vol.200 しょうがいをみつめる vol.11

共感すること、その人に向き合うこと

 音楽の授業で自分の好きな曲を紹介するコーナーを設けています。
 アニメの主題歌やガールズグループの踊れる曲、流行りの歌まで、毎回その子らしい個性豊かな音楽が紹介されます。聴いた後はその曲の好きなところ、いいなと思ったところを互いに発表し、素敵な曲を紹介してくれてありがとうとみんなで言って終わります。
 紹介する子はもちろんまわりの子たちも「今日は誰の番?」「どんな曲だろう?」とワクワクする、子どもたちにとって楽しみな時間になっています。

 ある時、先生たちのおすすめの曲を紹介するという日をつくってみました。
 洋楽や昭和から歌い継がれている名曲など、子どもたちが普段聴かないような曲が並びました。もちろん私も紹介しましたよ。改まって人に好きな曲を紹介することってちょっと照れますね。でも、真剣に聞いてくれる子どもたちの姿や「いい曲だね」と言ってもらえたことに、心がほっこりあたたかくなりました。
 ああ、自分の好きなことを知ってもらって、それを受け入れてもらえることってのは、こんなにも嬉しいことなんだ、と実感した瞬間でした。

 先日、研修を受けている時にこんな話を聞きました。
 「自閉症の子は人の心が分からないとよく言われる。それは、彼らが触覚過敏で抱っこされるのが苦手だったり、水の流れや換気扇の回転など特定のものに異常に固執したりと独特の感覚を持っていて、共感された経験が少ないから。自分を分かってくれる相手に出会った時、彼らも自分が好きなその相手のことを知りたいと思う」のだと。
  
 子どもの問題行動に直面すると、なんでこんなことをするのだろう、どうしたら言うことを聞いてくれるのだろう、と思ってしまいます。だけど本当に彼らが必要としているのは自分のことを分かってくれる相手なのかもしれません。
そしてそれは障がいの有る、無しに関わらないのではないのではないでしょうか。好きなことにイイねと言ってもらえて私が嬉しかったように、自分のことを分かってもらえるというのは、誰にとっても嬉しいこと、安心できることです。
 「障がいに向き合うのではない、人格に向き合うのだ」と元滋賀県立八日市養護学校の荒川智先生が教育実践の中で語ってらっしゃいます。
 理解しにくいことかもしれないけど、子どもの好きにイイねをしてあげること、ありのままの姿を認めてあげること、そこから関係をつくっていくことの大切さを学びました。  S.I






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