2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故は大量の人工放射生物質を放出し、大気・土・地下水・海など、地球規模で自然環境を汚染しました。
破損し穴とひびの入った格納容器に流れ込む大量の地下水は、融け落ちてたまっている核燃料と接触して高濃度に汚染され、今なお海に流出しつづけています。
原発事故によって放出された人工放射性物質のひとつにストロンチウム90があります。
ストロンチウム90は骨に蓄積され、何十年もの長い間、身体から出ていきません。白血病や免疫不全、がん以外の病気の原因ともなります。アメリカの研究者たちは、乳歯の中のストロンチウム90の増加につれて、子どものがんや白血病が増えていることを明らかにしてきました。
ストロンチウム90は、大気圏内核実験が盛んに行われるようになった1950年代から、日本各地でどれだけ降り注いだか測定されました。同時に乳歯中のストロンチウム90も調べられ、乳児の栄養の違い[母乳、人工、混合(母乳と人工)]によって、乳歯のストロンチウム90の蓄積量に差があることも明らかにされました。欧米諸国でも、同様の研究結果が得られました。受精卵からわずか十ヶ月足らずで人となる胎児や乳幼児の成長は大変早く、その分、子どもに対する人工放射性物質の影響は、おとなよりはるかに大きいのです。
3.11東電福島第一原発事故後、 研究者は、動物の乳歯や骨などに蓄積する人工放射性物質について調べました。今までに行われたウシ、ブタ、野生ネズミ、サルの研究から、とくに若い動物の歯にストロンチウム90が顕著に蓄積していることが明らかにされています。その値は高濃度汚染地ほど高くなっています。同じようなことがヒトにも起こっている可能性があり、そのことを私たちは大変心配しています。
そのストロンチウム90の測定を、日本政府も福島県「県民健康調査」検討委員会でも行っていません。測定をするような提案や要望がありましたが、まだ実現していません。かつてない子どもの甲状腺がん多発に対しても、「放射線の影響とは考えられない」としています。原発事故が自然生活環境にまき散らした人工放射性物質をていねいに調べ、放射線の影響がわかるようにすべきです。
乳歯は内部被ばくの重要な証拠試料です。乳歯の測定によって、ストロンチウム90がどのくらい体内に取りこまれているかがわかります。私たち自身の測定データをもとに話し合い、子どもたちのいのちと健康を守り、病気の予防に役立てるのです。
何のために保存するの?
1)東電福島第一原発によって、人工の放射性物質・ストロンチウム(Sr-90)も大気中に飛散しました。体内に取りこまれたSr-90は、調べられていません。それを乳歯を使って測定するのです。
2)測定の結果は、子どものいのちと健康を守るために使います。被ばく事実の確認、被ばくと健康への影響の分析、一般市民や国・自治体に対する提言の基礎資料とします。
3)子どもたちの健康影響を調べるためには、一地域だけでなく全国のデータが必要です。
大切なのは予防原則です。
子どもたちをこれ以上被ばくさせないこと、環境や食生活への配慮・改善で今以上の蓄積を防ぐこと、これが一次予防です。流通する食品のストロンチウム90の濃度を調べ、汚染の少ない食品を摂るよう心がけることが大切です。
二次予防は、精度の高い検診システムで、病気をはやく見つけ、適切な治療によって子どもたちのいのちを守ることです。
私たちは2年後をメドに日本国内で一本一本の乳歯のストロンチウム90が測定できるよう準備中です。乳歯をぜひ保存しておいて下さい。
次の、そしてまた次の世代に役立つこの取り組みを、ぜひまわりの方たちに呼びかけて下さいますようお願いいたします。
2015年10月「乳歯保存ネットワーク」 呼びかけ人一同
<抜けた歯の送付先>
抜けた歯は、記録カードと一緒に下記へお届けください。
★送って頂いた乳歯は測定によって形がなくなりますので、返却できません。測定結果の通知は、記録カード(15)測定結果通知の希望への記入をお願いします。
〒502-0017
岐阜県岐阜市長良雄総878-16 岐阜環境医学研究所内
「乳歯保存ネットワーク」
TEL:058-296-4038 FAX:058-296-3903
預かり証を発行し、厳重に管理・保管します。
※記録カードは、乳歯保存ネットワークのホームページからプリントしてご使用下さい。
にらめっこ編集室にもあります。取りに来ていただくか、ご希望であれば郵送いたしますのでご連絡下さい。
TEL/FAX 058-383-8666 e-mail/info@niramekko.com
http://pdn311.town-web.net/