これまでにない巨大産業が動き始めた!
山田征
巨大利権が動くこの問題を、抵抗者を出さないですすめていくための戦略がずっと前からすすめられていていました。特に原発を止めたいと思う人たちがうまくのせられて、逆に政府を応援する側に回ってしまった。その辺も含めて話していきたいと思います。
そもそも原発に替わるエネルギーは必要なのか…
結論から言いますと、必要ありません。なぜ必要ないのか?
原発は定期検査や、地震、事故などでの緊急停止の際も一瞬たりとも停電を起こさないように、初めから必ず同じ出力の火力発電が車のアイドリング状態で用意されています。これをバックアップ発電と呼んでいます。
いま現在日本中の原発全ては2011年3月11日に起きた地震と事故による緊急停止と順次始まった定期検査によって止まっています。それでも電気が足りないという事態は起こっていない。
なのに、なぜこんなに自然エネルギーが注目されているのでしょうか??一口で言えば、巨大な利権がからみはじめた国策だからです。
その国策について時系列順に話していきます。
自然エネルギー、再生可能エネルギーを国策として促進するという政策は、20数年前からスタートしました。
1994年、一般家庭でソーラーパネルを設置すると補助金を出すという制度がスタート。
1997年度から風力発電の風車を建てる民間企業に補助金を出す制度がスタート。風車は、1本が1億円から6億円くらいする高額な建造物。1本建てると1/3の補助金がでました。地方行政が建てる風車に対しては、1/2の補助金が出ました。風車の設置場所を地図に置き換えていくと日本列島のかたちになります。
2009年に民主党政権になり事業仕分け始まる。風車もまな板にあがり、その大半が止まったままだという指摘があった。風車は、風速0mでも外部電源で発電できる。
私たちは1kw、だいたい20数円で買っているが、事業者は電気をたくさん使うので1kw10数円で買えるが、発電した電気は10数円でしか売れなかったので全然儲けが出ない。
でも回さなくても、この風車を立てるときにもらえる、億単位の補助金で潤うというシステムになっていた。つまり補助金目当ての風車だったんですね。
次に、ソーラーパネル。2009年11月1日、民主党政権になった2ヶ月後に太陽光発電促進賦課金、固定価格買い取り制度が閣議決定されました。1994年度から補助金制度が始まり、さらにパネルを乗せる人を一気に増やすために、その家で使って余った電力を一般の電気利用者が買い取り負担します。
新聞などの報道では電力会社が買い取ると表現をしてますが、そうではなくて、一般の電気利用者が1kw42円で買い取る制度です。
民主党政権になってから事業仕分け(補助金の使われ方が妥当かどうかを仕分ける)と行政刷新会議(法案、法令、条例、法律的な決まり事を見直す会議)が始まった。
2011年1月にあった行政刷新会議で提言されたのが「再生可能エネルギー促進による規制緩和提言」。太陽光や風力とかいった発電設備を促進していくために規制をゆるめるというもの。
国有林(国立公園、国定公園、自然公園など)、保安林(水源林、防潮林、防風林、防砂林、野火止めなど災害から人命を守るための保安林)、それから農地(食糧の生産の場)。
こういったところは昔から建造物を建てたり、ボーリングしてはいけないという規制がかけられていますが、自然エネルギーを促進するためにその規制を緩和し、ソーラーパネル等を設置したらそれを緑化設備と見なすというものです。
日本にはいろんな生産工場があります。規制の中には「工場立地法」というものがあり、敷地の25%を緑地化する義務があります。ところがパネルの場合は樹木を皆伐しなければならないから、工場立地法と真逆になっていく。パネルも電気を生み出す工場なわけですね。
それで、考え出したのがソーラーパネルそのものを緑地帯、環境設備と見なすと提案。それを元にできたのが、2013年6月に閣議決定された「農山漁村再生可能エネルギー法」という法律です。
ふか金制度が決まったときにもう一つ決まったことがあります。それは契約アンペアが1万kw以上の事業者は使用料金が8割引になるというものです。
このときに何が起きたかというと、1万kwに満たない多くの中小企業が2012年の7月から契約を1万kwに切り替えました。また工場や企業だけでなく個人の場合でも同じようなことが起きています。
普通契約するアンペアは、その家屋内のデンキの使用状況(量)に合わせて決められますが、パネルをのせた場合は、のせたパネルの最大発電量に合わせた契約になりますので、たいてい、それまでより大きな数字になってしまいます。
つまり、電力会社は、社会全体で契約されたアンペア数の総量に合わせて発電設備を用意しますので、パネルをのせる家が増えれば増えるほど、電力会社はたくさん設備を増やすことになってしまいます。
そういうカラクリのもとに国策として自然エネルギー政策が進められようとしています。
ここ数年大変な災害が次々に起きています。気象情報の中に突風、竜巻、雷などの警報が目立ちます…それはこの自然エネルギーの政策と直接、間接に関係があると私は思っています。
(8月23日 岐阜市・上宮寺にて)
スマートグリッドは英語ではsmart grid(賢い電力網)
スマートグリッドを構築するためにはスマートメーターが必要不可欠ですが、そのメリットデメリットを調べてみました。
メリット:
- ピークシフトに対応できる。
(そもそもピーク時は原発なしでも乗りきった…) - 電力会社の人件費削減が可能となる。(雇用促進に反するよなぁ…)
- 契約や解約の煩わしい手続きが簡略化される。
デメリット・問題点:
- 雇用減少の問題。
- 通信セキュリティの問題。
- 測定が正確すぎることによる問題。
- スマートメーターに交換した直後から電力使用量が大きくなる(電気料金が高くなる)可能性あり!
- それに何より、電磁波が飛び交うことによる健康被害の訴え、「節電」「自然エネルギー活用」という美辞麗句のもとに個人の生活に介入し管理しようという動きに、危うさを感じます。
太陽光発電のヒミツ○×Quiz
- Q1ー自然の太陽の恵みで発電するからエコだね!
- Q2ー最近のパネルは寿命も長いけど、災害時の非常電源も必要。
私たちはどうしたらいいか。
山田さんのお話会でいつも思うことは、事実を知って、自分の生活を省みること、電気のムダ使いをやめ、便利さに安易に乗らないこと、でしょうか。しかし同時に打開策が見えない。選挙は1つの方法というけれど、実感を持てない。
では、エネルギー問題を他国から学ぶべき点を選択し、それを草の根運動として続けることはどうだろう。少しづつでも変化を実感できれば、それを未来に託すことはできる。経済優先の政策の結果が、人や自然をむしばんでいるのは紛れもない事実なのだから。(三)
山田 征(やまだ せい)プロフィール
1938年生まれ 東京三鷹市井口のヤドカリハウスを拠点に躍動中!◇同時多発テロをきっかけに毎月最終日曜、西東京市の公民館にて隠された真実をテーマとした勉強会『菜の花の会』を主宰◇フィリピン、スモーキーマウンテンの子ども達への支援など様々◇著書『山田さんのひとりNGO』『ただの主婦にできたこと』他
クイズの答え
Q-1,3,4,5,6,7,10,11,14 × Q-2,8,9,12,13 ○
vol.162 エネルギー再考 山田征さん