vol.170 みんなで取り組みたい!菜の花プロジェクト

菜の花プロジェクトタイトル

今、全国で「菜の花プロジェクト」の取り組みが広がっています。「菜の花プロジェクトネットワーク」には現在、全国でおよそ120もの団体が参加しています。
この「菜の花プロジェクト」とは、地域の「資源循環サイクル」の確立を目指して行われている取り組みです。そのしくみは、転作田や休耕田を活用して菜の花を栽培し、収穫したナタネは搾油してナタネ油にして家庭での料理や学校給食に使用。搾油時に出る油かすは飼料や肥料として活用され、家庭や学校からの廃食油は地域で回収されてせっけんやBDF(バイオディーゼル燃料)にリサイクルされ、再び地域で利活用されるという形です。このモデルを1998年に最初に始めたのが滋賀県愛東町(現在の東近江市)でした。
持続可能な社会の地域モデルの図
もともとは1970年代に琵琶湖の水質悪化が深刻になる中、滋賀で「せっけん」を使おうという運動が始まったのがきっかけです。この時、「家庭から出る廃食油を回収してせっけんへリサイクルする運動」が広まりましたが、廃食油の回収量が増大する一方で、合成洗剤の普及に伴いせっけんの使用率が著しく減ってしまいした。そんな中、廃食油の新しいリサイクルのしくみを探る中で注目されたのが、ドイツで進められていたナタネ油の燃料化計画だったのです。
菜の花プロジェクトでは、ムダになるものをできるだけ減らし、資源として地域の中で連鎖させ活用することで循環型社会の実現を目指しますが、その取り組みの基本は、しっかりした回収の仕組みを地域の中に作り上げること、それを進める人々を育てることです。さらに、それぞれの地域の特性や課題を踏まえた上で、集めた廃食油をリサイクルするための適正技術の開発や、リサイクルされたものを地域で利活用していくといった「地産地消」にもつながる考え方を広めることも大切です。せっかくせっけんやBDFにつくりかえても、それが使われなければリサイクルの輪が途切れてしまうからです。

最初に始まった愛東町のモデルをもとに、「菜の花プロジェクト」に取り組む地域・団体の数が徐々に増え、それぞれの地域が独自の文化や特性を生かして取り組む中で、養蜂との連携、菜の花の観光利用、小中学校などでの環境教育としての利用などより広い資源循環サイクルへの展開も見られるようになりました。2001年からは毎年「菜の花サミット」が開催され、資源循環型社会、持続可能な社会のより有効なモデルづくりを目指して地域間の相互交流が行われています。
菜の花プロジェクトネットワークより

なたねタイトル

「なたねのひとつぶ体験活動」では、油を軸とした親子参加型の体験活動を展開しています。昔から循環型社会の鍵を担ってきた「油」を切り口に、食・農・生活・地域活性・環境・地産池消・社会・多世代交流・健康など広い視点から、子どもたちの食の安全と未来のために、持続可能な食の基盤を地域に作りたい。そういった思いがベースになっています。
自分の子どものアレルギーから、食を含む生活を変えること、学ぶことの大切さを教わりました。油をはじめ、今うちにある食材が、どうやって作られ運ばれてきたのか。食育が大切と言われる割には、実体験に基づく学びの場が乏しく、生産者の顔が見えない、という現状を変えるきっかけを作りたかった。

活動のキーワードは[循環]。古代から人の生活を支えてきた「油」、特に植物由来の油は食・暮らし・産業・農業すべてにわたり、循環型社会の鍵でした。現代でもそれは変わらず、菜種を搾った油は料理(昔は灯火などにも)に。搾り粕は良質な家畜の飼料や畑の肥料に。廃油はバイオ燃料や洗剤類として再利用され、全くムダがないんです。農業の担い手が減って問題視されている耕作放棄地は、里山の生態系を荒らし、川海も汚す。これを活用して、今の私たちの生活、地域の中でも循環できる仕組みを作っていきたいんです。農家、事業者、地域の多世代の方々、若い親子、色んな立場の人びとの交流が生まれ、一粒の菜種からどんどん輪が広がっていきます。
菜種は生命力が強く栽培しやすい反面、近隣の種と交雑しやすい難点もあります。そこで問題となるのが、海外から輸入された遺伝子組み換え(GM)菜種との交雑です。
CCF20160210
2015年から2016年にかけ、なたねの仲間たちは、根尾・岐阜市向加野・美濃市の3箇所の畑でみなさんの力をお借りしながら菜種を育てています。春以降は菜種畑の草取りに始まり、6~7月頃には菜種の収穫、脱穀、乾燥と作業が続きます。9月以降に菜種の搾油。秋以降には、初収穫(たくさんできるといいな!)を記念して、マルシェとともになたねの収穫祭を行います。
今後は岐阜県版遺伝子組み換えナタネマップづくりに取り組む予定です。例えば三重県では、日本で遺伝子組み換え商業栽培が行われていないにも関わらず、輸入される菜種が港から製油工場へ輸送される途中に落ち、それが自生して交雑、拡がってしまうという深刻な事態が起きています。これを食い止めるために活動している人たちもいます。なたねのひとつぶ体験活動でも、「岐阜県版GM菜種マップづくり」に取り組みます。TPPがさまざまな分野で影響してきます。GM作物の問題が身近なものであるということを、マップ作りをして注意喚起を促せたらと思っています。今後の活動内容、イベント情報はホームページ、Facebook、配布物にて随時発信していきます。

お問合せ:なたねのひとつぶ体験活動実行委員会メール:natane.no.hitotsubu@gmail.com
090-1317-3588(森山) 058-275-2224(とまり木)058-253-5506(こびとのすみか)まで





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創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

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