vol.202 しょうがいをみつめるvol.13

ありのままで居られる美術教室
サポーターとして関わって3年

 障がいのある方たちの美術教室「風の芸術村」には小学生から成人の方まで幅広い年代の生徒さんが通ってきています。みなさん作ること・描くことが大好きだという点は共通していますが、その制作への向き合い方は実にさまざま。
感性の赴くまま筆やペン、時には指を動かし作品に変化を与え続ける方、テーマを深く落とし込みオリジナルの表現を模索しながらじっくりと作り上げていく方、自身の好きな対象物や好きな表現をひたすらに追求していく方・・・。
 誰もが真剣な眼差しで作品と対峙しており、出来上がる作品はどれもピュアで力強さをもっています。

 私が、この美術教室でお手伝いを始めて3年がたったでしょうか。美術に関する知識やセンスはとんとないので、制作に関するアドバイスなんてほとんどできません。お手伝いとはいっても基本的には生徒さんたちの様子を見守ったり、イイね!などと声を掛けたりする程度。ですが、「風の芸術村」という場や空気を作るために、心がけていることが一つあります。

 「風の芸術村」は美術教室ですので、毎回こういうものを描こうとか、こういう風に作ろうなどといったテーマがあります。しかし中には、そんなことお構いなしに、自分の作りたいものを作る生徒さんもいます。気持ちが乗らず制作に取り組まない生徒さんもいます。
 こんな時、勤めている学校だったら、テーマに沿った作品を作るよう説得するでしょう。何とか取り組めるようあれやこれやと働きかけるでしょう。
 ただし、ここは「風の芸術村」。私は、「こういうのもイイね。」とか、「そっか。今日はそういう気分じゃないのね。」と言うでしょう。
 「風の芸術村」では、純粋に自分の好きな作ること・描くことを楽しんでほしい。そのためには、何にも強制されず、誰からも否定されない、安心できる場や空気を作ることが必要なんじゃないかと思うのです。

 障がいのあるなしに関わらず、そういう場ってあまりないような気がします。学校でも職場でも、家庭でだって、やらなきゃいけないことがたくさんある。こうしろ、ああしろってしょっちゅう言われる。だからこそ、やりたくないことを認めてもらえる、やりたいことをひたすらやれる場が一つくらいあってもいいんじゃないかと思うのです。
 私自身も、「風の芸術村」では、生徒さんのありのままを認めてあげられることや、良さや面白さを見つけて褒めてあげられることに、心安らぐ思いです。

 自由で温かいこの美術教室から、次はどんな素敵な作品が出来上がるのか、いつもわくわくしながら向かっています。   S.I





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発行日:偶数月の第4月曜日
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