vol.188 かなでの沖縄だより vol.11

沖縄県民は、なぜここまで基地のことで
悩まなければならないんですか?

いま、沖縄で一番問題になっている「辺野古基地建設問題」。なぜ、県民がこれだけ悩まなければいけないのか、不思議に思うことがたくさんあります。
辺野古新基地移設は、世界で最も危険と言われる普天間基地返還のために考えられました。けれども新基地ができても返還8条件が満たされない限り、普天間基地は返還されません。(※1)
新基地を建設している辺野古には、綺麗な大浦湾が広がっています。ジュゴンがいます。たくさんのサンゴもあります。そんなところを条例違反の赤土で埋め立てをしています。青くて綺麗な海は赤土の色に染まっています。そして、埋め立て予定地の北側はマヨネーズ地層で活断層もあり、埋め立てるのは絶対不可能です。去年11月に沖縄県が出した試算によると、基地を作るのに2.5兆円、工期も10年以上かかりそうだということです。

県民投票
そんな基地建設が本当に必要なのか、沖縄の若者が提案した県民投票は民意を示すためのものでした。
ですが、5つの市では議員が予算執行を否決、市長がそれを支持して投票権を奪う違憲・違法の状態になっていました。今は、どの市も県民投票を行うことになりましたが、二択ではなく三択に変更されました。全市で投票を行うために「どちらでもない」という選択肢が増えたのですが、果たしてこれでよかったのでしょうか。なぜ、県民が意見を表明するために悩まなければいけないのか…不思議に感じます。
普天間基地のある宜野湾市は、県民投票に参加しないと言っていました。それに対して、ハンガーストライキをした方がみえました。私はTwitterでこのことを知り、心が痛くなりました。毎日、更新されるTwitterを見て私は、「これをみた政府はなにも思わないのかな?」と思いました。県民がなぜここまでしなければいけないのか…おかしな世の中だと感じました。国って国民になにをしようと思ってるのかな?とも思いました。
大浦湾
「大浦湾には5806種もの生き物が生息していて、そのうち一番多いのが貝類で1974種です。沖縄でこんなに多様な生物が生きている海はもうここしかありません。絶滅危惧1類のオガタザクラは、大浦湾でしか生息していないと言われています。薄紫色の美しい小さな二枚貝です。昔は湾奥の瀬嵩という浜が紫になるくらいたくさん打ち上がっていたそうですが、今は運が良くて1日1個か2個拾える程度です。」とバイト先の、貝殻研究を続けている中学生のひろちゃんは言います。数年前までは瀬嵩浜もたくさんの珍しく美しい貝殻が打ち上がっていたのですが、工事のフロートがじゃまをして、浜に打ち上げられる貝殻の数は激減したそうです。それでも、波に揺られてオイルフェンスを潜り抜けて打ち上がった貝殻が「海を守ってくれ!」と訴えているようだとも言ってました。貴重で大切な物を、嫌だといってるのに、無理やり土砂で埋めてしまう事を許すわけにいきません。この理不尽で違法な行為は、いつ誰に向けられてもおかしくないからです。小さな貝を守る事が、私たちの生きる権利と、子供達の平和な未来を守る事に繋がると思います。

※1:普天間返還8条件は、2013年4月に「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」で日米両政府が合意したもの。辺野古新基地建設のほか、新基地では確保されない長い滑走路を持つ民間空港の使用などが、記載されている。