vol.195 トンガからこんにちは! 新連載

はじめまして!加藤美希と申します。大洋州のトンガ王国で暮らし初めて、半年。そろそろトンガのイロハをつかみ始めてきたところで、トンガの紹 介をすることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

加藤美希(左から二人目)

 トンガは人口10万人ほどの小さな小さな国です。「トンガ」と聞いて思い浮かべられるもの、何かありますか?

 まずラグビーが盛んです。2020年のラグビーW杯では日本代表としてトンガ出身の選手も活躍していました。冬に食べられる南瓜はトンガからきているものもあります。さらに!鯨の親子と泳げる国です!!

 でもトンガの何が一番トンガらしいかと言うと、日曜日の過ごし方。『Lotu(お祈り)、Kai(食べる)、Mohe(寝る)』この一言に尽きます。

キリスト教の信仰が厚いトンガ人は日曜日に必ず教会に行きます。多い人で、早朝5時、朝10時、昼3時、夕方5時。これはさすがに多いですね。普通は朝10時の一回か午後の一回で二回です。

  そして、気合を入れた正装をして出かけるんです。男性はシャツとトゥペヌと呼ばれる巻きスカートの上にタオバラというゴザのような腰巻をして、女性はプレタハという上下セットの伝統衣装にタオバラやアクセサリーのキエキエを腰に巻きます。平日汚れたTシャツを着ている男性スタッフがきちんとした格好をしていると、ドキっとするほど見違えて見えるものです。小さな子供はドレスも着たりしています。
 教会と一言でいっても、宗派があって、ウェズリアナ、シアシ・トンガ、マーモンガ、カソリック、アドバンテージ、、、、そのほかまだまだあります。月曜日には決まって「ロトゥ行った?どこの教会?」と聞かれます。そして、さらに「’Umu(石蒸し料理)食べた??」と聞かれるのもお決まり。

トンガ人にとって食べることは本当に大切で、特に
‘Umuは特別な日や日曜日に欠かせません。仕事の遅刻や早退は何も思わないのに、日曜日に’Umuを用意しないことは、とっても怠惰な1日だったと反省するほどです。
“Umuは教会に行く2時間前くらいから用意し始めます。
 ‘Umuの基本はLū(ルー)というタロ芋の葉、魚や肉(羊肉が人気)とココナッツミルクをバナナの葉で包んだ料理と芋類のマニオケ(タピオカ)クマラ(サツマイモ)タロ(タロ芋)ウフィ(ヤム芋)などです。これらを教会に行く前に熱した石と共に石窯に入れて、ココナッツの葉などで覆い、蓋をして、教会でお祈りしている間の1時間から1時間半、じっくり蒸し焼きにします。帰ってくると、美味しいご飯が出来上がっていると言うわけです。
 私もこの‘Umuを食べる事が、日曜日の楽しみの一つです。
教会の帰りに誰かに声をかけてもらってご馳走になるのを楽しみにしていると言ったほうが、正しいかもしれません。

Moheはお昼寝でーす!これでもか!というほどお腹いっぱいにご飯を食べて、体を休めます。起きたら、お昼ご飯の残りを食べて、一日終わりです。日曜日は家事も含めて一切の仕事をお休みする日なので、なーんにもしません。
 教会後の道には誰もいないし、開いているお店はありません。海に入ることも良しとされていないので、本当に人が住んでいるんだろうか?と思うほど静かです。なんて平和な日曜日でしょうか。

この原稿が来て10日後、加藤さんからメールが来ました。

全隊員の帰国指示
COVID-19の影響でJICA全隊員、(期限未定)一時帰国となり本日(4月2日)トンガを出国し、今朝帰国しましたが、検疫検査結果待ちで、入国できていないでいます(笑)
公共交通機関を一切使うの禁止らしく、いつ、どうやって実家に帰れるのか、、、多くの途上国では医療が整う先進国へのアクセスか良いことが活動の安心材料でもあります。いつトンガに帰れるかはわかりませんが、帰れる事を祈りつつ、トンガの魅力が伝わるように頑張りますね!!
それでは、引き続きよろしくお願いいたします!

加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中です。