vol.204 連載-4 南の島よりハイタイ

 浦添市(うらそえし)は、沖縄本島南部、那覇空港のある那覇市の北、普天間基地のある宜野湾市の南に位置しています。人口は約12万人を数えます。鎌倉時代から室町時代にあたる1200年~1400年ころには首里以前の琉球の王都として、舜天、英祖、察度といった王統のもと貿易や文化の中心として栄えていたと伝えられ琉球史においても重要な位置を占める地でもあります。「津々浦々を襲う(支配する)」を意味する浦襲(うらおそい)が浦添(うらそえ)の語源となっています。
 13世紀に造られたとされる墓、浦添ようどれには、英祖王と尚寧王と彼の一族が葬られています。このようどれを含む浦添城跡一帯の丘陵は前田高地といって、浦添市で最も高い場所で米軍からは「ハクソー・リッジ」と名付けられ、沖縄戦で、米軍と日本軍の激しい戦いで「ありったけの地獄を一つにまとめた」と表現されています。住人の二人に一人が犠牲になり一家全滅の家族も少なくありません。
 2016年米国制作の「ハクソー・リッジは、前田高地の激しい戦闘を描いた映画で、2017年アカデミー賞を受賞しています。
 2019年ゆいレール(モノレール)が延長され、空港、首里城からもアクセスしやすくなり浦添城跡の散策も気軽に楽しめるようになりましたので、ぜひ訪れてほしいスポットです。
 最寄り駅の「浦添前田駅」から浦添城跡に行く途中に、浦添中学校がありますが、その入り口には、その時その時にふさわしい花文字の花壇が心を和ませてくれます。コロナの緊急事態宣言中には、「命どう宝」(ぬちどうたから)。命こそが宝という意味です。沖縄人のやさしさに出会えるお気に入りのスポットです。
 話は変わりますが、浦添にはパン屋さんが多いことにも驚かされます。それも、それぞれに個性を持った魅力的なお店が多いのです。その中の一つ「天食米果」(あましょくべいか)さんは、パンの形はすべて食パン型、毎日15種類ほどのパンが、かわいいお店に並びます。国産小麦、自家製酵母を使用し、季節ならではのパンも登場します。21年前、福島県から単身で移住されパン作りを学び、13年前に独立された赤嶺温子さん(あかみねあつこさん)、沖縄のゆったりした居心地の良さの中で、一人でやれる範囲で細く長く続けられたら・・と話されています。その日に残ったパンは、「リベイク」のサイトを使って冷凍して地方発送もされています。
 魅力いっぱいの浦添市、みーぐる(目をきょろきょろしてあちこちを見る) うらそえ、次回もお伝えしたいと思います。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回 岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員