「テフロン加工のフライパンついて」
一昔前は、フライパンと言えば、鉄でした。
ところが、今では軽くて熱伝導の良いアルミ
をベースとして、 その上にフッ素樹脂をコーティングしたものが圧倒的に多くなりました。お手入れの手軽さが一番の魅力でしょう。フッ素樹脂加工フライパンの一部には、油なしでも調理ができることをうたっています。 しかし、油を使用しない調理は、本当に美味しいのでしょうか。 脂ではなく「油」を摂取するのが本当に健康に良くないのでしょうか。 植物性の「油」は、健康を考えたら人間が摂取しなければならないはずです。
最近ノンスティック・フライパンの宣伝が目につきます。ノンスティックとはテフロン加工やシルバーストーン加工と 呼ばれているような、焦げ付きにくく少ない油での調理が可能なコーティングのことです。(以後、このフッ素樹脂をデュポン製以外も含めて、紙面では便宜上テフロンと呼びます。)宣伝ではPFOA(ペルフロロオクタン酸)を使用していないことが強調されていますが、PFOAを使ってなくても似たフッ素樹脂を使っている製品があるようです。
PFOAとは、毒性は?
PFOAは鍋を焦げ付きにくくするフッ素樹脂を作る時に使われます。フッ素と炭素・酸素・水素からなる人工化学物質で、自然界で分解されず、体内に取り込むと排泄されにくく蓄積します。PFOAは世界中を汚染しています。日本の河川水からも検出されています。テフロン加工調理器から食品などへのPFOAの移行が心配されていましたが、最近、ノンスティック調理器から食品などに移行することが証明されました。PFOAはがんや免疫異常と関係があるといわれています。米国でデュポンの工場が水道水のPFOA汚染を起こしました。この事件のため米国環境保護庁とデュポンなど8社はPFOAの使用を2015年までに止める約束をしました。また、今年10月7日、PFOA汚染で健康被害を受けた女性が、デュポン社を訴えた裁判で勝訴しました。
テフロンの熱分解
テフロン加工調理器を加熱すると、フッ素化合物であるテフロンが分解し、有毒なガスを発生することが知られています。テフロンを使って調理した時、飼っていたインコなどの鳥類がテフロンのガスにより死んだことは良く知られています。インコが死んだのは280℃に加熱した時です。なお、肉を焼く時の一般的な温度は260℃程度です。つまり、肉を焼く程度の温度で、テフロンが分解する可能性があります。さらに肉が接していない部分は高温になります。テフロンを加熱し、びまん性の肺浸潤と診断された女性もいます。
これらのことがきっかけとなり、テフロンを加熱することにより生じるガスの研究が行われ、高温になると猛毒ともいえるガスが発生することが報告されました。なお、最近のPFOAを使わないノンスティック調理器でも、高温にしないように注意しましょう。
どうしましょう?
テフロン加工は数年で、人によっては半年でこびりつくようになり、使い物にならなくなります。おそらく被覆しているテフロンに傷をつけたり、高温で分解させたりして。さらにはテフロン加工の使用は健康に悪いかもしれない。それでも新しくテフロン加工のフライパンを買って、使い続けますか?
ベストなのは鉄製の調理製品!
鉄製のフライパンなどは使う時に予熱する必要がありますが、ほぼ一生使えます。正しい調理温度で調理すると、食材がフライパン表面にこびりつくことなく、こんがりきつね色に仕上がります。「こんがりとしたキツネ色」に仕上がるのは、 「焼く・炒める・揚げる」作業が理想的であった証し。もちろん食べても美味しい。なによりも、鍋からはがれた気味の悪いテフロンを食べる必要がありません。売り場に行って新しいノンスティック調理器を見た時、製造法の表示を探しましたが分かりませんでした。製造法が分からない調理器は不気味ですね。
*鉄フライパンは使初めが肝心。「空焼き」と「油ならし」 をていねいに。調理する時は、十分に熱してから油を注ぐ、というやり方さえマスターすれば、熱ムラがなく、こびりつきもありません!しかも強火調理が出来るので時短にもなり、うまみも逃さないといいことづくめですよ!にらめっこ編集部
わたなべかずお:福島県生まれ。新潟大学卒。浜松医科大学勤務(脳研究と教育に従事)医学博士、各務原ワークショップ主宰(毎月第4木曜日13:00〜渡部宅(各務原市蘇原東栄町)主に健康と環境に関することの勉強会)参加希望者はbandaikw@sala.dti.ne.jpまで