vol.213 熱中人 藤原 麻里子 さん


しなやかに流れを作り
活動の拠点でもある店をオープン。

柿渋と薬草のお店「Over Flow」オーナー 藤原 麻里子さん

ーI LOVE IKEDAとは

2016年から池田町が地方創生事業としてとして「池田町のことを町民が知らないよね」という話から、I LOVE IKEDAプロジェクトが始まりました。私は2年目からボランティアで参加しました。「いけ本」(フリーペーパー)の紙面の企画・取材していましたが、5年でプロジェクトは終了。I LOVE IKEDAのコンセプトには共感していたので、経験したことを活かし、引き継ぐ形で2017年から始めました。

ー 自然農、大豆栽培、味噌づくり…

最初は、自然豊かな池田町で、生きる力が身につくようなマルシェ を計画したところへコロナ。その時に、困窮時に強いのは?と自問自答したんです。やっぱり食べるものを育てられる人が一番強いんだろうな。ちょうどその頃に「畑使わない?」と言ってくれる人がいて、畑でのイベントに切り替えました。最初の1、2年は、菌ちゃん野菜応援団の亜紀さんから菌ちゃん農法を勉強し、菌を学んだので自然に寄り添う学びとして自然農を学び、畑で大豆を栽培しました。品種は自然農の先生が分けてくださった、滋賀県の在来種「水くぐり」。収穫後、足踏み脱穀機を使う予定が雨天続きで、すべて手作業に。それは大変でしたが、こういう作業って、昔の人たちに想いを馳せることもできるし、ありがたみというか、一粒一粒に愛おしさを感じますね。今年、この豆で味噌を仕込みました。麹は池田町の酒蔵さんからなので地産地消です。一年後が楽しみです。耕作放棄地を借り菌ちゃん農法→自然農→大豆作り→味噌作りという自然な流れができました。

ー薬草園から見えてきたこと

一昨年、夫の両親のふるさと巡りとして出身地である揖斐川町春日の薬草で有名な笹又(伊吹山の麓)を訪れました。義母の畑を案内してもらい、隣には「元祖 薬草弁当」を作り春日を盛り上げていた叔父が、仲間と作った薬草園があり、高齢になり知人に貸し出していると知りました。
数ヶ月後に、義理母から「薬草園が返ってきたからやらない?」って連絡があり引き継ぐことにしました。2022年の雪崩で薬草園の害獣除けの柵など全て崩壊され、大きな大木が転がってたり、ガードレールがぐちゃぐちゃになってたり。近くの砂防堤は5回も土砂崩れで土砂があふれだし道路が封鎖されたり。昨年は柵の修繕が間に合わず、ススキ以外の植物は全て鹿に食べられちゃいました。
なぜ土砂崩れが?と関心を持った事で、狼が絶滅させたことが、現代の鹿の生態系に影響し伊吹山・池田山でも地肌が剥き出しになっていることや、コンクリートで固める事が水脈を防いでしまったり、飽和状態を生み出すことになってる等、今までのよかれが違っていることも学びました。

ー柿渋から見えてきたこと

現在、岐阜県内では池田町で2軒のみ柿渋を製造しています。かつては日本の3大柿渋と言われた岐阜 ・ 美濃渋。柿渋とは青い渋柿を粉砕し圧縮した液体を発酵させて作ります。抗菌・防虫・消臭など効果効能があり塗装や染色などに使われてきました。池田町でしか製造していない、これこそ特産であり大切に残す事だと思い、I LOVE IKEDAの活動としても取り組んできた柿渋を「池田渋」として販売する事としました。

ー柿渋と薬草のお店ならではの店内へ

店内の木材は全て初めて柿渋塗装しました。教えてもらいノーマル、チタン、消石灰、鉄で媒染すると反応により色が変わり柿渋の面白さを体感しました。渋の種類を使い分けたり漆喰に混ぜたり和紙に塗ったり、柿渋を身近に感じて貰えるようにしました。今後、店内で薬草の香りも体感してもらう予定です。

ー地元の特産品を生かすことは日本の伝統を守ること

昔から作られてきた池田町の「柿渋」と揖斐川町春日笹又の「薬草」の特産品をより多くの方に知って貰う事は「まちづくり」「まちおこし」「伝統を守る」事に繋がると思ったのでオープンさせました。

 

柿渋と薬草のお店「Over Flow」

揖斐郡池田町本郷422-15

☎︎090-4119-8883





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創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

配布地域

岐阜県各務原市、岐阜市、関市、可児市、大垣市
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幼稚園、図書館、児童館、郵便局、教育関係などの公共機関、 大手スーパー、スポンサー様の窓口