うまれる
我が家には2人の思春期を迎えている息子たちがいますが、物心つく頃から誕生日になると、彼らの誕生物語を語って聞かせています。私は助産師という職業にありながら、ずいぶんにぎやかなお産をしました。威張れるようなお産ではありませんが、主演:子どもと私、助演:立ち会ってくれた主人と助産師さん、で作り出した誕生物語を誇らしげに語っています。時々、主人や祖父母のサイドストーリーも織り交ぜながら、世界で唯一の、彼だけの物語。小さい頃は目を輝かせ聞いていた息子たちも、今では「またか!」という表情で聞いていますが、彼らが巣立つ日までは、子どもと私のために語り続けていきたいと思っています。
子どもたちは、幼児期くらいになると「ぼくは、わたしはどこから生まれてきたの?」と聞きたがる時期があります。そんな時、親としてどのように答えようか迷われる方も多いと聞きます。本当のことを話すべきなの?本当のことを話すのは早すぎる?そんな迷いが顔に出ないかと不安に感じる親御さんもいらっしゃると思います。「ここいく」では紙芝居で誕生までの物語を伝えています。その中で「お花の中から生まれてきたの?もしかして畑からとれたとか?そんな、ばかな!」というシーンがありますが、子どもたちなりに自分がどのように生まれてきたのかを知りたがっています。
子どもたちのそんな疑問に答えるべく、「ここいく」のいのちの授業では、出産劇もやっています。メンバーが産婦さんになりきり、陣痛を乗り越えて出産に至ります。赤ちゃん人形を使った出産劇ですが、本物の音源を使い、なかなか工夫をしているなと自画自賛しております。そこでは、おなかの中にいる時の赤ちゃんの心音を確認する場面もあります。子どもたちに耳を澄ませるように伝えると「ドク、ドク、ドク・・・」お馬さんが駆けるようなリズミカルな心音が聞こえてきます。この劇ではお父さんも出演、その時の授業にいらっしゃったお父さんや、男性の先生に急きょご協力を頂き、お母さんの手を握って応援するお父さんの役を演じて頂きます。「がんばれー!!」となかなか迫真の演技をしてくださいます。子どもたちも頑張れー、頑張れーと応援していますが、いよいよ生まれる場面となると、息をひそめ出産場面を見守ります。そして誕生、産声が響き渡り「おめでとう!」そんな声の中に赤ちゃんとお母さんは包まれます。それから赤ちゃんのへその緒が切られ、赤ちゃんを育て守ってくれた胎盤が出ることまでを伝えています。
出産は、経膣と帝王切開で生まれる2つの方法があります。帝王切開でのお産のこともお話しします。どんなお産でも、お母さんも赤ちゃんも一緒に頑張るから生まれてくるんだよと話しています。そして「おめでとう!」いう喜びと祝福の中、赤ちゃんはみんな生まれてくるよということを伝えられたらよいなと思っています。一緒に見て頂いたお母さんからは、自分の出産の時のことを思い出したと涙される方もいます。この出産劇は、日々育児を頑張っているご両親にとっても、わが子が産まれた時の感動を思い出す機会になっていることを嬉しく思います。
「あなたは、この世に望まれて生まれてきた、大切な人」(マザーテレサ)という言葉があります。誰もが祝福の中で生まれてきたことを知ることで、自分を大切にし、周りの人も大切にすることにつながってほしいなと思っています。
担当:ここいくメンバー・安田紀代子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)