vol.199 そもそもSDGsってなに?

SDGsとは?

 SDGsとは、SDGs(Sustainable Development Goals)の略で、持続可能な開発のための国際目標で、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)。2015年国連サミットで採択後、2017年にダボス会議(政治経済のリーダーズ会議)にてSDGsの巨大な経済効果が発表されました。そこで当時の国連事務総長であった故コフィ・アナン氏がグローバルリーダーたちに人権、労働基準、環境という普遍的な価値観を支持し、企業活動に取り入れるよう呼びかけました。同時にダボス会議では、SDGsに取り組むことで12兆ドルの経済価値、3億8000万人の雇用という推計が発表されたのです。(日本円にして1,200兆円!※1ドル=100円の場合)。日本の企業は、これに驚き「SDGsへ取り組もう!」と、関心を持つようになりました。
 「SDGsに取り組んでいる」というだけで、世界へのビジネス展開もしやすくなる、SDGsへ取り組むことが経済的にプラスになるなら企業も取り組まないわけにはいかない、という流れができました。今は就活においても、SDGsは重要ワードになっています。一方、取り組んでいなければ「社会的責任を果たす意欲がない」と、マイナスイメージを与えてしまう可能性もあり、会社の経営、ブランディング(「ブランド」を形作るための様々な活動)にも大きく関わってきているのが、SDGsなのです。

SDGsの前にMDGsがありました。

 MDGsは開発途上国向けの目標、SDGsは先進国も含む開発目標といったところ。
 MDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標。順に①極度の貧困と飢餓の撲滅②初等教育の完全普及の達成③ジェンダー平等推進と女性の地位向上④乳児死亡率の削減⑤妊産婦の健康の改善⑥HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延の防止⑦環境の持続可能性確保⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの推進)は、貧しさに苦しむ国々の課題解決を目標にしたものでした。だから民間企業の関心が低くて、結局関わるのは外務省ばかり。資金面や技術面で、民間企業が入ってくることはとても大切なのに、実際は政府中心の取り組みになってしまいました。

 SDGsでは、先進国にも関係のある内容を大幅に追加しました。例えば、ダイバーシティ(多様な人材を積極的に活用しようという考え方)や環境問題など。
 見てみると分かりますが、全世界の人が“自分ごと”として取り組めるような、身近な課題もたくさん設置されています。政府以外の企業、投資家などにもアプローチをします。そして、ダボス会議で「経済価値がある」と発表されたことで、経済界も「SDGsを取り入れよう」という機運が高まったのです。それまでは投資は利益が出る企業に対して行うものでした。しかしコフィ・アナン氏は投資の世界に手を付け、株主を動かすことで企業を動かそうとしました。

消費者が企業を動かす

 市民や社会が声を上げなければ、企業は動きません。中でも環境問題、地球温暖化は早急に対策したければいけない課題。だからこそ、一般企業や市民のサポートは本当に欠かせない条件となってきたのです。企業活動が環境破壊などにつながっている場合、世界では消費者による不買運動がたびたび起こってきました。
 例えば、2010年、アブラヤシから取れるパーム油の調達が、熱帯雨林を破壊しているとして、ネスレの「キットカット」不買運動が起こりました。事態を重くみたネスレは調達先を変更しました。またスポーツブランドのナイキも、90年代に児童労働や強制労働に対して、世界的な不買運動が起こりました。ナイキが失った売上高は、5年間で1.3兆円にのぼると言われています。
 日本でも最近は、パワハラを行う企業に対する風当たりが強くなったり、日清カップヌードルのアニメCMで大坂なおみ選手の肌の色が「ホワイトウォッシュ」だと批判され、公開中止になりました。
 ブラック企業やジェンダー、人種差別などへの問題意識が高まり、企業が追随せざるを得ない状況になってきたのです。

健康な地球で、みんなが平等に平和に生きる。

 経済界の思惑や政治的な背景を感じつつ、SDGsは、私たちも取り組むべき課題であると思います。持続可能な社会であるために、私たちは何をすべきか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
SDGsは17の目標と169のターゲットを設定しました。
SDGsは、普遍的な目標として「誰も置き去りにしない」という約束を掲げています。なにかの目標達成の裏で、泣いている人がいないようにと、配慮する気持ちが込められています。例えば、「6. 安全な水とトイレを世界中に」などは、日本で問題になることはほとんどありませんが、世界の貧困地域では、とても重要な課題。日本は先進国として困っている国を助けなければいけない立場にもあることを覚えておきたい課題ですね。