vol.212 ここいく日記 はじめの29歩!

『幸せなお産』が日本を変える

いつも私たちの「いのちの授業」では、助産師である中村が、出産について経腟分娩と帝王切開があることを伝えてくれます。そして、帝王切開で生まれてきた赤ちゃんも産んだお母さんも、経腟分娩と同じようにとっても頑張った。どんな生まれ方であっても、今ここにみんながいるっていうことは、生まれた時にしっかり呼吸ができて、元気に泣くことができたってことだよ…その言葉を聞いて、普通に産んであげられなかった後悔と懺悔でいっぱいの私の心が軽くなります。そして授業で出会ったお母さんの中には、私と同じように帝王切開で産んだことを、マイナスに捉えているお母さんが多いと感じました。

私の初めてのお産は後悔だらけでした。妊娠を喜んだのも束の間、初期には流産をしかけて2週間の入院、7ヶ月には前置胎盤と診断され、リスクを避けるために仕事も辞めました。初めから病院で産むことを選び、不安と心配があっても、転院するという選択もありませんでした。出産では、入院と同時に医師からは帝王切開での出産を伝えられました。陣痛がきたら経腟分娩ができるのではないかと考える助産師さんに勧められ、陣痛を促す行為を試し陣痛がくることを待ちましたが、結局は帝王切開手術へ。それも全身麻酔だったため、長男の産声を聞くこともなく、顔を見ることも出来ずに離されて、会えたのは次の日でした。そんな納得のいかない出産を、私は育児中も引きずっていました。熱が続いたり、アトピーなどのアレルギーが出れば、下から産んでないからでは…と悪気のない言葉に傷つき、悩み、二人目はどうしても経腟分娩で産みたいと思う気持ちが強くなりました。
今回題名につけた『幸せなお産が日本を変える』は、自然なお産をする「吉村医院」の故吉村 正先生の本の題名です。日本を変えるって?と、大げさに聞こえるかもしれませんね。
昨年は、ずっとお会いしたかった、吉村医院の元婦長・岡野眞規代さんのお話を聞くことができました。助産師として病院での出産に関わってきて、「お医者さんに産ませてもらう」管理医療と、命をかけて「自分の力で産む」自然分娩の違いを吉村医院で知り、吉村先生の考え方や幸せなお産のことを、もっと知ってもらいたと講演活動をされています。
お産は全ての人の原点であり出発点。いいお産をするためには、『ゴロゴロ パクパク ビクビクしない』
しっかり動いて食べ過ぎない、胎児にも伝わる安心感。産むのも亡くなるのも当たり前に家であった、昔の日本の姿が自然分娩につながる。現在の日本では、赤ちゃん5人中1人の割合で帝王切開になっているようです。便利な世の中になった分、失ったものもたくさんあるということですね。こう言うと、帝王切開を否定しているように聞こえるかもしれませんが、自然分娩とは、けっして”下”から産むことだけを指すのではない、精一杯自然なお産を目指した結果の帝王切開なら、それはその人にとっての「自然なお産」。素晴らしいのは『自然に生きる』ということ。自然に正解はなく、人それぞれ、みんな違っていいのです…と伝えてくださいました。
このお話を、もっと若い世代の人に聞いてほしい!!きっと幸せなお産に関わることで、虐待や自殺、DVや不登校が減り、出産率も上がると思う。本当に日本が変わるかもしれないですね。

私は運良く、気持ちを受け入れてくれる先生に出会い、2人目を経腟分娩で産むことができました。この二つの出産を経験したのは、「何かお役目があるのよ」と岡野さん言われ、無駄ではなかったと嬉しくなりました。

担当:ここいくメンバー 小田佐知子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)