「エスノオーケストラ」の団体を通じて、先住民である一人の女性と知り合いました。
彼女はこの土地出身で、私たちと同じ世代です。彼女は、部族の中では戦士に値すると同時に、場を保つ役割も担っています。それぞれの部族の中で、受け継いでいく役割が決まっているのだそうです。彼女は自分の役割を理解し、それを受け継いでいくために自身が学ぶべきことを学んでいます。それは訓練なのだと言います。
3週間ほど私たちと生活を共にしてくれたことで、たくさんの気づきがありました。その一つ、精霊について。土地や川や木々には、それぞれ精霊が宿っていて、それぞれの意識、存在を尊敬しながら接していること。目に見えない存在とのコネクションが強い人たちなんだと感じました。もともとアボリジニの人たちは目に見えない存在とコネクトすること、それらの存在とかかわることをとても自然であたりまえのこと、と言います。
この土地の“気”を美しく保つには、浄化の煙をたくこと、そしてその後、どういった“気”を自分たちが保ちたいかを明らかにして、そのつど浄化していくことが大切だと教わりました。特別な能力が必要なのではなく、そういった態度、姿勢をもって接することが必要だと。
ものにあふれた生活のなかで、「見えない存在を、常に感じながら生活できているか」と聞かれると、こころもとないのですが、彼女は、「ただ時に意識を傾けて、見えないものを感じ取る時間を持ってみるといい」と教えてくれました。
もう一つ、自分たちの祖先とつながること。自分たちはどこから来て、自分は何者なのか。それを明確にすることも大事なことだと言います。
自分たちの伝統的な文化とはなにか、まずはそれを知ること。エスノオーケストラで出会った人をとおして、それを学び合うことが必要だと感じています。伝統文化の交流です。自分がいる土地で、もともとのその土地の人たちの生活や生きる知恵。それを直接に教えてもらえるというのはとても貴重なこと。それは、部族の習わしに限らず、モノづくりの技術や、農作業ににもあてはまると思います。
まだその文化、伝統が生きていることに感謝し、それを学び、生活の中に取り入れていけるといいなと思います。
暮らしを学び、実践し、持続可能な生活に結びつけていくこと。それを心にとめて生活していこうと再認識した体験でした。yao