暮らし上手・食 ほんとうに美味しい野菜の食べ方

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たまねぎ、だいこん、ごぼう、さといも、などなどの野菜の皮、そして一番だいじな「成長点」は生きる力になる!

01「えー、野菜の皮をむくのは常識でしょう?」。

そんな声が聞こえますが、プロの料理人は、ゴボウの中身は捨てても皮は捨てません。
だって、皮にこそ味があるから。害虫やばい菌、紫外線など、野菜の周りに存在するさまざまな「外敵」から、大切な部分を守る皮は命のバリアー。とても栄養価が高いんです。

これは科学的にも証明されています。有害な活性酸素を中和して、体の老化防止や発がん抑制など、病気予防や健康維持に効果があるとされる抗酸化物質ファイトケミカルは、植物の皮に集中しているのです。

想像してみてください。直射日光が照り付ける夏の日に、あなたが裸で長時間、鉄棒にぶら下がった姿を。体は大やけど間違いなしだけど、ナスビはそんな中で黒光りしている。それはあの皮に、紫外線に対抗するファイトケミカルの一種、ポリフェノールがたくさん含まれているからです。

玉ネギを軒先につるしておけば何ヶ月も保存できるのも、茶色の薄い皮の中にあるケルセチンというファイトケミカルのおかげ。あの皮には、人間が本来持っている長寿遺伝子のスイッチをオンにする効果があるケルセチンが、中身の30倍も含まれているんです。

でも皮は食べられないって? いえいえ。そんなときはみそ汁やスープのだしに使いましょう。お湯にしばらく漬けるだけで、何割かの成分が出てきます。カレーを作るときも、皮だけを煮出してもいいし、具と一緒に煮込む場合は網袋に入れ、ルーを加える前に取り出せばOKです。煮出した皮もごみに出しちゃいけませんよ。庭の土に混ぜれば、このパワーが土壌中の微生物を活性化させ、とびきり元気な野菜が育ちます。

01「だって皮には農薬がついているから…」

なんて言う人がいますが、そんなに農薬が心配なら、イチゴとピーマンの皮こそむくべきでしょう。それに比べたら根もの野菜の皮なんかほとんどないに等しいです。単に人は、習慣を変えるのをおっくうに感じるものなのだと思います。

「最初ニンジンの皮をむくなと言われたとき、とても抵抗があったけど、今は逆に、皮をむくように言われたら、とても抵抗感があります」。

長崎県佐世保市の江永保育園の栄養士、河上愛子さんの言葉です。人の感覚もどんどん変わります。まずはやってみてください。一週間でウンチが変わりますよ。

さて、ここで問題です。玉ネギの皮以外にも、土に戻したときに、なかなか分解しないところ、つまり土の中の菌ちゃん(微生物)が食べきれないほど、非常に元気で生命力あふれる部分が、野菜にはあるんです。それはどこでしょうか。

生長点が大事 生きる力取り込んで

土に戻してもなかなか分解しない、元気で生命力あふれる部分とは、新芽の出る場所「生長点」です。キャベツ、レタスなら芯の部分、ホウレンソウ、ダイコン、ニンジンなら葉の付け根付近などにあります。というわけで、「生長点こそいただこう」です。

生ごみリサイクルで野菜を作ろうと、野菜くずを土に返したキャベツの芯から芽が吹き出しているのを見て、そのすさまじい生きる力に本当に感動します。

うそだと思うなら、玉ネギを縦割りし、そのまま放置してみてください。皮のバリアーを破られた玉ネギの内部は腐敗していきますが、それでも芯の付近は腐るどころか、ぐっと頭をもたげて成長しだすんですよ。玉ネギのけなげな生命力に脱帽です。

この芯は加熱したらまったく硬くありません。「なんでこんな柔らかくて元気なところを今まで捨ててたんだろう。これまで誰かに洗脳されていたのかなあ」。食べ物があなたの細胞になり、体と心をつくるのです。あなたがすぐ何かのせいにしてあきらめてしまうとしたら、その本当の理由は、野菜の中で簡単にあきらめる部分だけを食べていたからではないですか?

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夏の生長点といえば、カボチャやキュウリ、トマト、ナス、ピーマンなどのわき芽です。新しい命が吹き出ているこの部分には、たくさんの成長促進物質が生産されています。家庭菜園している方、どうぞ捨てないで自分の体に取り込んでください。和(あ)え物や汁ものの具に最適です。

最近、野菜売り場に並び始めた「スプラウト」は、発芽して一週間ほどの盛んに生長している野菜のことで、ビタミンやミネラル、ファイトケミカルなどの宝庫です。栄養学はまだ栄養素の十分の一も発見していないといわれているのですが、未知の成分は、こんな生長点の中にあると私はみています。

野菜は90%以上が水分。私たちはその中のごく微量な成分(生きる力)をいただいているのです。それがたっぷり詰まった皮や生長点を捨てることが、どんなにもったいないことか。

特に家庭菜園で、小さいうちに間引いた野菜は全体が生長点のようなもの。柔らかい根っこまで全体を丸ごといただいてください。
これこそが「いのちいただきます」の真骨頂。元気にならないわけがない!





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