様々な幼稚園、保育園で「いのちの授業」を行っていますが、2年に1度揖斐川町にある森のようちえん「こだぬき」で授業を行っています。今年は保育の活動場所が変更したと聞き、初めての場所に車を走らせます。ナビを頼りに運転していますが、どんどん山道に入っていくので、一体どこへ連れていかれるのかと少々不安。そしてついた場所はとっても素敵な森の中。森の一角にあるコテージで授業をさせていただきました。
なんで、こんな素敵な場所で保育が実践できるのかをお尋ねすると、揖斐川町は、豊かな森林に子どもたちが親しみ、学び、たくましく育って欲しいと考え「森のようちえん」の取り組みを支援しているそうです。そんな町の支援を受け、とても素敵なフィールドで「こだぬき」の日々の保育は実践されていました。
私たちが普段授業にお邪魔している、幼稚園・保育園とはちょっと違う環境の子どもたちとの「いのちの授業」は、あれ?なんだかいつもと違う感覚・・・思いがけず、大切な気づきをいただく授業となりました。
最初の導入は「おへそあるかな」のパネルシアターです。
いつもの通り、楽しく歌いながら、おへそある?ない?のクイズで楽しみます。これは、どの園でも子どもたちが楽しんで参加してくれるプログラムです。クイズの後は、おへそのない生き物は卵で産まれること、おへそのある生き物はお母さんのお腹の中で育ち生まれてくる哺乳類であることのお話をします。
「生まれた赤ちゃんは何を飲んで大きくなるのかな?
毎回、そう問いかけます。すると、即答で「ミルク!」と答えが返ってくることが増えてきました。
「それは牛の乳だよ。人間の乳はなにかな?」
そう問い返します。それでも答えがない時は、「お母さんの?」と、言葉かけをしながら「おっぱい」という答えを引き出していきます。しかし、こだぬきの子どもたちは即答で「おっぱい」と答えてくれました。「おっぱい」という言葉がなかなか出てこない傾向が多い体験を重ねていたので、わぁ~ 凄い・・・と、導入でいきなり感動しました。
私たちは、ミルク派・おっぱい派とか、どっちがいいとか悪いとかではなくて、人間も哺乳類という動物として、ただシンプルにおっぱいが自然なことを伝えたいだけです。おっぱいが出ないお母さんが、ミルクを活用することは何ら問題はありません。こんな簡単なやり取りのなかでも、不自然なことが、当たり前になっている現実を感じました。
最近、人間が動物として生きる力がとても弱くなっていることを日々感じています。エアコンの効く部屋で過ごすことで、汗をかく機会も減り、機械音に囲まれ、自然の音を感じることも苦手な子どもたちが増えています。また病気になるとお薬で熱を下げることが多く、菌と闘う力、自然治癒力も弱まっている気がします。
私たちは、授業で伝えるために、生き物の受精や生まれ方の仕組みを勉強していますが、それぞれの生き物が種の保存のために、様々な仕組みがあることを学べば学ぶほど、生き物って凄いなぁ~と感動します。授業では、お産のお話をしていますが出産に痛みがあることや、時間がかかることは動物として自然なこと。時として医療の力も必要で頼ることを否定はしません。でも、不自然なことに違和感を持ち、思い通りにならないことを、自然なこととして受け入れることが当たり前に感じる人が増えるといいなと思います。
便利になることが悪いとは思いませんが、「こだぬき」の子どもたちと出逢い、思い通りにならない自然の中で毎日を生きていると、動物としての感覚が失われにくいのかなと感じました。
担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)