読む、というより見る。見るというより読み込む。そんな絵本。見開きページの対比から思考が深まる。ページをめくる手がゆっくりとなっていく。
文も絵もシンプルだがテーマは重い。
同時に、自分ごととして捉えられる構成となっている。せんそうが起きたら自分はどうなるのか、へいわな「今」だからこそしっかりと向き合いたい。
2019年8月、愛知県で開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。「慰安婦」を象徴した「平和の少女像」は旧日本軍の「慰安婦」制度や軍国主義下での天皇制、朝鮮人強制連行といった歴史認識の問題と絡んだ、メッセージ性のある作品。過去に展示を拒まれたり、撤去されたりした作品を一堂に展示するという挑戦的な狙いの「表現の不自由展・その後」の中止…。本書は、「表現の不自由展・その後」をはじめ、2021年7月の「名古屋展」と「大阪展」、そして、22年4月の「東京展」など「表現の不自由展」をめぐる出来事の取材記録であり、表現の自由とは何かを考える。著者の井澤氏は弊紙P-15の「夢か悪夢かリニアが通る!」の執筆者でもある。