学ばなかったのだろうか。
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2012年4月に岐阜から赴任しました。がれきの片付けは震災後3年で終わり、高台移転先の造成や水産加工会社の再建なども少しずつ進んでいます。それでも「元の生活」に戻ることは決してありません。現地で見聞きし、思ったことをご報告いたします。 現役新聞記者(宮城県・気仙沼在住)





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