前号は「スマホは脳に猛毒!?」なんていうちょっとドキッとするタイトルで特集しましたが、今回はその続き、となります。
にらめっこ174号(2016年11&12月号に「自然、足りてますか?」というタイトルで特集を組み「自然欠乏症候群」について掲載しました。
やる気起きない、不安になる、いらいらする、落ち込む、憂鬱になる、何をやっても楽しくない、体がだるい、重苦しい、辛い、眠れない、熟睡できない。気力や体力が追いつかない感覚。こんな不調を感じている人結構多いですよね。これらの症状が「自然の欠乏」からきているのではというのが今回の話です。
1.「健康」と「病気ではない」は違う
「健康」=「病気でない」「弱っていない」ということではなく、例え病気でなくても健康ということにはなりません。どこも悪くないのに、なぜか心も体も不調な状態は健康とは言えないですね。
2. 自然欠乏症とは自然不足が原因で出る症状
英語では「自然欠乏症候群」をNature Deficit Disorderと表現します。Natureは自然、Deficitは欠損や赤字、Disorderは障害です。
「自然欠乏症」とは
2005年リチャード・ループという著述家が「あなたの子どもには自然が足りない」という本で提唱した自然欠乏症という概念があります。昔の子どもたちは川で遊ぶ、野原で遊ぶなど外で遊ぶことが通常でした。しかし現代外で遊ぶ子どもはまれ。子どもたちは、家の中に閉じこもりテレビやゲーム、Youtubeに夢中で、自然から遠ざかった生活しています。この自然から遠ざかる環境や生活が子供の心と体に影響を与えているというものです。
〜 自然欠乏症候群の症状 〜
☆集中力がない。一つのことに集中できない
☆他人に対する気遣いができず、友達とうまく遊べない
☆落ち着きがなく、じっとしていられない
☆忍耐力がなく、かんしゃくを起こす
これは子どもだけの話ではなく、都会に住む大人の心や体にも影響を与えます。「最高の体調」に載っていたワシントン州のボブ・ムーアヘッド牧師の文章ともとても関連しているように感じます。
3. 現代人の不調 – 人間は自然から遠ざかるほど、病気に近づく
現代医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、自然から離れるほど健康から遠ざかり、やがては病気になってしまうことを指摘したそうです。近代化が進み、テクノロジーが発展し、化学物質に囲まれる環境で暮らす都会人は、明らかに「自然」から遠ざかっています。自然から遠ざかることで、五感が鈍化し、注意力が散漫になり、脳の疲労を招いている可能性があります。
便利な環境に身を置き不便や不足を感じることはほとんどなく生活している。でも何か「足りない」と感じる感覚ありますよね。今ガーデニング、キャンプ、アウトドア、つり、山登りやトレランなど自然に触れる趣味が注目を浴びているのは、この何か物足りない感覚を埋めているのかもしれません。人の「自然に触れたい」という本能なんです。
4. バイオフィリア – 人は本能的に自然と のつながりをもとめている
バイオフィリアとは、生命や生き物や自然を表す「バイオ」と、愛好や趣味を表す「フィリア」を組み合わせた造語で「人は本能的に自然とのつながりをもとめている」という概念。人間は自然の中で進化し、自然に囲まれている時が一番くつろげる。自然は人にとって五感をフルに活動させることができる唯一の場所であると。その自然から離れると総合失調症、不安障害、気分障害を発症しやすいそうです。うつの代表的な症状である「体がだるい」「気力が湧かない」「眠れない」も自然欠乏症からきている可能性も考えられるそうです。
5. 自然欠乏症を防ぐには日々の意識が大切
「自然欠乏症のチェックリスト」
★日の出と日没を意識して生活している
★木材など自然素材の住宅に住んでいる
★静寂さや、自然の音などを感じやすい場所で活動している
★自然の香りを実感しやすい環境で活動している
★綿や麻、絹など自然素材の衣類をきていることが多い
★携帯電話やパソコンに接することが少ない
★長時間の自動車運転や電車通勤(通学)をしていない
★主に自然食を摂取し化学薬品は摂取していない
★飲料物は自然水や有機栽培などでつくられたものである
★電気毛布や電子レンジなど、電気製品は用いていない
★日常的に森林浴、日光浴などしている
★化学薬品を塗布または吸収していない
※このリストは、「何個チェックがついたら重度」と判定するのではなく、自然欠乏症候群にならないためには、どう暮らせば良いかを知るための手段としてください。
自然欠乏症を招くような生活。例えば、自然に触れる機会の減少、科学物資に囲まれた生活、自然のリズムを無視した夜型の生活を少しでも見直し、自然に触れる機会を意識的に作る、化学調味料を避ける、早寝早起きして太陽を浴びる生活をするでも変化させることができます。そうすれば、私たちが持っている自然治癒力が本来の力を取り戻すかもしれません。
6. 1ヶ月に5時間自然に触れる習慣を持つ
ストレス回復度では「気持ちが落ち着いている」「日々の仕事に熱意と意欲を持てている」「集中できている」など、活力度では「生き生きと活力に満ちている」、創造性では「新たなアイデアがいくつも浮かんだ」などの効果です。
1回30分程度を週2回、近所の公園や自然のある場所で過ごせば月に5時間になります。1ヶ月に1回海や山を訪れ自然の中で5時間過ごす選択もできます。5時間は最低ラインで10時間過ごせば更に効果が上がります。5時間を目安に自分に合った自然と触れ合うプランを作るのも良いですよね。
自分のためのMY RETREATを計画してみよう。
例えば、朝日を浴びること、平日公園に立ち寄ること、
休日に自分の好きな自然の場所を訪れること、
なんでも良いので自然とのつながりを生活に
取り入れてみませんか?
BE HERE NOWより