vol.221 ぎむきょーるーむ 空間認知能力

空間認知能力…あまり聞きなれない言葉ですね。先日、孫娘の保育参観がありました。近くの中学校の体育館で「サッカー体験」がありました。その時、サッカー指導者から「サッカーをはじめとするボール遊びは空間認知のトレーニングになります」という言葉を受け、知的好奇心がむくむく。早速調べてみました。元幼稚園園長(今は退職)さんも「幼児期に大事なトレーニングの一つ」といわれ、ますます興味が湧きました。なので、今回は「空間認知能力」をテーマに編集しました。

 

空間認知能力とは
空間にある物の位置や形などをとらえる力のこと。空間にある物の位置・形・大きさ・速さ・向きなどを、素早く正確にとらえる能力のことをいいます。空間認知能力が高い人は、実際に目の前にない物でも素早く頭の中で結び付けてイメージすることができます。
日常の場面では、地図を見て行き先を把握する、バスケットボールやサッカーのゴール位置をとらえ正確にボールを放つ、展開図を見て出来上がりの形をイメージする、といったようなときに発揮される力です。

空間認知能力が低いとどうなる?
空間認知能力が低いと身体の感覚や動作が鈍くなり、距離や幅、高さをとらえる事が難しく、物にぶつかったり、つまずいて転んだりする事が多くなります。
また、運動やスポーツも空間の認識が低いと、ボールを投げる距離や速さの予測、跳び箱の踏切位置などの感覚を把握するのが難しい為に苦手になる場合もあります。
スポーツ中はもちろん普段の生活の中でも特定の動作が苦手になる場合があります。効率的に動けなかったり小さなミスが増えたりすると、本人のイライラやトラブルに繋がってしまうことも。

空間認知能力が高い子どもの特徴
 空間認知能力が高い子どもの一例として、以下のような特徴が見受けられます。
・人や物にぶつからずに歩ける

空間認知能力があれば、人・物と自分の間にある距離感をうまく測れるので、近づきすぎぶつかったりすることなく、うまくスペースを確保しながら進めるのです。
・ボール遊びがうまい
ボール遊びをうまくこなすためにはボールが落ちる場所を予測し、目的地との距離を感覚で把握する必要があります。空間認知能力が高ければ高いほど、キャッチボールやバスケットゴールへのシュートといった動作がうまくなるでしょう。
・ご飯をうまく食べられる
しっかりと食べ物を口の中に運ぶためにはスプーンや箸を用いた場合の距離感覚を把握する必要があるため、空間認知能力が活かされるのです。食べこぼしの少なさや道具を使いこなすスキルにも繋がります。

空間認知能力を鍛えるスポーツは?
バスケットボールやサッカーといったスポーツも、かなりオススメです。 多くのスポーツでは、ボールや選手の位置を把握して、それらの動きや速度を予測しないとうまく対応できないため、自然と空間全体を意識するようになります。

空間認知能力を鍛える遊びは?
屋外では鬼ごっこやキャッチボール、アスレチックなどの物や空間を意識して行う遊びがおすすめ。 鬼ごっこでは鬼から逃げるにはどう逃げればいいのか、鬼は捕まえるためにはどう動けばいいのか考えて動くことになるでしょう。
室内では、お絵描き 描こうとする物をよく観察したり、出来上がりをイメージしたりすることによって空間認知能力を鍛える効果があります。他にもブロック・積み木・折り紙 ・パズルetc.

空間認知能力は何歳までに鍛える?
5歳までに鍛えるべきです。 一般的に子どもの空間認識能力は3〜5歳の時に著しく成長するので、この時期を逃さない手はありません。


空間認知能力はどのように発達する?
小さな子どもは空間認知能力がまだまだ未熟です。大人は子どもから目を離さず、交通事故などの危険から守る必要があります。両眼視ができるようになる4歳ごろからは、空間認知能力が徐々に高まり始めます。

5~9歳頃
不完全ながら空間認知能力が身についてきます。それにより、これまでは平面的に捉えていたものを、立体的に捉えることが徐々に可能になるでしょう。
この頃には、対象物を複数の視点から捉えたうえで合体させた「ピカソ」のような絵を描くことがあります。これは空間認知能力が発達しつつあることのあらわれです。9歳近くなると、歪みのある立体を描けるようになります。

10~11歳頃
対象物を立体的に捉えられるようになります。個人差はあるものの、大体この頃には歪みのない正確な立体が描けるようになります。
空間認識能力が発達した分、球技などのスポーツがうまくなったり、地図を読むのにかかる時間が短くなったりするでしょう。不慮の事故などから身を守る力も高まります。

空間認知能力は遺伝?鍛えることはできる?
対象物に気づき、それを自らの知識などにもとづいて推理し、判断・理解する情報処理過程のことを「認知」と言います。この認知能力の個人差は、遺伝的な要因や環境的な要因などが複雑に影響し合ってあらわれると考えられています。
現代の生活様式のなかで、子どもたちが空間認知的な学習をする機会が少なくなっていることについて心配する声もあるようです。ひと昔前の子どもは、あやとりやお手玉遊び、木のぼりなどの立体的な遊びを中心に行っていましたが、現代の子どもたちの遊びは室内でのテレビゲームなど平面的なものが中心となっており、空間を強く意識する機会が減っています。
このような生活様式のなかで、周りにいる大人が子どもたちの空間認知能力を十分に伸ばすためには、その能力を鍛えるための働きかけを積極的に行っていくことが大切になります。

コエテコとサンキュ! kosodateより





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