vol.173 I’m a challenger 長島 龍人さん

チャレンジャー2
ƒvƒŠƒ“ƒg落語「お金のいらない国」の後で…

お金というものは人間が作ったものですから、それがないと生きていけないということはないはず。お金があることでみんなが幸せになるんならいいんだけど、どうも今の社会を見ていると、いろんなトラブルの元になっているのはお金なのかなあって思う訳です。
大事なものは決まっているし、優先しなきゃならないものはお金があろうとなかろうと、同じじゃなきゃおかしいんじゃないかと。そういうふうに考えると、何が正しいのか、っていうのが見えてくる気がする。お金があるからといってその判断が変わってしまうのは、私はおかしいと思うんですよ。
物々交換からお金の歴史が始まった、みたいなことになっていますが、物々交換もしないほうがよかったんじゃない?だって別に必要な人が必要なものをもらって、あげられる人はあげられるだけでいい。それに見合ったものをくれっていうのはおかしいんじゃないかと・・・。で、もしその交換という概念がなければ、お金というものも必要じゃなくなるんじゃないかと思うんです。ただ、これはとても都合の良い考え方かもしれませんけどね。
お金が悪い訳じゃないんです。「交換する」ということが必要なら、同じ価値を決められているお金は確かに便利かもしれません。だけど、せっかく人間が作ったものなのに「貯める」ことができるようになったあたりから、お金を持っている人と、持ってない人とのあいだに、たいへんな差が生じてしまった。
お金って人間でいうと血液と一緒で、回さなきゃいけない。ひとところに溜まっていると病気になってしまう。
それから、預ける、貯める、利息がつく。それもおかしいですよね。預けとくと増えちゃうんですから。で、借りた人は逆に利子が生じ元金より多く返さなくちゃならない。そうするとどんどん、どんどん貧富の差が広がってしまう。その辺が不公平というか、貧富の差をつけるためのシステムなんじゃないかな。でも、それも人間が作ったことですから、やめてしまえばまた違う性質を持たせることだってできるんじゃないかな、と思うんです。
私は昨年、定年まで3年ありましたが退職しました。お金のいらない世界を想像しなかった頃の私は、とにかくお金持ちになりたい、いっぱい好きなものを買って、大きな家に住んだり、高級な車に乗ったり、贅沢な生活がしたいなあと思っていたんです。だけど、私の考えているお金のいらない社会は、誰もがなんでも持つことができて、大きい家に住もうと思ったら住めるし、いい車に乗ろうと思ったら乗れる。もしお金が存在しない社会だったら、私は自分が住むのにちょうどいい大きさの家、乗るのに都合のいい車、それでいいじゃない、と思ったんです。まさに「足るを知る」ですね。

科学とか技術面では確かに進歩して来たと思います。いろいろ失敗しながら進んでいくのが人間かなあと思いますけど、ここで経済っていうのも限界が来たんじゃないかと思いまして、仕組みを考え直すなり、なんらか手をうたないと良くないなぁと思うんです。
そもそも人間がつくったものを最初からありきで考えてしまうと、根本的なところから考え直せない。間違った方向に当然のように進んでしまっても、それでいいと思ってしまいがちになるんです。そこで私は軌道修正をしたいと思いました。
お金のいらない社会なんて、荒唐無稽な話しかもしれませんけど、想像してみるってことが必要かなと。自分の心の中に作るのは勝手ですからね。それで、基準が自分の心の中にできると、この混沌とした、何が正しいのか分からない社会でも、判断基準ができるのではと、私はそんなふうに思います。
お金をちょっと横においといて物事を考えてみる・・・自分の考えを整理するのに役立つんじゃないかな、なんて考えております。あまり堅苦しく考えずに、そんな想像を巡らせてみるなんていうのもいいかな、今回のお話しをそういうきっかけにしていただけたらなぁと思っています。

インタビューで…
2003年にこの本を出版した頃から、こういう活動を始めました。最初は三人で寸劇をやっていて、落語の形にしたのは2009年くらいからです。落語は習ってはいません。ただ、好きなのでよく聞きに行ったりはします。プロの落語を見て、なんかまねできないかな、とかよく思ってますね。
ぼくの本は2人の会話が多いので、落語だったら独りで2人の会話ができるから合ってるかなと思って。それと、普通にずっとしゃべっていても聞いている人が飽きちゃうし、話しに入りにくいかなと思って。そんなことで落語という形にしました。
お金のいらない国っていう突拍子もない内容なので笑わせることが目的じゃないので、落語といっても「笑い」は意識して作ってないですね。ただ、何度か聞いてくれた人のなかには、そんなに笑うか!?っていうくらい笑う人がいるんですよ。ぼく、あんまり受けるのには慣れていないんで、あんまりうけてもやりにくいですね、変なもんで(笑)。ただ、聞いてくれた人につまらなかったって思われたら嬉しくはないけど、あり得ないだろって思われるのは、いいんです。想像さえできれば、その人の中ではだいぶ変わるんですよ。現実、自分以外の周りがどうであろうと、そういう世界が想像できるってことが大事なんだとぼくは思いますね。
話しの途中でも言いましたが、お金は「ない」という前提で今の世の中の問題を考えると、じゃあどうしたらいいのか、という本質的なことが見えてくると思うんですよ。それには、まず自分の中が変わるってことが大事じゃないかなと思って。最初からあり得ないことって考えもしないと、それ以上イメージはふくらまないし、変わるって事は望めないんですよね。
7月17日(日)「谷汲赤い電車まーけっと」にて

ƒvƒŠƒ“ƒgお金のいらない国シリーズは、お金の存在しない世界に迷い込んだ青年が、そこに暮らす人々とのかかわりの中から、お金とは何か、仕事とは何かに気づいていく物語。一人ひとりがこの社会の異常さ不自然さに気づき行動を起こせば未来は変えられる!第4話では「所有」という観念の不思議さを「お金」だけではなく、人間関係の制度とも絡めていてユニークな内容。
著者/長島龍人 『地球村』出版 900円+税  ※ネット通販をご利用ください。

長島龍人(ながしまりゅうじん)1958年、東京生まれ。
武蔵野美術大学卒業後、広告代理店入社。2015年退社。
2003年、「お金のいらない国」を出版。以後、寸劇、落語、歌などを自ら演じ、理想社会のイメージを伝えている。現在は名古屋市在住。
お金のいらないシリーズは現在4巻出版され、仕事、生活、結婚制度、病院の役割、学校や教育のありかたなど多岐にわたっている。
HPは「人間って何だ?」で検索!

「赤い電車ま~けっと」毎月第3日曜日 鉄道模型運転会、マーケット&ステージ
開催会場:谷汲昆虫館(旧 名鉄 谷汲駅)〒501-1311 揖斐郡揖斐川町谷汲徳積1412-1
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