vol.170 暮らし上手医・食・住 立ち居振る舞いは目から入ることばなり

所作タイトル
最近ではあまり聞き慣れない言葉となってしまった「立ち居振る舞い」。電車の中で大声でしゃべる、大股を開いてすわる、荷物を足で移動する・・・その人の心の表れ。また、慌てていたり、怒っていたりすると威圧的に見えたりします。
立ち居振る舞い(所作)とは、気持ちがそのまま態度に出て、相手に言葉で話したのと同じように伝わる」と、『ホスピタリティ精神の深化』(山上徹著、法律文化社)に書かれています。日常のちょっとした振る舞いに少し気を配ってみたいと思います。
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「いただきます」

食べ物をいただくとは、
命をいただくということ

食事の時に「いただきます」ということは誰でも知っています。では、何をいただくのでしょうか。目の前に並んだ料理をいただくのはもちろんですが、料理の食材である肉や魚も、野菜類も、もともと生きていた、つまり、命があったものなのです。いただくのはその命。
まさに尊い命をいただくのですから、こころから感謝の思いを込めて、この言葉は発せられるべきでしょう。しかし、さまざまな場面で食事風景を見ていると、手を合わせて「いただきます」といっている人はほとんどいない。料理が置かれるか置かれないかのうちにもう、箸をつけているということも少なくありません。
手を合わせるのは心の中でもいいし、「いただきます」とそっとつぶやいたっていい。その所作で感謝の思いが広がるのです。
禅の修行中は精進料理ですから、動物や魚はいっさい食べません。これはできるだけ殺生をしない、という意味からです。青菜や根菜などの植物は、根絶やしにしない限り、命は失われず、また、再生します。ところが動物や魚の命はいったん失われたら二度と蘇ることはありません。そのことに思いをいたせば、「いただきます」をいうことの大切さが、いっそう強く実感されるのではないでしょうか。

「五観の偈」(ごかんのげ)
一、たくさんの人の働きで、今この食事があることに感謝しながらいただく
二、このありがたい食事をいただいていい自分なのか、おこないを反省していただく
三、貪りや怒り、愚かな心がないか、問いかけながらいただく
四、体も心も健全に保ち、修行を続けていくための良薬としていただく
五、人間としてよりたかい人格を磨いていく、(成道をなすために)。そのことを思い、合掌していただく
「いただきます」のようなていねいな動きには心がこもります。
日常の立ち振る舞い、何をしているときでもその所作の一切合切が修行!所作が大切なものだという視点で、それぞれの生活を見直してみる。毎日の食事の仕方、朝起きてから仕事に向かうまでの時間。夜寝る前もテレビをみてうとうとしてしまっている…。いずれも所作の大切さが忘れられています。言葉を言い換えれば、せっかくの美しくなる機会をみすみす放棄しているのです。もったいないと思いませんか?

そもそも人の「美しさ」とはなんだろう?
それは、内からにじみ出てくる美しさ、そして、いきいきと生きることではないでしょうか。たとえ外見がハッとするほど目を惹いても、所作がだらしなかったり、言葉がぞんざいだったら、たちまち美しさは剥がれてしまいます。内面の美しさの鍵は「所作」です。まず、所作のもっとも基本となる「姿勢」を正しましょう。そしてしっかり「呼吸」をすることです。姿勢や呼吸は、生き方と密接につながっているのです。
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姿勢のチェック
同じ年齢でも、姿勢がいいか悪いかで差がつきます。小さい子どもはおとなを見て「おねえさん」と呼んだり「おばさん」と呼んだりしますが、判断基準は顔でもなく、声でもなく、姿勢だと言われています。よい姿勢は健康、さらに美容の面でもよい影響を与えるのです。曲がっていた背筋を伸ばすと、胸がグッと広がり深い腹式呼吸ができるようになります。血行がよくなり細胞が活性化され健康につながります。この腹式呼吸が楽にできるのがいい姿勢と言えます。姿勢が整うと、呼吸も整うということです。所作、呼吸、心は三位一体。イライラしている人に所作の美しい人はいません。

呼吸は正直なあなたの心を示す
呼吸はその時の心の状態にリンクしています。自分ではいくら緊張していないと思い込もうとしても、呼吸は深いところにある本当のあなたの心をあらわしてしまいます。一方、緊張しているときに「ふぅ〜」と深く呼吸してみたら、緊張が解けたという経験がある人もいると思います。呼吸は心の状態によって変わり、逆に、心は呼吸によって変わってくる。そういう相互関係があります。とすれば、呼吸を整えれば、心もいい状態に安定する、ということになります。ぜひ、その方法を身につけましょう。
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多くのものは、簡素になればなるほど美しい
所作の美しさの原点は・・・実は、“簡素”のなかにあります。禅と深いかかわりのある枯山水の庭。枯山水が見るものの心を打つのは、石を配し白砂を敷くだけ。これ以上そぎ落とすことはないという段階までそぎ落とす。すると、一見、閑かに見えるたたずまいの中に、無限の広がりと奥行き、そして緊張感が生まれます。まさに「簡素の美」といっていいでしょう。所作においても動きの無駄を省いていくと、一つひとつの動きがていねいになって心がこもります。すると、体と心が一体になった美しい所作ができるようになります。

日本文化に触れる
生きていたら、仕事や人間関係、その諸々が原因となって心が騒いだり、荒んだりすることがあって、当然です。大事なのはそれをそのまま放っておかないこと。書でも絵画でも、あるいは茶の湯でも、なにか日本文化に触れて心を静めてください。そして、静かな心で悩みや迷いを吹っ切っていく。美しい生き方とはそんなことだろうと思います。

「所作なんて、形じゃないか!」という考えは捨てて下さい。所作を整えることは心を整えること。所作を磨くことは心を磨くことです。「心」に比べると「所作」は整えたり、磨いたりすることが、比較的やさしい、そのことを覚えておきましょう。

参考:禅が教えてくれる 美しい「所作」の基本





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