「つみかさね」
綾部市内で京ブランドの黒豆「紫ずきん」を作っておられる先輩世代の方に、好きな言葉を尋ねたら、「努力は天才に勝る」でした。こつこつ。我が国のキーワードは昔も21世紀もはやりこれですね。海の向こうでがんばる大リーガーもそうだし、小学生の子どもの宿題もそうです。緑の美しい季節になりました。手入れされた里の美しい風景や田んぼも同じですね。こつこつと積んできた努力をみるとき、思い出す詩があります。仏教詩人の坂村真民さんの詩です。ご紹介しましょう。
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「つみかさね」 坂村真民
一球一球のつみかさね
一打一打のつみかさね
一歩一歩のつみかさね
一坐一坐のつみかさね
一作一作のつみかさね
一念一念のつみかさね
つみかさねの上に
咲く花
つみかさねの上に
熟する実
それは美しく尊く
真の光をはなつ
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今年は暑い夏なのか冷夏かわかりませんが、とにかくこの詩を思い出しながら汗をかいていきたいと思っています。
寝食を忘れて打ち込めること
田んぼの季節がもうすぐ始まります。ある夏、草取りをしていたときのことです。空を見上げると大空に舞う鳥の姿が見えました。うまく風に乗って、かなり上空を悠々と飛んでいます。田では、小さなカエルが得意の泳ぎを、アメンボが水上の走り(滑り)を披露していました。東北の知人が送ってくれた「新・ウサギとカメ」の絵本のことをふと思い出しました。「走って競争しよう」というウサギの誘いに対し、カメは池で泳ぐことも提案したらどうだっただろうという物語です。誰でもみんな得意な分野がある。寝食を忘れて打ち込める大好きなこと、得意なことを他者のために活かしあえたら、どんなにか幸せなことでしょう。そんな世界をつくりたいですね。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。
※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。