● 免疫力と自然治癒力
人には免疫力と自然治癒力があります。免疫力とは外からの病原体やいろんなものに対して戦う力。それにちょっと負けた時に、病気になったり、熱や咳、下痢などの症状が出て、その時普段の体に戻していくのが自然治癒力です。
昔から考えられてきた病気の治し方には自然療法、心理療法、整体療法、同種療法、西洋療法などがあります。今、日本は西洋療法だけを医療として認めていて、喉が痛い時は喉を殺菌、腹痛の時は胃腸薬、熱が出たら解熱剤、という対処療法が主流ですね。だけど、自分の中に自然治癒力があるということを知っていれば、そもそも病気にならないように免疫力をどう高めるか、ということを考えていけるし、病気になった時にはどのように治していくのかを知っておくことは大事です。
例えば、コロナになった時に重症化しないようにする。それは病気に負けないように免疫力が適正に働く体作りをする、ということです。文科省が言ってる「感染源を絶つ、感染経路を絶つ、ウイルスに負けない体作りをする」この3本柱の3本目ですね。感染対策の一つとして、「免疫力を上げてウイルスに負けない体作りをする!」そこが大事だと思ってます。
私たちの体は1本の管が通っていて、口から肛門までは外[※-1]と考えます。ウイルスに罹患した、感染した、暴露した、と言いますが、それは粘膜にウイルスがくっついた状態で、体の外の問題。暴露はしているけど、検査をして陽性となっても感染とは違う。それは体の外で起こっていることだってことをまず認識して欲しいです。
粘膜の免疫細胞には、「防御」と「攻撃」の2つの仕組みがあります。1つは、外からの異物を目や鼻、口とか腸管の粘膜でウイルスをキャッチしてポイって外に捨てる、それが「防御」。2つ目は、防御がうまくいかなかった場合、ウイルスが細胞の中に入り込んで、その中で増殖すると発症となる。その体の中に入ってしまったウイルスと闘う仕組み、それが「攻撃」です。
● 腸内環境と自然な食事
では粘膜をどうやって強くするか。粘膜のバランスを整えてくれるのは微生物です。だから腸内環境を構成する微生物の善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが整うような生活をする、ということが基本になります。
食事の中に発酵食品とかミネラルを混ぜ込んでいく。腸内細菌が苦手なもの、例えば農薬や化学調味料、添加物、あとは過度なストレスとか、睡眠不足、運動不足、日照不足、を避ける。それがとても大切です。本当に人間が自然ながらの生き方をしていれば簡単にできることなんです。
お腹が空いて、ご飯と味噌汁と漬物を食べる。それは日本人が代々やってきた食事です。ご飯を食べることで唾液の中にアミラーゼという酵素がブドウ糖に変換され、脳の中に入って、脳が元気になる。お味噌汁は大豆が原料で栄養豊富。それを発酵させていることで、ガンの予防には世界一と言われるような味噌という食べ物ができる。漬物も野菜のビタミンCやミネラルとかを増やしている。キュウリ1本を食べるのとぬか漬け一切れ食べるのと酵素の量は同じと言われています。ご飯と味噌汁と漬物っていうのは王道なんですね。時間がないからコンビニでおむすびやカップラーメン食べようってなると、そこには添加物とか化学調味料がどうしても入る。それで腸内細菌がちょっとダメージを受けて粘膜がうまくつくられなくなる。腸内細菌で免疫細胞の8割が作られていると言われているので、免疫細胞がちゃんと育たなくなるという現実もあるんです。
●リーキーガット※-2
知っておいて欲しいのは「リーキーガット」という症状のこと。いま日本人が一億総病人だっていうふうに言われています。花粉症もアレルギーもそう。不定愁訴のある人はリーキーガットかな?と認識した方がいいと思います。
毒素やアレルゲン、ウイルスとかそういうものをブロックして、消化栄養素だけをスーッと取り込むのが正常な腸粘膜です。リーキーガットというのはタイトジャンクションと呼ばれている細胞と細胞の間をつなげているものがちょっと緩んじゃうので、腸壁に穴が空いている状態。だから本来は取り込まないアレルゲンとかウイルスとか、未消化の栄養素も全部体内に入ってしまう。小さい子は未成熟なのでもちろんリーキーガットです。だから離乳食はあまり早くしなくてもいいと言われていますよね。
今の日本人はほぼリーキーガットと言われてます。症状としては、化学物質過敏症、食物アレルギー、不眠症、うつ病、めまい、立ちくらみ、下痢、便秘、多動、集中力低下、思考能力低下、パニック症、自閉症、ADHD、てんかん…いっぱい出てくるので、いま日本人が悩ましいなあって思っている症状のほとんどがリーキーガットで説明がついてしまう現実があります。
リーキーガット症候群の原因は、もうありとあらゆるもので腸粘膜は弱ってしまう。夫婦喧嘩でもストレスで腸は傷つきます。腸というのは本当に簡単に傷つくから、それを日々整えていく生活を意識していく事が大事です。
●これからの幸せのために
日本人は米を育てて、その畔で大豆を育て味噌を作っていました。お米につく稲霊から麹菌を育て麹を作っていたし、米を発酵させてお酒も作っていた。本当に日本の大地の中だけで食生活が完結していたんです。そこに牛乳とかヨーグルトとか、プリンとかの嗜好品現れて…嗜好品がダメではないのですが、体の歪みが来る可能性もあるし、自分は大丈夫でも、自分の子ども、孫に出てくる可能性が否定できません。
自然な生活をしようとすること自体すごいエネルギーがいるし、知恵もいる。疲れもする。でもだからと言って、今私が幸せで楽しくて元気ならいいと考えると、今だけ、ここだけ、自分だけ、になって、それは未来を見据えた考え方ではないと思うんですよ。自分も幸せだけれども、未来のある子どもたちのためにいかにきれいなままの地球を残せるか、いかに良い生活習慣を残せるかってことも考えていくことが大人かなって思うんです。
今年の夏も猛暑です。国は熱中症対策として屋外ではマスクを外そうという動きを見せています。しかし、いま子どもも大人もほとんど外しません。外せないんです。国の感染対策は全て外を整える他人軸。内側を整える自分軸の感染対策が置き去りのまま2年マスクをし続けた結果、自分の意思を出せない人がとても増えました。これはとても危険です。これからは身体を整えるのと同じくらい心を整えていくことが必要になると思っています。
[※-1]消化器は、食物が口から入り消化・吸収を経て体外へ排出されるまでの一本の管と考え、皮膚などと 同じように身体の外から取り込まれた物質と直接接触する器官でもある。 医学や薬学においては、胃や腸など消化器の 内壁は「体外」、その内壁から吸収された先が「体内」と区別されることがあります。
[※-2]リーキーとは英語で「液体などが漏れる」とい う意味を持つ動詞リーク(Leak)の形容詞。 腸は英 語でガット(Gut)。 つまり、リーキーガットは「腸 の粘膜に穴が空き、異物(菌・ウイルス・たんぱ く質)が血管内に漏れだす状態にある腸」のこと を指します。