vol.170 マザーグースの部屋 う・ん・ち・の・は・な・し

170マザーグースタイトル

口から入った食べ物は食道→胃→十二指腸→小腸→大腸を通過し肛門を通って体の外へ出されます。その長さはおよそ9メートル。平均すると30時間の旅を経て体の外へ出てくるのです。ワークショップでは実際の消化器官をもとにして作ったエプロンを使ってその長さを体感してもらいました。yjimage
さて、うんちは何がもとでできているでしょうか?ほとんどは私たちが食べた食べ物のカスだと思いきや、一番多いのは水分です。これはうんちの体積の70~80%を占めます。残りの20~30%の中は、①消化された食べ物のカス②消化液・粘膜など消化器官から出てきたもの③腸内細菌とその死骸です。
そしてうんちの水分が体積の90%以上になると下痢、70%以下になると便秘となってしまいます。
また、人がするうんちの量はおよそ100g~300gと個人差が大きいです。それはうんちの量が食べたものでかなり大きく変化するからです。日本人は昔から食物繊維を多くとる民族です。肉・小麦食の欧米人に比べると2~3倍の量のうんちをするといわれています。
今日はどんなうんち
理想的なうんちって?
まず一言でいえば、バナナうんちです。硬さや太さがバナナと同じくらいのものが、理想なのです。一日にこのバナナうんちが1~2本出ればさらに理想です。もっと具体的にいうと「臭いが少ない」、「水に浮く」、「黄色から褐色」、「スルっと出る」といったものがあげられます。

理想的なうんちと出会うには?
① 水溶性食物繊維を多く含むものを食べる
(納豆、山芋、オクラ、ゴボウ、カンピョウなど。)
② 水分を摂る
(でも、飲みすぎには注意!多くても一日1.5ℓ以下に。)
③ 適度な運動(ストレッチ)をする
(腹筋力の低下は便秘の原因の1つです。)
④ 発酵食品を摂る
(納豆・味噌・糠漬けなどのがオススメ!)
⑤ 一口30回以上噛む
(食事中、お茶などの飲みものがテーブルに出ていま せんか?前号のにらめっこを参照してね!)
※この中の一つでも毎日行動に移すことができれば、あなたとあなたの家族の未来がきっと変わりますよ。

大便は自分でデザインするもの
大便による健康チェックは、医者や研究者などの専門家だけに任せておけばいいというものではあり
ません。日常レベルでの大便チェックはだれでも自分でできます。色、形、臭いなどをトイレでたしかめるだけでも、自分の健康状態はかなりわかるでしょう。yjimage-6
そもそも大便は、自分自身で作っているもの。まずはそれを自覚することが大事です。自分が作ったものだと思えば、それがどんな状態で出てくるのか、無関心でいられません。
それがおかしな状態であれば、自分自身の生活を振り返って、
そんな大便を作りだした原因を考える気にもなるでしょう。
大便は、自分で「デザイン」するものだと思ってください。
辨野 義己著「大便通」より

食事を変えたら…!
人間の体は37兆個にもおよぶ細胞からできているそうです。毎日1兆個の細胞が入れ替わっています。単純計算すると1カ月ちょっとですべての細胞が入れ替わって、先月の私と今月の私は違うわけです。
私は毎日の食事を「ハレ」から「ケ」(※)に変えただけで、便秘で苦しみ、吹き出物で顔を腫らして皮膚科に駆け込んだ時期とサヨナラしました。その頃はきっと腸内環境が良くなかったのでしょうね。最近話題の「腸内フローラ(花畑)」のバランスが善玉菌20:日和見菌70:悪玉菌10の割合ではなかったのでしょう。腸内の環境が整うと、体はもちろん、精神的バランスもとれてきます。
たかが「便」されど「便」。今回のお話でうんちが身近になってくれると嬉しいです。
渡邉雅美(健康管理士・食育アドバイザー・マザーグース主宰)

※日本の民俗学では日本人の食事を「ケ」の食事と「ハレ」の食事に区別することがあります。「ケ」の食事とは日常の食事。身近で手に入る穀物、野菜、魚介類から構成され、それぞれの地域の生活や文化を反映しているといわれています。「ハレ」の食事は仕事の節目などを祝ったり祈ったりしながら食べる特別な食事のことで、「ケ」より豪華です。現代は、毎日、ハレの日になって、ご馳走を食べ過ぎているとも言われています。