vol.202 目に見えないもの・見えるものPart-1

 サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」の中に、「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」という一文があります。地球で出会ったキツネが王子様に話した言葉です。王子さまは、生まれた星でバラの花に振り回されていましたが、そのバラが王子さまにとってかけがえのない存在だったことに気付くのです。王子様にとって大切なものは、バラへの愛情、共に過ごした時間、思い出、結んだ絆など、目に見えないものでした。

 それではまず「目に見えるもの」を考えてみましょう。私たちの身の回りのモノのほとんどが目に見えます。そして、目に見えるものは、必ず朽ち果てていくことも私たちは知っています。では、モノだけではなく、私たちの感情はどうでしょう。いろんな場面に接して一喜一憂して抱く感情。いっときの感情は目に見えませんが、やがては過ぎ去ります。

 ではいっときの感情以外の「目に見えないもの」はどうでしょう。目に見えないものは2種類あります。
 一つ。例えば「携帯電話」。電話器そのものは見えますが、会話をしたり情報のやり取りができるのは電波があるから。この「電波」は目に見えません。でも「電波」が存在することは誰もが承知しています。目に見えないけれど存在する一例です。
今、新型コロナウイルスによって世界中の人たちの暮らしを大きく揺さぶられています。コロナウイルス自体は私たちの目には見えません。目に見えないけれども、何らかの器具や機械を通せば確認でき、存在を知ることになります。
 二つ目。これに対して、器具や機械を用いても見えないもの、逆に器具や機械を使わなくても見えるものが、実はあります。
それはどんなものでしょうか。大正時代の女流詩人、金子みすずさんの詩に「星とたんぽぽ」があります。

 星は昼間には見えないけれど、確かに存在している、と謳われています。また、枯れたたたんぽぽを見ると、地表には現れてないけれど、地下にしっかりと根を張っていることを、私たちは知っています。

 これら以外に「見えないけれど確かに存在するもの」にどんなものがあるか考えてみます。例えば、親子や恋人に対する愛情、思いやりの心、また精神、魂、霊魂などがあり、さらに人によっては神、天国などを挙げる人もいるかもしれません。その中で「魂」を例に挙げてみます。「魂のこもった作品」とか「大和魂」というように、人間の肉体に宿り心の働きをつかさどると考えられているものですが、証明するのは難しいです。

 さて。困ったことに「目に見えないもの」には、放射能、ウイルス、電磁波、匂い、感情、うわさ・・・他まだまだいっぱいあります。そして「情報」。見えるようで見えないのが情報ではないでしょうか。マスメディアが取り上げる情報は確かに見えます。ただ、事実が深いところに潜行してしまうと、見えない情報となってしまいます。しかしこれらを感知する方法はあるはずです。

 新型コロナウイルスについて、検証してみたいと思います。
この数ヶ月、ほとんどの方は、手洗い、マスク、検温、外出自粛、これらを徹底してきました。その一方で、大切な人とはちゃんとハグしたいし、ふれあいたい。国民性の違いはあるかもしれませんが、人を思う気持ちに違いはないと思います。目に見えないものを恐れる気持ちに対して味方になるのは、人を想う気持ちではないでしょうか。

 一方で、私たちは、目に見えるもの、科学的に根拠のあるもの、を求めがちです。例えば「コロナ予防のワクチン」について。新聞・テレビなどでそれらの情報はしっかり見える化されています。でもそれが正しいのか?という疑問はぬぐいきれません。科学的根拠より、圧倒的な情報量の差で判断せざるを得ない現実があります。さらに、ネット上にはありとあらゆる情報が氾濫しています。これらをどう受け止めればいいのか・・・
 目に見えないウイルスの存在を打ち消したい気持ちをワクチンが担ってくれる。なら、積極的に接種しよう、という方が多い中、異を唱えるのも勇気が必要です。そこには目に見えない同調圧力や、差別・偏見が生まれます。
 この「目に見えない圧力」を「目に見える情報」で打ち消すことはできるでしょうか。私は「できる」と思っています。そのためにはしっかりと情報を精査し、人と意見を交換し、自分の判断を固めていくしかないと思っています。そこで、先日ある講演会で得た情報を、私はみなさんとシェアしたいと、紙面に掲載することにしました。


一連のコロナ騒動の問題点

高橋 徳 統合医療 クリニック徳 院長

1977年、神戸大学医学部卒業。 関西の病院で消化器外科を専攻した後、1988年米国に渡る。 ミシガン大学助手、デユーク大学教授を経て、2008年よりウイスコンシン医科大学教授。 米国時代の主な研究テーマは『鍼の作用機序』と『オキシトシンの生理作用』。

 人間の生活の必須の条件は、私は「愛」と「健康」であると思います。ところが今、マスク、ソーシャルディスタンス、あるいは3密(密閉・密集・密接)を避ける生活。コロナが、今いった「愛」と「健康」の大きな妨げになっております。

オキシトシンについて簡単にお話しします。

 オキシトシンは視床下部で作られます。女性の出産時の子宮収縮や母乳の分泌に関係しています。オキシトシンが最近、抗ストレス作用、抗不安作用といって、ストレスや不安を少なくする、あるいは自律神経を整える、鎮痛作用で痛みを抑えるなどの作用も分かってきました。そしてオキシトシンの第4の作用として、社交性、愛情、信頼に関連することがわかっています。

どうやって自分自身のオキシトシン分泌を高めるか。

 オキシトシンの分泌を高める方法は、心地の良い五感の刺激、と言われています。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の刺激でオキシトシンが分泌されるからです。もう一つが、受動的な刺激です。苦しい時、悲しい時に誰かから思いやりの言葉をかけてもらった時、こういった時にオキシトシンが出ます。

オキシトシンが育む愛と思いやり。

 これは自己と他者の間の境界を取り払って、自分と他人が一つになって強い絆が生まれてきます。愛とおもいやり、といった感情は人々が集団で生き延びるために必要不可欠です。人類全てが持つ本能と、私は考えます。日常的な営みを通して我々も、健全な人間関係、健全な人間社会を築いてきたわけです。ここにもオキシトシンが関係しています。

集団的な生きがい。

 孤独でないこと。家族や友達を大切にしていること。家族以外の何らかのグループに属していること。あるコミュニティーの中で同じ目標に向かって進むこと。こういった集団的な生活様式が、今の新生活ではないがしろにされているのです。オキシトシンについては色々本も書いているのでご覧ください。





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