本間 真二郎氏 講演会より
(5月26日 可児市文化創造センターala 主催:未来の命をまもる会)
約2時間。弾丸トークでのお話は、幾つものキーワードがあった。「自然」「不自然」「免疫力」「健康」「自然治癒力」「腸内細菌」「微生物」「自己軸」「他者軸」「統合」「発達障害」「ワクチン」「生態系」「現代病」「食べ物」「伝統」「環境」…テープ起こしをしてA4に26枚。そのどれもが重要なメッセージで、さてどのように編集したらよいか悩んだ結果、できるだけ大切なことを2回に分けてお伝えします。
自然に沿った生活をしましょう
私が伝えたいことは単純明快。「自然に沿った生活をしましょう」ということ。この一点に尽きるんですよ。
全ての病気の原因は不自然な生活から。自然に沿っていれば病気だけじゃありません、すべてがうまくいく!ということ。
病気の原因は自然に反した生活、生き方そのもの。自然とは命を育むシステム。だから自然から離れれば離れるほど命が減っていき、病気になる。病気になった原因は遺伝でも体質でも歳でも、運でもありません。もちろん神様のせいでもありません。病気とは自分の生活、今やっていること、もしくは今までやってきたことが、ただ心身に現れているだけ。病気は結果。
何が不自然なのか、自然の仕組みに沿っていない生活です。体、身体的には腸内細菌や環境の微生物、自分の周りにいる微生物に悪影響を与えるような生活です。自由に自分らしく生きて体と心の両方を問題がない状態、それを健康と言います。
もともと備わっている自然治癒力
主な慢性疾患、推定患者数は、高血圧4300万人。日本人の人口は一億2千万ですから、3人に1人が高血圧です。糖尿病 2000万人、脂質異常症1800万人。西洋医学はすごい勢いで今も発達し続けています。毎年ノーベル賞を受賞したり、新しい治療法がでたり再生医療が出たり、素晴らしい薬が次々登場している。なのになぜみんな病気になってる??おかしいと思いませんか?
ほとんどの病気自体は元の健康な状態に戻す力が働くんです。これを自然治癒力って言います。本来我々の体にはそういう力が備わっています。自然治癒力が働く時に出てくるのが、症状です。バイ菌が入ってきてそれをなんとかするために自分の体の方が熱をあげるんです。熱が上げれば上げるほど免疫力が上がるから。症状は辛いかもしれないけれど、自分が治そうとする力のあわられ。症状を取るということは自分の治癒力も削いでしまうということです。
対症療法と根本療法
西洋医学は対症療法です。まず対症療法について、木を例にお話しします。木に毎日赤い水をやったら葉の色が赤くなった(症状・病気)。赤くなった枝や葉っぱを取ってしまいます。取りきれない赤い葉は上から緑色で塗る。塗るのはそもそも毒なんです。赤い水は与え続けて、根本の原因を全くわかろうとしない。赤い水をやっているのが間違っている。水を透明に戻せば当然病気は治るはず。根本の原因にアプローチするから、これが本当の根本治療です。
さらに西洋医学では、がんができたら手術で取りきる。お医者さんに「良かったですね。退院して元の生活にお戻りください」。でも、元の生活ががんを作っているんです。日常生活に問題があるから病気になるので、日常生活の悪かったところを改善するのが唯一の根本療法なんです。それ以外は全て対症療法。元々の原因にアプローチするのが、本当の治療なんです。
現代病は産業革命から始まった
現代病とは、現代に爆発的に増えている病気のこと。一番の代表がアレルギーで日本には6000万人。2人に1人です。70年前、終戦直後は1万人に1人だった。異常に増えているのはアレルギーだけではありません、自己免疫疾患(膠原病)、がんも増えている。鬱、自閉症、発達障がい…
同じ原因で増えていることが気になります。その原因は、微生物を排除していること。なぜ微生物を排除すると現代病がこんなに爆発的に増えるのかというと、免疫系に異常をきたすから。産業革命以降、微生物が減少しています。世界で初めて農薬が登場した時、ワクチン、抗生剤、食品添加物…社会の環境悪といわれる化学物質が地球上に初めて登場したのは、1850年ごろ。この地球上に不自然な化学物質がものすごい勢いで増え始めたのは1900年ごろ。だけど、現代病が出現したのは、その100年前。何を意味しているのか。 この現代病を出現させたのは産業革命なんです。革命以前の人たちは、ほぼ全員農民。農業すなわち微生物いっぱいの「土」に毎日触れてたんです。しかもこの時代の土は、化学肥料も農薬も一切ない時代。微生物やエネルギーに富んでいる土に毎日触れるような生活をしていた。しかし、産業革命を境にこの農民たちが次から次へと都会に引っ越して、農業をやめて工場の労働者になった。土や微生物に触れることのない生活を始めたことが、実は現代病を生んだのです。
すべての化学物質はたった一つの共通した役割を持っています。それは微生物を排除すること。ものすごい勢いで増え続けている化学物質が微生物の排除に拍車をかけた。それで現代病の出現!しかも激増です。
なぜ微生物を排除すると現代病が増えるのか
免疫細胞(簡単にいうと白血球)の調節は腸内細菌の常在菌が行なっています。常在菌は周りにいる菌とコミュニケーションしているんです。働いているのは白血球自体なんだけど、その調節は腸内細菌が行なっている。微生物と接触しないと免疫系は、子どもだったら正常に発達できないし、大人だと健康を維持できなくなる。免疫系が正常に機能しなくなる。その結果が現代病です。
腸内細菌とは何者か
善玉菌・悪玉菌・日和見菌というのは、わかりやすく名前をつけているだけで、こういう分類をしているのは日本だけ。重要なのは悪玉菌も必要、ということ。良い腸内環境というのは、多様性とバランスで決まります。次に、善悪関係なく種類が多ければ多いほどいい。それぞれ持っている遺伝子が違うので、たくさんの仕事をしてくれるから。でも、善玉菌がちょっと多いほうがいいですね。
腸内細菌の役割と自然のシステム
消化吸収を助けてくれる、栄養を供給する、有害物質を分解する、免疫系調整する、病気を予防する、第二脳活動・精神状態まで調整する…。必須アミノ酸や何やらを全部腸内細菌が整えてくれる。自分の健康を根底から支えてくれるのが腸内細菌です。
例えば、妊娠中のお母さんの体内は無菌なので胎児に腸内細菌はいません。お母さんの膣内はわざわざペーハーを下げて、乳酸菌を増やします。乳酸菌は善玉菌中の善玉菌です。実は、腸内細菌を作る時には順番が大事。何百種類もあるので、とにかく先に入ってきた菌がいい場所を占めます。一番先に入ってくる菌を一番の善玉菌である乳酸菌を選ぶ。これが自然のシステムなんです。お母さんの乳頭には、乳酸菌以上のビフィズス菌がなんと常駐。お母さんの母乳の中には、数百種類ものオリゴ糖という特殊なものが入っている。オリゴ糖は、取り込んだ乳酸菌、ビフィズス菌を育てる役割があります。すべてがうまくいくようになっている。これが本当の自然のシステムです。
次号は「食」と「メンタル」について。
「食事」「生活」「メンタル」という3つの柱
食事と生活が体を作っています。メンタルは心の動き。身体は人間に見える部分。心・精神は人間に見えない部分。体を元気にすることはめちゃくちゃ簡単。腸内細菌を元気にすることです。でも、メンタルはなかなか難しい。そこを編集してお届けします。
<本間 真二郎> 専門はウイルス学・ワクチン学で主にノロウイルス、ロタウイルスの研究に携わる。現在は地域に密着した医療に携わりながら、プライベートでは自然栽培で季節の野菜と穀物を育てたり、調味料(みそ、醤油、みりん、酢など)の自給自足を行うなど農的生活を送る。また、農的生活を通じて新たに細菌やウイルスなどの微生物の存在意義を再認識し、日々の生活や診療に取り入れる。