【Vol.166】ぎむきょーるーむ「なぜ、どうして、子どもはかたづけない?」

ぎむきょータイトル

ひとこと

素通りされるものに、支配される時代
ああ、かたづかないのは大人(私)の部屋もいっしょだと思いつつ、これを書いています。
昔は家族も多く、一部屋にみんなが集まり、かたづけないと食べることもねることもできない家族が多かったように思います。だから、子ども(個人)の持ちものも制限されていました。
しかし、いまは狭いながらも子どもに個室をあたえ、しかも「ものあまり」の時代です。子どもの持ちものもどんどん増えてきました。学習のものは教科書の他に参考書、ドリル、塾の問題集などなど。身にまとうものもしかり、おもちゃも目移りする新しいものがいっぱいです。

片をつけられない状態
ものに対する創造性や想像力が湧く前にできあがったものたち、ボタンひとつで便利だけど、こわれたらどうしていいかわからないしまつの悪いものたち。子どもは(大人も)そういうものに囲まれて自分の域を築いてきたけれど、そこは逆に、ものに占拠される場所になってしまったのかもしれません。
最近では、高価なおもちゃ(もの)を売って新しいものを買う、買い換えが流行始めているようです。それは自分のものであって自分のものでない,素通りするものに支配されることになるのかと思われます。こうしたいまの時代のもののありようは、人との関係のありようにも通じるような気がします。
さらに、かたづけられない最大の原因は、子どもたちがあまりにも忙しすぎることです。ものによって便利になっても、時間に追われ、ものに追われる子どもたち。そのなかでなにを残し、なにを捨てていいのかわからない、選択はあとで、あとでとのばしているうちに、まさに「片をつけられない」状態になってしまっているのでは。それは私たち大人も同じです。 鳥羽伸子(心理相談員)

ƒvƒŠƒ“ƒg
トントン

子ども部屋に「捨てる技術」は応用できるか。もちろん応用できます。それどころか、子どもの内にこそ身につけさせておくべき技術です。なぜなら「捨てる技術」は、ものと真剣に向き合い,使うものをもつ、使わないものはもたない(捨てる)と判断するための技術だからです。
これだけものが豊かな世の中で生まれ育ち、おそらくは将来もずっとこの豊かさのなかで生きていく子どもたち。ものがない時代の「数少ないものをたいせつにする」という技術では、彼らがものとじょうずに共存していけるようにはなりえません。「たくさんものがあるなかで、他人は他人として、自分にとって必要なもの=使うものを選びとり、たいせつにする」という技術を身につけてこそ、ものと共存する豊かさを享受していけるようになるのではないでしょうか。じょうずに捨てる生活は、捨てない生活でもあるのです。
まずしまう場所を決めることから
・一定量を守る・「つかえる」と「使う」を判断
・「思い出」は厳選する
・子ども自身の手で
ƒvƒŠƒ“ƒg
子どもの部屋のちらかしは、どうしても気になるものです。でも、家族が気にならなければそれはそれでいんではないでしょうか?「きちんとしている」「整頓されている」というのは相対的なもので、基準があるわけではありません。そもそも子どもはかたづけることが苦手です。次から次へ興味や関心が移っていくのですから、かたづけどころではありません。いや、子どもだけでなく大人だってそれは同じでしょう。
子どもの年齢によりますが、目に余るようなら親がかたづけてあげればいいのではないかと思います。手を貸すにしても、その子の年齢や生活への姿勢にもよります。しかし私は,次の三つのことを頭に置いて,親もかたづけに参加してほしいと思います。
ごみ袋
親子で手分け
一つめは、できるだけ子どもといっしょにかたづけること。そして、子どもはどこをかたづけ、親はどこをかたづけるかを最初に伝えたほうがいいと思うのです。あなたは、引き出しと机の上、私は衣服や机の周辺とか。

予告する
二つめは「次の日曜日に掃除するわよ」と予告しておくことです。いきなり子ども部屋を掃除するのは、できるだけ避けたいですね。子どもなりに、掃除される準備もあるでしょう。

大まかな分類で
三つめは、質よりも、形式、見た目、雰囲気を大事にしてほしいのです。たとえば、本を整理するときは中身で整頓するより、大きさや大まかな種類、たとえばマンガと学習本に分けるくらいにしたほうがいいです。
いっしょにやるときはできるだけ「整理整頓の基準が単純であるべき」です。なぜなら、親子でもめることのないようにすべきだからです。
子どもは掃除を手伝ってもらって得をした,親は喜んでもらえたという関係が作れればいいのです。

家全体が困るなら
さらに、大事なことを一つ。親は、子どもに問答無用で掃除をすることもあるのだと伝えるべきです。「生ゴミ」「異臭」などです。家全体が困るときは、強権発動もあっていいのだ!・・・と、発動するかどうかは別として、「覚悟しなさいよ」と子どもに伝えておくべきだと思います。
岡崎 勝(お・は編集人)