ボーダレス社会をめざして(30) 伊藤 佐代子さん
表彰
23年度岐阜県芸術文化奨励という賞で岐阜県知事から淳司が表彰されました。どうして淳司が表彰されるのかよくわからないのですが、賞状を頂いた時の紹介は「自閉症という障がいと向き合い、イラストの創作活動をしている・・・」というものでした。今後の活動に期待しているという趣旨の賞のようです。知事は当日受賞者に付き添って臨席した人たちに向かって、「皆様の支えがあって今があるのだと思う」というような事を言われました。ちょっとウル~ときてしまいました。この賞はどこかの文化団体、市町村からの推薦がないと受賞できないようで、私の知らない所で淳司の活動を見て下さっていた人がいたということも嬉しかったです。受賞が決まった時、淳司の美術の恩師に電話で報告をしました。「いとちゃんのような人が貰えるっていいな。よかったね。」って喜んで下さいました。障がいのある人にも光が当たるようになったということです。昨年開催した5年ぶりの個展が評価されたようで、「にらめっこ」の方たちの後押しがなかったらこの受賞はなかったのかなと。「にらめっこ」の方は、障がいのことを私ほどご存知ない。だから私が怖くて絶対言わないことを平気で言っちゃいます。障がいを知らないからこそ言えることもあります。不思議な事に淳司はそれを自然に受け止めてしまいます。おかしな話ですが、何かが違うらしいのです。絶対個展はやらないと言っていたのに、いつの間にか個展をやると言って頑張りだす。本当に訳がわからないです。しかし、障がいを深く知らない人が、障がいのある人の心を動かすことができるということを知りました。今回の受賞でそんなことを改めて考えさせられ、淳司を支えて下さった皆様への表彰状なのかなとも思いました。ありがとうございました。何年後か、絵を描き溜めたら「にらめっこ」の方に個展を勧めてもらい、また開催できたらいいなと思っています。表彰式にはスーツを着てネクタイを締め臨みました。とてもいい男の淳司に惚れぼれしました。ずーと絵を描き続けてきた淳司へのご褒美でした。
プロフィール
伊藤 佐代子 (いとう さよこ)
伊藤淳司の母、岐阜障害者就業・生活支援センターの支援ワーカーをした後、NPO法人オープンハウスCANの理事長。地域で暮らす障がいのある方の生活支援や障がいのある方と書道を楽しんでいる。