NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子
逆転
娘が大学へ行くため、岐阜を離れる時のことです。私の父に「お母さんをよろしくお願いします」と娘が頼んでいる姿を見て、あ~心配される年齢になってしまったのだ・・・逆転しちゃったなとガックリきたのを思い出します。そのようなことが息子の周りでも起こりました。
娘家族が年末年始に我が家に来ました。普段は静かなお正月を過ごしているのですが、今年はスキーに行きたいから岐阜へ行っていい?と帰ってきました。一緒に賑やかに過ごしている中で、4年生の孫が障がいのある息子を思いやる姿が見られ、びっくりしました。「あっちゃん、すごいなぁ。」とか褒めることばがちらほらとあり、大人対応になっていました。1年生の頃は、「どうしてあっちゃんは、変な事ばっかり言うの?」「病気だから」「だって熱とかないやん」「熱がない病気もあるの。自閉症っていう病気だから」「ふーん」分かったような分からないような変な会話した覚えがあります。
その時、娘に「K君が、お兄ちゃんの事を聞いてたから、上手に話しておいてね。」と委ねておきました。これからの長い人生、できれば障がいのある伯父さんを理解して欲しいですから。しかし、すぐには理解が追いつかなかったようで、距離を取り近寄ろうとはしませんでした。
現在1年生の孫もいますが、今回、その子も同じ様に近寄らず、遠くから見ていました。元旦に「カルタをやりましょう」と息子が娘家族を誘いました。犬棒カルタ・都道府県カルタ両方ともすごい早い取り口で、息子の圧勝。皆が呆気にとられました。1年生の孫にすれば、もう不思議で、不思議で、理解ができないのでしょう。何とも言えない表情をしていました。しかし、3年前にそんな状態だった4年生の孫は、すっかり変わり自然体で、何事も寛大に受け止め、嫌な顔を一切しないで上手に付き合っていました。
3年と言う歳月は、すばらしく成長をするのだなとびっくりするのと同時に、娘・娘婿がきちんと障がいについて話してくれたのだろうと想像しました。
一般の人は、障がいのある人と関わることが少ないので、このように順調に障がいを理解することはできないかもしれません。孫たちの姿を見ていますと、1年生の状態(理解できていないまま)の人が、障がい者を差別したりするのかもしれません。そのような人をなくし、障がい者を受容してもらうためには、障がいをきちんと説明する人、障がいのある人と接する機会、両方が必要なのだろうと思います。
最後に、4年生の孫が「あっちゃんにもよろしく言っといてな」と帰っていきました。