vol.221 その水道水、だいじょうぶ?


問題は解決していこうという姿勢が大事。

なぜ血液検査をするのか。PFASが摂取されると血液中に含まれます。ですから身体の中を調べるのが一番、それくらい血中濃度は大事なんです。それぞれ生活習慣が違うし、もし脂質異常とかおこるのなら検査するときちんと対策を取ることができるので、検診は本当に大事なんです。
また、総合戦略として地域における対応が大事で、知見がないのはどこも同じ。日本の基準値は50ng/l でアメリカは4ng。さらに国際基準で厳しくなる可能性はあります。だからこそ、これからの長期的対策が必要です。
泡消化剤は、火災が起きなくても訓練で使用するので、それが地下水汚染につながります。地下水汚染も長期的対策が必要です。我々にできることは、まず日用品のPFAS使用は避けることはもちろん、フッ素樹脂配合のモノも使用しない。最低でもこの2つは覚えておいて欲しいですね。

原田 浩二(はらだこうじ)京都大学大学院医学研究科准教授。専門は環境衛生学。2002年に京都大学で小泉昭夫教授(現・名誉教授)の調査チームの一員としてピーファス汚染に取り組み、近年は国内各地の市民団体と協力しながら、PFAS汚染の調査・研究に取り組む。
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各務原市の水道水の水源である「三井水源地」では、発がん性が指摘されているPFASの値が、3年前から国の定める目標値を超えていました。公表が遅れたことを受け、「PFAS汚染と市政を明らかにする会(代表/小川 麻美さん)」が市長宛に要望書を提出しました。
令和6年3月15日に各務原市長からの回答が以下の文面(上)。相対的に岡山県吉備中央町の取り組みも掲載します。(下文面)

岐阜県 各務原市の姿勢

要望1.水道基本料金の減免の実施
要望2.浄水器の配布もしくは購入した場合の購入費の補助

回答:水道水として遵守しなければならない水質基準(全51項目)は全て基準値を満たしていること、また令和5年10月以降は、既存の曝気槽を利用した活性炭による浄化システムが稼働し、国が認める暫定目標値(50ng/l以下)を下回った水道水を供給できていることから水道基準料金の免除及び浄水器の配布や購入費の補助を実施する予定はございません。

要望3.希望する地域住民へのPFOS及びPFOAの血中濃度測定の実施

回答:血液検査につきましては、現時点での知見ではどの程度の血中濃度でどのような健康被害が生じるかについては明らかになっておらず、PFOS及びPFOA が人体に影響を与えるメカニズムも解明されていないことから、健康影響を評価するための血中濃度に関する基準を定めることが困難な状況です。このことにより、市で血液検査を実施する予定はございません。

要望4. 三井水源地対象地域への継続的な説明会の開催

回答:三井水源地から配水している水のPFOS及びPFOAの濃度、活性炭施設の運用状況またモニタリング調査結果等について、市ウェブサイトや広報誌を通して最新の情報をお伝えしております。しかし、 現在稼働している活性炭施設の状況等、現地に出向き実際に見ないとわからないことも多くあると思いますので、現場での説明会や視察の受け入れはご希望により対応いたします。

一方、同じような状況下にある岡山県吉備中央町は

岡山県 吉備中央町の取り組み

1.血液検査の実施

希望する住民を対象にPFASの血中濃度を調べる血液検査を今年度に実施、5年後も実施する予定。
町はこの血液検査の分析などに関する研究を岡山大学に依頼。

岡山大学は
① PFASの血中濃度の分析
② 血中濃度を下げる要因 の研究
③ 特定健診の既存データ を活用した脂質や肝機能 などの調査
④ 学校健診や乳幼児健診の結果分析

計画案を作成した岡山大学大学院の頼藤貴志教授は、「住民の健康状態が把握できるような仕組みを作りたい。健康影響を解明することができたらいいし、住民の不安の解消につながればと思う」
町の保健課は「PFASの問題はわからないことが多いので、住民の不安解消や実態の解明につながればと思い研究を依頼した」と話しています。

2、給水の住民に3年分の水道料金返還

令和6年2月、対象となる約500世帯で水道料金を返還。
必要な費用はおよそ1億1500万円。

3、住民説明会などの実施

令和5年10月、吉備中央町の会場で住民およそ200人が集まり説明会開催。最初に山本雅則町長が「ご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。
令和5年11月、円城浄水場のPFAS検出に関する健康影響調査結果の中間報告説明。
令和6年1月、円城浄水場健康影響に係る、ご意見ご質問等についての回答。町の不適切な対応を検証する第三者委員会の立ち上げ健康診断などを検討する専門委員会の立ち上げ。

健康への影響
・ 脂質異常症、甲状性疾患、子どもの出生体重、ワクチン接種後の抗体値、一部のがんなどのリスクが上がる
・ 健康被害とリスクの違い
リスクは確率。PFAS濃度が高いとその割合が徐々に上がってくる。

対策は?
・発生源を止めること。
・ 除去する方法は、単純でも活性炭が導入しやすい。
・ 行政対応が第一!
・ 個人として出来ること。
浄水器、値段が高くなくても良い。浄水器の活性炭は定期的に交換すること。日用品のPFASはできれば避けること。
・ 長期的な視点を持つこと。これからの対応が重要となってくるので、色々な視点で知識を得ておく。

まとめと今後
総合戦略として地域における対応が大事。知見がない というのは言い訳にならない。今後基準値は、アメリカはもっと低くしていくと考えられる。特にPFASは未だに広がっているというのが現状。健康上も行政が積極的に取り組むべき。
・ 日本では水道水の目標値は当面50ng/Lが続くと思われるが、リスク評価は常に進行しており、より厳しくなってきていることに注意が必要。
・ 評価が定まっていなくてもリスク管理。
・ PFAS汚染が見られる地域での血中濃度は健康リスクを懸念する状況。
・ PFOA,PFOS以外のPFASも含めた調査が必要。
・ 高い曝露がある地域では血中濃度調査は選択肢
濃度に応じて、健康管理と予防。
・ 環境、健康をよりよくしていく取り組みへ。

 

Q:50ng/lから減っているから各務原市民は安心している。
A:研究者としてここの地域を調べていますが、PFASは活性炭で除去できると  はいうものの、抜本的にPFASを含まない水源を確保することが重要。ずっと使い続けられる水源を確保すること。中途半端な選択はしないこと。なぜなら余計にお金がかかることになるから。解決は政治。各務原市役所は消極的のようですね。議員を動かすのも市民の力です。

Q:三井水源地付近に住んでいます。土壌汚染が気になります。無農薬で畑をしているのですが、野菜が心配。
A:土壌中の濃度がどれくらいなのか、地域によって変わる。一定の割合でPFOSは含まれると思う。しかし、水道から摂取するよりも野菜は影響は少ない。

Q:放射能の汚染もそうですが、日本人はすぐに忘れがちです。
A:公害の健康被害に比べ、PFASは広い範囲で少しづつ、リスクが広がるので被害が見えにくい。行政は管理をちゃんとすること。全国的な課題として、行政は責任を取らないといけない。地域が違うと、関心が低い環境問題。いろんな地域でいろんな被害を受けている人のことに思いを馳せて欲しい。

Q:血中濃度が気になります。
A:とにかくPFOS PFOAの摂取を減らすこと。そうすることで1/2また1/2と減っていきます。それによって、リスクも下がっていきます。

 

 





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