vol.212 やってみた 川瀬 智子さん

やってみたシリーズ第15弾
食習慣を変えたことで心身ともに復活した
川瀬 智子さん(50代)

あることが、自分の生き方を大きく変える。川瀬智子さんはそれを身をもって実感しました。
「2年前のある日、鏡を見ていて、あれ?私痩せてる?と恐るおそる体重計に乗ったら、思い当たることもないのに以前より5キロほど減っていて…。その後もどんどん減り続け、合計10キロくらい落ちたんです。もともとそんなに太ってはいないので、ガリガリになっちゃったんです」。
体重減少に伴い体力の低下、全身に出る痛み。常にある膨満感。徐々に臭いが氣になりはじめてた便やおなら。ひどい生理痛。当然のように精神的にも落ち込み、心身ともに「最悪な状態」となってしまいました。
重篤な病気かもしれない、とあちこちの病院で調べてもらってもこれといった病気は見つかりません。「もう自分で調べるしかないと、ネットやSNS、書籍など片端から調べました。リーキーガット、腸内細菌、発酵食品、自然療法など、いろんな情報と出会い、取捨選択する日々の中で、ようやく見つけた自分なりの結論が、自分は腸から栄養を吸収しにくい状態になっているのでは、ということだったんです」。
それからは自分に必要そうなことをどんどんと食生活に取り入れる日々が始まりました。
「メチャクチャな食生活をしていたつもりはなかったのですが、ラーメンやうどんなどの麺類も、パンも餃子も大好きだったし、化学調味料が多そうな店での食事も抵抗なかった。自分の体がここまで来て初めて食生活を変えよう!と強く思ったんです。以前からオーガニックに少しは関心があったし、特に最初の2、3ヶ月は集中的に取り組みました」。
具体的には、小麦粉をなるべく摂らないグルテンフリーを心がける。味噌汁やぬか漬けなど発酵食品や梅干しを意識して摂る。塩や油を選ぶ。砂糖は極力摂らない。できるだけ無農薬の野菜や、化学調味料・保存料等が添加されていない食品を選ぶ。揚げ物は控える、梅肉エキス、重曹・クエン酸を摂取する。1日2食にするなど。
その結果徐々に回復し、現在は体重が6キロほど戻り、様々な不調も消えました。「食と健康は結びついている、とつくづく感じました」。今では砂糖の甘さや化学調味料の味が苦手、食べ物の好みも野菜中心のあっさりしたものに。それとともに心が穏やかになりました。
「今回の不調になる以前から、政治や社会的な問題や身の周りの理不尽さにも怒りの感情が強くて、常に戦いモードでした。今は、物事って善と悪がすべてではないし、人それぞれに事情がある場合もある、と思えるようになりました」。
そして、犬や猫といったペットだけではなく、木立でさえずる小鳥、ふと目した雑草や草木、虫…。生き物すべてが愛おしく感じるようになったそう。
「発酵食品のことを詳しく知り、菌という存在さえ可愛く思えるんですよ。生きてる!って」と明るく笑うその姿からは不調時代の翳りは見えません。
「今回、自分なりにやったことで効果が出たのですが、それはあくまで自分に合っていただけ、どの人にも当てはまるわけではないです。でも、自分の体は自分が守るんだ、という意識はみんなが持っていた方がいいんじゃないでしょうか」。不調な時は内にこもり、余裕がなかったけれど、心身ともに元気になり、他の人を思いやる余裕が出てきた、そのこともうれしく思う川瀬さんです。