vol.192 土と虫と草と…

雑草は根から抜いちゃダメ!?

雑草を根から抜いていませんか?実は雑草の根を残して刈ることで、土が軟らかく栄養豊富になり、だんだん刈るのが楽な雑草が生えるようになるという不思議なことが起こるのです。      マイナビ農業「畑は小さな大自然」より

なぜ根っこから抜いてはいけないのか
 それは雑草を抜くたびに土が締まって硬くなっていくから。土が固くなると、固い土でも繁殖できる根の張りがとても強い雑草が生えて来やすくなります。つまり、根から抜くことを繰り返と、草取りがだんだん大変になるという悪循環に。

根の本来の役割
 植物の根の役割は、「土から栄養を吸うこと」ですが、「土を掘り進め、軟らかくすること」も重要な役割。すると、その植物自身も根を張りやすくなり、次の世代もそこで根を張ることができます。
 さらに、光合成で作った糖分を根から出して微生物を集め、彼らが住みやすい環境を土の中に作るという役割を持っています。つまり、土の中で微生物と植物がお互いに協力し合いながら、住みやすい土を作っているのです。それがまた、野菜が育ちやすい土の環境にもつながっていきます。
 枯れた後の植物の根は、微生物たちによって分解され、土の栄養となり、根があった部分は土の中でトンネルのように空洞として残るので、土がフカフカになっていくのです。根から抜いてしまうとこの空洞は生まれないので、土が少しずつ締まっていきます。

土の環境が変わると、生える雑草も変わる
 このように植物たちは根を使って、微生物たちと協力して土の中に住みやすい環境を作っているのですが、より住みやすい環境になってくると、実は生える雑草が変わってきます。これはちょっと難しい言葉で説明すると「植生の遷移」という現象。耕作放棄地も最初は小さな雑草が生えますが、何十年と放っておくと、だんだんと森になっていくというのと同じような現象です。つまり雑草の根っこを残して切ることで、土がフカフカになり、フカフカの土を好む微生物や雑草が増えます。このような環境で生える雑草は、根の張りが浅く、背が低く、柔らかいので草刈りするのにも楽ですし、野菜の生育の邪魔になりません。
 耕すことでも土はフカフカになったように思えますが、それは一時的なもの。根本的にそして長期的にフカフカな状態を保つためには、根っこを残した草刈りが必要になります。またこれに合わせて、”雑草・落ち葉マルチ”を行うと3〜4ヶ月でかなりフカフカで栄養豊富な土ができていきます。

お勧めする草刈りの仕方
・確実に根元の下を切る
基本は、根を残して「根元より下」を刈ること。鎌を少し土に入れて根をできるだけ残すように刈っていくことが大事なポイント。
・地下茎が生えなくなる土づくり
土がフカフカで豊かな状態になれば、自然と地下茎の植物は減っていきます。土自体が硬くて痩せている状態であれば、また繰り返し地下茎の植物が生えるようになってしまいます。

世の中にいらないものなんてない。害虫も雑草も自分の場所で自分の役割を果たしているだけだった。NPO法人大地といのちの会 理事長 吉田俊道

なぜおいしい野菜には虫がつかなくなるのか? 少し理論的に説明しましょう。

 有機物(生き物の死体)の分解、合成過程には発酵と腐敗の二つの道があります。そして関与している生物がそれぞれにいるわけです。この二つの道のどちらにも関与できる生物はあまりいません。
 私たち人間は、発酵の世界で生命を食べつないでいます。逆に、うじ虫や害虫たちは、腐敗している食べ物や腐敗しそうな食べ物を食べて、栄養を吸収しています。
 生き物は腐敗か発酵かの、どちらかの世界に分かれて生きているのです。
 畑によく現れるフトミミズは腐敗の生き物です。空気の少ない固い土や、微妙に腐敗臭のする土にたくさん発生し、腐敗しかけた有機物を食べて暮らしています。
 モグラはそんなフトミミズを食べるために、腐敗臭のする土のほうへ動き回ります。つまり、モグラの害が多いということは、土が腐敗に傾きすぎているということを意味しているのです。
 しかし、フトミミズは腐敗した土を発酵の世界に変えてくれます。
そしてモグラも、結果的にたくさんの空気を土の中に運び、より早く土の状態を発酵に戻してくれます。
 4年前まで、土の中を荒らして野菜を枯らすモグラが私はとても憎かったです。それが今では「モグラさん、ありがとう」になりました。発酵している土の中はミミズもモグラも少なくなります。土が完全に発酵状態になると、住む世界が違うので自然といなくなるのです。私たちが農業を営む上で敵と考えてきた病害虫は、敵ではなく、ただ自分の場所で自分の役割を果たしていただけだったのです。

雑草も同じです。草を取るから、土はいつまで経っても団粒構造が発達せず、いよいよゴウブシやスズメノカタビラなどの引き抜きにくい草だらけになるのです。
 反対に、よその草まで持ち込んでたっぷり土に入れると、ふかふかで微生物たっぷりの発酵型土壌に変わります。

 ナズナやハコベなどの抜きやすい双子葉類の草だけ生えるようになり、野菜は後味がよくなり、病害虫も発生しなくなります。
 雑草をできるだけ小さいうちから除草しようとする農家は多いです。ですが、ためしに運動場や固い土の畑によく生えているスズメノカタビラを、思い切って大量に畑に入れてみてほしいです。数ケ月すると、もともとタネもなかった双子葉類の草が生えてきます。

 今、中学校では生命の循環と生物の育成を習うことになっています。しかし、どれだけ教室で知識を学ばせても、校舎の周りで育っている雑草を捨ててしまっています。そんな中、福岡教育大学では雑草を運動場のような固い土に入れて、数か月で土をふかふかに変える実験を行っています。そこで育てた野菜が元気でおいしい「菌ちゃん野菜」になるかどうかを検証しています。厄介者でしかなかった校庭や校舎の周りの雑草が循環して最高の土を作り、とってもおいしい野菜が生まれる。そして、その野菜を育てた人がありがたくいただく。そのとき、「世の中の生き物はすべて自分とつながっている。世の中にいらないものなんてなかったんだ」ということを初めて実感できるのだと思います。

(熊本市で行われた「こどもの給食を考える会くまもと」主催の講演より    みやざき中央新聞

「食べることを通して、 生きることを考えよう!」

11月26日(火)吉田俊道さんと船越康弘さんの対談がありますよ。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索!





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