トマトの種採り(水選)
- トマトは完熟のものを収穫し、さらに10日ほど置いて種までしっかり熟させる(追熟させる)。
- まず半分に切り、スプーンの柄で種をかき出し、ボールにあける。
- ピンに移して、直射日光が当たらないところに4日~1週間はど置き、発酵させる。目安としては、種のまわりのゼリー質がさらさらしてきたらOK。
- 再びボールに移し、水洗いをする。
- 新聞紙の上で乾燥させる。風で飛ばされないように注意。
- お皿に移し、2週間ほど乾燥させて完了。
キュウリの種採り(水選)
- キュウリは黄色くなるまで畑で育てたものを収穫し、さらに10日ほど追熟させる。
- 中心に入った種を割らないよう、少しずらして縦に2つに切る。
- スプーンで種をかき出す。
- まわりのぬめりが取れるよう、よく水洗いをする。浮いてくる 種は実が詰まっていないので捨てる。
- 新聞紙に広げて乾燥させる。
- ある程度乾いたら、お皿に移してさらに2週間ほど乾燥させる。 大きな種は芯まで乾燥しにくいの で 特に注意が必要。水分を含んでいるとカビの原因に。
カボチャの種採り(水選)
- 収穫して追熱させたカボチャ。
- 半分に切り、スプーンで種をかき出す。
- タマネギやミカンが入っていた網の袋に入れてゴシゴシ 洗い、外側の綿をきれいに取りのぞく。
- キュウリとは逆で、カボチャは浮いたものが良い種。
- 浮いた種を、ザルですくい上げる。
- 新聞紙に広げ、さらにお皿に移して芯までよく乾燥させ る。カボチャはトマトやキュウリと違い、種が大きくなってからでも食べられる野菜なので、食べておいしかった カボチャの種を残すといい。
今回のまとめ 種の保存法
種は、水、光、温度の3つの条件が揃うと発芽する。だから、風通しの良い冷暗所に保存するのがベスト。
例えば紙の封筒に入れて冷蔵庫へ。種はいったん水を含んでしまうと、発芽しようとして体力を消耗するため、実際に蒔いたときに発芽率が下がってしまう。
種のまき方もいろいろ
ニンジンは、高く伸びた茎の先に小さな花をたくさん咲かせ、ゴマのような種をたくさんつける。それが次第に倒れて、種が散らばる。だからニンジンはパラパラとたくさんの種を蒔く筋蒔き。
ダイコンは4粒ほどの小さな種が入った房を、そのまま落とす。だからダイコンは3~4粒の点蒔き。自然の姿を見続けると、育て方がよくわかる。
本当の野菜とは
たしかに市場経済の観点で言えば、効率よく大量に作れるF1種の野菜は文句なしの優等生かもしれません。
しかし、野菜は生きものです。人間の都合に合わせて、種をつける力まで削がれた野菜に違和感を抱く人も少なくないでしょう。
F1種の便利さだけに流されていったら、本当の野菜が途絶えてしまうのではないか。そんな危機感を抱き、固定種の種を次世代へつないでいこうとしている人たちもいます。
「いまや世界中の人々が、子孫を残せなくなった野菜を食べています。それは自然界から見れば不自然なこと。F1の種しか残らなくなってしまってからでは、もう後戻りできない。だから自家採種できる固定種を売っているんです」と語るのは、野口勲さん。
埼玉県飯能市で、自家採種できる固定種を400~500種も扱う種屋さんです。
種は長期保存できません。誰かが毎年育てて採種し続けないと、この世から消えてしまいます。その意味で、野口さんが期待するのは、自分で育てて種を採ることのできる家庭菜園愛好家の存在。
みんなで育てて自分で種を採っていけば、それが最高のシードバンクになるだろうという発想です。
種と家庭菜園
「固定種は家庭菜園に向いている」と野口さんは言います。市場経済では欠点とされる生育のバラつきは、家庭菜園では逆に、少しずつ長い期間にわたって収穫できるというメリットに。
また、たとえ病虫害が発生したとしても、遺伝的な多様性を持つ固定種なら全滅はせずに、いずれかの株が免疫を獲得して生き残り子孫に受け継いでいく可能性が高いといいます。
なるべく農薬を使わずに育てたい家庭菜園にとって好都合です。そしてさらに、自分で種を採れること。
野菜を育てるということは、野菜という命の一生を見られることです。芽を出し、花を咲かせ、実を結び、種をつけ、その種から、また芽が出る…そんな自然の繰り返しの中で、命のバトンをつないでいく野菜の姿を見ることができたら、それは、家庭菜園ならではの贅沢と言えるかもしれません。
参考:「いのちの種を未来に」野口勲/創森社、
マクロビオティック健康相談室 シャロムヒュッテ、
モーションギャラリー<安曇野シードバンクプロジェクト>、
無印良品