NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子
いろいろな国の人に出会った研修
6,7月に新たな挑戦として、実務者研修というものを受けました。5冊の本を読み、自宅学習。ネットで質問に答えつつ、70点以上が合格ラインです。それをクリアーすると、通学講習です。20代・30代の人たちに交じり、介護過程5日間、医療ケア2日間、岐阜駅前の教室に通いました。9時30分~18時までびっしりと座学と実習です。人生で初めて脳がフリーズすることを経験しました。何を考えているのかさっぱり分からなくなる。集中力が全くなくなってしまう状態に陥りました。これは面白い経験でした。
普段は頭の中に空き容量があり、考えているのだなと思いました。研修の内容はすべて高齢者の介護のことでしたが、結構新鮮で楽しかったです。障害者の支援をしている者であっても、この講習を受けないと資格がもらえないのです。何か変だなと思いつつも制度なので仕方がありません。15人の参加者のうち、なんと半数は外国の方でした。インドネシア、ネパール、モンゴルなど国際色豊かでした。彼女たちは日本語も堪能で理解力も優れていました。きっと優秀な人ばかりが集まってきているのだなと思います。外国人の介護は嫌だと思っていましたが、彼女たちは真剣で、優しく、日本語は上手です。少し仲良くなり、どうして日本を選んだの?とかお給料はいくら貰っているのとか?聞いてみました。
中国語は漢字ばかりで難しい。韓国語より日本語の方が、ひらがながあるからやさしいという答えでした。お給料は内緒ですが、無茶苦茶低くはなかったです。その後、よくよく聞くと介護福祉士の資格があれば、日本で働く期間が5年という縛りがなくなり、何年働いてもいいのだそうです。そして家族も呼び寄せられるのだそうです。だから真剣でした。勉強して自分のものにしようと意欲満々でした。研修用の本、資料には、ルビが打ってありました。どうしてルビが打ってあるのか不思議でしたが、疑問が解けました。休憩時間も皆さん集まり、勉強しておられる姿が見られました。
彼女たちが介護福祉士を取ることは、生活に直結しているのです。私の隣の席の人は、ネパールの人で、家族への仕送りは給料の半分以上だと言ってらっしゃいました。私自身は、彼女らに会い、介護の勉強以上の勉強になり、刺激を受けました。授業が終わって へ買い物に行くからと、一緒に名鉄岐阜駅の方へ歩いている時に25歳のインドネシアの人が、以前勤めていた施設の事を話してくれました。夏の暑い時に、『「クーラーを入れるな」と施設長が毎夜、見回りに来るんです。私たちを人間と思ってないんですよ。腹が立ったから、すぐその施設は辞めました。今の施設はそんなことなく、とてもいいです。』と。外国の人を下に見ている人も少なからずいるのだと思いました。
その後、「伊藤さん、一緒にご飯食べに行きますか?」と誘ってくれましたが、「ごめんなさい。家族が待っているから」とお断りをしたのですが、彼女たちともっと話したかったなと思いました。
今では、海外から働きに来る人は多く、エンジニア・バスの運転手など職種は多岐にわたるようです。日本人と同じ待遇で雇用されることを願っています。福祉の世界は人材不足と言われますが、お給料が安いので、ここにお金をつぎ込まない限り、解決はないと思われます。この研修で若い人たちのやる気満々の姿を見ることができ、本当に嬉しかったです。また、講師の方もパワフルで、心底高齢者の方の幸せを考えて下さっている方でした。明るい未来を少し垣間見ることができました。