vol.174 半農半Xという生き方

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「新・糸へんの時代」

絆(象形文字)

絆(象形文字)

2011年の今年の漢字は「絆(きずな)」でした。あれから5年半を経て、日本も世界もますます「糸へん」を大事にしていかないといけない時代になっている。そんな感じがします。「糸へん」の漢字をあらためてあげてみると、縁(えん、えにし、ネットワーク)、結(ゆい、協働)、編(あむ、組み合わせ、編集)、絵(芸術、アート)、緑(自然、環境)、継(つなぐ、継続)、練(ねる、きたえる、みがく)などがあげられます。なんといっても「縁」は糸へんの漢字の代表ですね。「縁」といえば、必ず思い出すのが、柳生家家訓「小才は人に会っても縁に気づかず、中才は縁に気づいて縁を生かさず、大才はそでふれあった縁をも生かす」ということばです。未来に向かって新しい風を起こすには、多様な「出会い」が大事になってきます。それぞれの地でいろいろな物語が生まれたらいいですね。

 

 

「自己紹介が地球を救う」

lgi01a201407120100 講演などの機会をいただいたとき、あるワークをおこないます。それは「大好きなこと」「得意なこと」
「ライフワーク」「生きがい」「気になるテーマ」などのなかから、自分にとって大事なキーワードを3つシートに書いて発表いただくというもの。東京などの都会や地方の農村部でもおこなってきて、わかったことがあります。それは3つのキーワード出しをすると、その3つがすべて重なる人が会場に誰もいないということ。みんな異なる家庭で育ち、違う師や友と出会っています。学んできたことや読んできた本も違うし、旅してきたところも異なりますね。みんな3つのキーワードが違うことを私は「使命多様性」と呼んでいます。1人ひとりが3つのキーワードを使っての自己紹介を聞いていて感じたのは、自分の夢や好きなことを語る自己紹介の大事さでした。グループや地域内で、日本各地で、そして世界で、こうした自己紹介ができるだけされることが平和への道で、とても大事だと思うのです。あるとき、「自己紹介が地球を救う」ということばがふと生まれました。他者のキーワードに刺激を受けたり、それを応援することにつながったり、自己紹介から新しい関係性がこのまちで何か生まれたらうれしいですね。

 

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は中国語訳され、台湾、中国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。