「好き」を形(CD)にしてみた!
上西さんにがんが見つかり、手術をしたのは去年のこと。入院した8階の病室からは岐阜城がよく見えました。流れ行く雲、どこかへ飛んでゆく鳥、緑深い山々…。入院してもコロナ禍でお見舞いの人もいない中で、窓から景色を観たり、自分と向き合う時間がたっぷりありました。「自然ってすごいなぁ、とか、自分はこれからどうなるんだろう、といろいろ考えました。」 そんな時間の中で自分の思いを歌詞にし、曲もつけた。「これを自分で歌ってCDにしよう」。
トランペット、クラリネット、フルートと、子ども時代から楽器に触れていて、数年前にはフルートの演奏をCD にした経験も!自分の想いをなにか残そうと思ったとき、それが音楽なのは上西さんにとって自然な流れでした。
退院後は、食生活を見直しました。「以前は食べたい物を食べる、という生活。特に甘いものが大好きで、今から思えば炭水化物の摂り過ぎ?ムチムチと太っていたの」。悪玉コレステロールも多く、お医者さんからは薬を飲むよう言われましたが、「薬は飲みません、食事で改善します!」と宣言。やると言ったからにはとことんやる気質の上西さん。
それからは野菜中心の食生活に切り替え、家庭菜園も始めました。するとなんとわずか3ヶ月で10キロも体重が減りコレステロール値も平常に。身体のなんと軽いことか。病気は健康を見直す良いきっかけだったと振り返ります。
孫の子守りやひとり暮しの親との時間を共にしながら、あっと言う間に一年が過ぎ、CDのことは頭にはあるものの、なかなか形にできない日々が過ぎていきました。
しかし、きっかけは思わぬところにあるもの。知人が教えてくれて参加した「人生これから!」主催のシニアポートレート撮影会。せっかくだからと、娘婿さんに買ってもらったファンシーなワンピースを着て参加しました。ヘアメイクも仕上がり皆さんに「まぁ、女優さんみたい!なんて声かけてもらって、リラックスできました」。
できあがった写真は想像以上の出来映えで「これをCDのジャケットに使っていいですか?」思わず言った自分がいました。快くOKをもらい、CD化への流れは一気に加速したのです。
後日、レコーディングも無事すませ、写真も制作業者に送りました。「作曲家の先生の素晴らしいアレンジと、演奏のおかげで自分の想いを音に乗せていただくことができました。音楽を通して生きる喜びと、感謝の心をお伝えできたら、と思います。」
いろんな人のおかげで病気を乗り越え、CDも作る事ができたと一連の流れに感慨深げな上西さん。今後はそれを忘れることなく元気に過ごしたい。休んでいた施設訪問などの活動も復活させ、歌や演奏を通して多くの人に喜んでもらえたら、と思っています。 「私たちって、やっと自分の時間を持てるようになった世代でしょ。命って限りがあるし、1日1日を大切にしなくちゃ。もちろん、楽しくね!」
撮影会で伊勢和紙にプリントしてもらった写真は、タンスの上に飾り、「これいいでしょ、気に入ってるの」と少々照れながら夫に見せました。
あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!