VOL.146 ぐー・ちょき・ぱー ボーダレス社会を目指して(29) 伊藤佐代子

ボーダレス社会をめざして(29) 伊藤 佐代子さん

飛行機に乗る

先日息子が一人で宮崎県へ飛行機を使い旅行に行きました。旅行を始めたころは所さんの番組のように「ダーツの旅」をしていました。ズボンのポケットに日本地図のジグソーパズルのパーツを入れ、取り出した県に行くというおもしろい旅をしていました。しかし途中から全国制覇をするつもりになったらしく、あと行っていない県は岐阜からは遠い県が少しだけになりました。そこに一泊二日で行くにはどうしても飛行機を利用しなくてはいけません。何年も前から息子は旅行をしているのでいずれ飛行機が必要になるだろうと2,3年前に北海道や新潟に家族で行き、乗れるように準備をしました。突然飛行機に一人で乗って旅行ができる筈はありません。小学生の頃、主人が海外に駐在していた関係もあり飛行機には何度も乗っているのですが、一人でとなると果たして出来るのだろうか?私の目で見て判断しようと新潟にはチェックのため出かけました。離れて飛行機に搭乗するようにし、一人で全部できるのか?心配するほどのことはなく国内の飛行機は海外とは違い簡単でした。難なく合格でした。10年前にもヘルパーさんと一緒に飛行機を使い秋田に行っています。地道な積み重ねが何年も後に実を結ぶのだとつくづく思います。6年前に「一人で旅行に行きます」と言われた時は少々うろたえましたが、何度も経験してきているため今回は不安なく送りだせました。しかし、宿泊するホテルには毎回ですが当日の午前中に連絡をします。事情を説明し、できればゆっくり話してやって欲しいとお願いします。どこのホテルも私が電話でお願いしたことにお礼を言われ、そのように対応しますと快く障がいのある息子を受け入れて下さいます。時代は変わったというのが実感です。障がいのある人たちが街に出かけないと一般の方の理解も進みません。きっとどこかで誰かにご迷惑をかけながら本人は旅行を楽しんでいるのだと思います。そんな姿を想像するだけでも親は幸せな気分になります。障がいのある本人がいかに生き生きと暮らすか。親である私がなすべきことは山とあります。少しずつですが責任を果たせているのかなと思っています。

プロフィール

伊藤 佐代子 (いとう さよこ)
伊藤淳司の母、岐阜障害者就業・生活支援センターの支援ワーカーをした後、NPO法人オープンハウスCANの理事長。地域で暮らす障がいのある方の生活支援や障がいのある方と書道を楽しんでいる。

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