vol.209 人生これから!明るく楽しく!知って得する遺言セミナー

「相続が 争族になる 準備なし」
相続をめぐって揉めるのは、億単位の高額の遺産よりも、5千万円以下のケースが最も多く、全体の74.7%と言われています。遺産が揉めるほどたくさんないよ、とは言えないですね。
法律では遺留分と言って、遺産の分割の割合が決められています。まず配偶者が全体の1/2、残りの1/2を子どもの人数で等分に割ります。だから二人兄弟なら全体の1/4は必ず渡さなくてはいけません。でも、これってどうなんでしょう。たとえば、長男が親と同居していろいろお世話してきて、両親が亡くなった後もお墓や家、土地を守っていかなきゃいけない場合でも、今の日本の法律では、他の兄弟と等分で、それらの事情は考慮されていません。ということは、相続に関して誰かが何か言わなければいけないんです。

「相続は 最初の一歩 私から」
相続のことは子どもたちからはまず言い出しません。残す側がはっきりさせないとダメです。人生100年時代と言いますから、「まだ先のことだよね」「まだいいね」という人は多いですが、これから先いつ何があるかわかりません。今のうちにちゃんと自分からはっきりとさせておきましょう。

「何一つ 持っては行けない あの世には」
持っている財産は自分で判断して遺言書に残すしかないです。遺言には3種類、自筆遺言証書、公正証書遺言、秘密証書遺言とあります。
昨年、新しい制度ができました。自分が書いた自筆の遺言書を法務局が預かってくれ、遺言書として証明してくれる、というものです。遺言書を預けた人が死亡した時には、遺言書が法務局にありますよ、と指定した人に通知もしてもらえます。ただ、遺言書の中身は、法的に有効なのか、弁護士や司法書士にみてもらってチェックしてもらいましょう。

「認知症 その後は無効 遺言書」
お医者さんに認知症と診断されたら、その後に作成されたものは自筆であろうが、公正証書遺言であろうが、一切遺言書とは認められません。認知症でなくても、何かがあって意思表示ができなくなるとか、書くことができなくなることだってあります。そうなったら思いを残すことができなくなっちゃう。準備は1日でも早い方がいいと思います。

「付言には あなたの思い 全て込め」
遺言書には、「付言」というものも書くことができます。付言とは、自分の思い。例えば、長男が生まれた時、育てるときはこんな想いだったよ、みんな愛しているよ、と伝えることができる。その上で、長男には他の兄弟の面倒をちゃんと見て欲しいとか、そういうことを書くことによって、ただどこどこの土地は誰々に、どの貯金は誰々に、だけでなく、思いが伝わるんですね。これはすごく大事な部分だと思うんです。「遺言書 付言をつけて 完成品」と私は思っています。ぜひこの付言というものを考えて欲しいです。

Q&A

Q.例えば1000万円遺産があったとして、遺留分では奧さん500万円、残りの500万円を子どもで人数割りですよね。もしも子どもが「自分はいらないからお母さん使って」という場合手続きは何が必要ですか?
A.何も必要ないです。総額4800万円以下なら相続税はかかりませんので、どんな風にしても大丈夫です。

Q.ちょっと言いづらいんですけど、義父をずっと介護していた場合、それを言えばもらえると聞いたことがあります。長い間お世話してきて何もないのもなんだか…
Aお嫁さんの立場としたらそう思いますよね。調べてみると、通常以上の貢献が必要、とあるんですよ。特別寄与料制度ということですが、特別寄与の要件は厳格で、対価を受け取っていない、通常以上に貢献したなどが必要。このため、詳細に記した介護日誌など、介護をした証拠を残すことが重要です。それも大変というなら、義父さんが亡くなる前に養子縁組して、相続人に加えちゃうというのもひとつかな、と思います。