Report-1 「自衛隊から国防軍へ…本当にいいの?」半田滋さん

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同盟国アメリカの本音は…
今の時代、冷戦はとっくに終わっているわけで、それほど差し迫った危機はない。冷戦時代にはソ連に対して潜在的驚異といっていました。今の防衛白書には、不安定・不確実要因がまだあると言っている。これは中国、北朝鮮をさしている。では、アメリカはこの状況をどう考えているか?今年の1月、最初の外遊にアメリカを希望した安倍首相は、オバマ大統領からは「多忙」と言って断られた。それでASEAN諸国に行った。2月にやっとオバマ大統領に会えて、安倍さんは歴代首相はじめて「集団的自衛権の行使を考慮している」と言ったのに、「我々にとって大事なのは経済成長を求めることだ」と、オバマさんはそれ以上言及しなかった。その後、韓国のパク大統領はアメリカの議会で演説しました。中金平・中国国家主席はオバマさんと8時間にわたって会談しました。安倍さんは30分ですよ。いかに安倍首相が冷遇されたか!これでほんとに同盟国として日本が大切と思われているんでしょうか?さらに日本は今、中国との間で、尖閣諸島の問題を抱えています。民主党政権から外務大臣がアメリカに「尖閣諸島に関しては日米安保条約の範囲内」と水を向けても、前のクリントン国務長官の時から、「領土問題は二カ国でよく話し合って」さらに「アメリカに迷惑をかけるな」とも言われたんです。

安倍首相のおかしな歴史認識、憲法認識
安倍さんのスローガンは「戦後レジームからの脱却」。戦後体制からの脱却という事は、戦後を作ってきた平和憲法を否定して、軽武装、経済優先で戦後を成長してきた日本を否定するっていう事なんです。憲法が施行されると直ちに教育基本法が作られて平和国家を根付かせるためずっと維持されてきた。しかし彼が最初に言ったのは教育基本法を変えること、国を愛する国民を作ること、でした。つづいて、防衛庁が防衛省に昇格、最後は国民投票法を作った。彼らが作ろうとしているのは戦前のような日本に戻すこと。安倍さんは任期途中で病気を理由に辞任したんですが、再任されて今度は河野談話(朝鮮半島における従軍慰安婦問題に関する反省とお詫びの言葉を述べたもの)・村山談話(過去の植民地支配と侵略戦争に対する痛切な反省とお詫びの言葉を述べた)、これを未来に向けて発信し直すという。今までの日本と違う歴史認識を掲げようと公言しています。
今年、最多168人が春の例大祭で靖国神社を公式参拝しました。そのうち132人が自民党議員。麻生副首相をはじめ閣僚3人も含まれる。このことに対して中国や韓国から批判されると、安倍さんは「どんな脅しにも屈しない」と。でもこのあとに、アメリカのワシントンポストで、「これは日本の危険な兆候」という論文が出るんです。アメリカの議会調査局の報告書のなかでも、安倍さんに対して「右翼の国粋主義者である」といわれた。中国や韓国に対しては強いけどアメリカには弱いんですね。
自民党の政治家の皆さんも、実際に軍隊を持ったこともないし、勇ましいことを言う人にかぎって、靖国には行くけど自衛隊の現場にも来ない。軍務を知らない、軍隊を知らない、そういう人たちが「国防軍を持つべきだ」、「軍法会議はあった方がいい」と主張している。知らないのに何でそんなことが言えるんだろう。

自衛隊の役割とは
自衛隊に入隊した人1年生から3年生までの10人にインタビューさせてもらいました。
「君たちは何で自衛官になりたいの?」8人が「東日本大震災の時自衛隊の活躍をみてあこがれました。」2人が、「自衛隊の平和維持活動を見てあこがれた。」ただの一人も国防のためといった人はいない。実際に今自衛隊は戦争をやったことがない。では何の活動しているか?それは国際活動、それもPKOだけではなく、国際緊急援助隊(スマトラ島の地震・津波、パキスタンの洪水に行って人助け)として活動をしている。
自衛隊が国民の役に立つ、世界の役に立つために何をしたらいいのか、この20年間の間にきちっと積み重ねてきたんです。これを今、根底から覆そうとしている。しかも、国防軍のことはよく分からんけど、歴史認識のことはひっくり返せばいいや、という人たちが集まって。これは何とか阻止しなければ。
この9条の会の活動を通じて、できるだけ多くの方に、日本国憲法の良さ、世界に例を見ない先進的な憲法をもっている日本の良さというものを広めていただきたいと思います。

はんだしげる●自衛隊同行取材などもとづく鋭い記事や論説で知られ、日本ジャーナリスト会議省受賞の『「戦地」派遣…変わる自衛隊』(岩波書店)『3.11後の自衛隊』(岩波ブックレット)などの著書のほか、講演を通じて、改憲動向に警告を発している。





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