vol.213 ここいく日記 はじめの30歩!

持てる力を発揮できるお産を

私は助産師で女性の妊娠出産子育てに寄り添う仕事をしています。ここいくの「いのちの授業」では、子どもたちには「大人の体に近づくと命をつくる仕事が始まり、赤ちゃんができる体に成長すること」「赤ちゃんは子宮の中で丁度良い大きさになった時に自分で生まれる日を決めて生まれてくること」「生まれ方は二通りで膣を通って生まれてくる経腟分娩と、手術でおなかを切って生まれてくる帝王切開があり、どの生まれ方であってもお母さんは命がけでみんなを産んでくれたこと」を伝えています。
昨年の10月、青年会議所主催のキッズジョブパークというお仕事体験に助産院として出店し、子どもたちに助産師の仕事を体験してもらう機会がありました。母親の産む力と赤ちゃんの産まれる力を十分発揮できるように助産師がケアをすることが、満足なお産につながります。お産の時に産婦さんが安心、リラックスすることでオキシトシンというホルモンがたくさん出て、産む力がより発揮され、赤ちゃんへの愛着効果も高めてくれます。このことを子どもたちに想像してもらうにはどう伝えればよいかを考えました。
 赤ちゃんを産み出す感覚は排便の感覚に似ています。リラックスできる状況でないと出にくいことも似ています。そこで、排便がしやすい場所を子どもたちに聞くと、全ての子が家のトイレを選びました。慣れ親しんだ落ち着く場所は安心できて排便しやすい、「お産も一緒だよ」と伝えて、産婦さんが安心して過ごせるには何を望んでいるかを知ること、その人が望むことをすることがリラックスにつながると伝えました。
お産が進んでくると腰のあたりが痛くなったり、体が暑くなり汗をかいたり、のどが渇いたりします。苦痛や不快を軽減させるにはどうすればいいかを聴いてもらい、望むことをしてもらうことで、産婦さんはリラックスできます。「汗を拭く」「水分を飲むのを助ける」「うちわであおぐ」「痛いところをマッサージする」その他にも様々なケアの中から、目の前にいる産婦さんの状況や発する言葉を聞いて、どのケアが良いかを子どもたちに選んでもらい行いました。産婦さんは、自分に寄り添って大切にケアされることで、自分の持てる力を最大限発揮でき、自分の力で出産をやり遂げた!と思えます。もし、異常が起こり帝王切開などの医療が必要になったとしても自分が大切にされて力を発揮でき、ここまでやり遂げることができたと思えれば達成感や自尊感情が得られ、お産を前向きにとらえることができます。
でも、お産の現場ではともすれば、「無事に産めればよい」ということに重きが置かれ、産む人の人権や気持ちが置き去りにされているのでは?と思う時があります。それでも、お産の周辺の出来事は女性や子どもの人生に大きな影響を及ぼします。性教育と同じで、妊娠出産のことを学ぶ機会はほぼないままです。自然の営みとして妊娠出産をどう受けとめて日常生活をどう過ごすのか?そしてどのように産みたいと思うのか?妊婦健診で何回も通院していてもこれらのことを考える機会や情報共有の場は限られているのが現状です。ここいくの「いのちの授業」でも出産のことを詳しく伝える機会は今までありませんでした。今回の職業体験を機に今後はお産についても伝えていきたいと思いました。

今年度、各務原市まちづくり助成金が採択され、10月28日に「いのちのつながりフェス」の開催が決定しました。市民公園で「いのちの授業」が体験できます。

担当:ここいくメンバー 中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)





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