記者雑感 From気仙沼-(Vol.11)

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・ 津波が4階まで押し寄せた気仙沼向洋高校。3階には車が突っ込んだままだ(1月28日)

私立東陵高校(気仙沼市)の春のセンバツ出場が決まった。市内の高校としては26年ぶりの甲子園だ。昨秋の東北大会で準優勝したものの、決勝は13-2と大敗。選ばれたのは「被災地枠」だろうと、他社の記者らと噂した。もちろんそんな物はないが、少なくとも関東以北の全国紙や全国ネットは大きく取り上げた。逆にこういう話題でもないと震災関連の記事が載りにくい状況に、かなり前からなっている。

取材に行った1月下旬、高台の高校から市街地を見下ろすと、盛り土の山、山、山……。アルファベットチョコだったか、ああいう台形の塊をテーブルに無造作に並べた感じだ。実際のチョコは巨大で、てっぺんで重機が土をならしている。本当にあの上に工場や家が建つんだろうか。

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・ 魚市場近くの仮設店舗でたい焼きを売る小野寺さん夫妻。震災以後6万個を焼き上げた(11月30日)

高校から国道45号を30キロほど南へ行くと小泉海岸。県内最高の14・7メートルの防潮堤が作られる。がれきを取り除いた後はほぼ手つかずで、国道の海側も陸側も巨大な湿地帯のようだ。少し前、その様子を撮影し、空き地に止めた車に戻った。草刈りの休憩をしていた女性に呼び止められた。「新聞?最近記事見ないよ。忘れられるの、一番つらいんだよぉ」。頭を下げるしかなかった。

忘れないために。市は有識者を交え、伝えるべき、残すべきものを選び始めた。「震災伝承検討会議」。2年近く市内と南三陸町の被害を記録してきたリアス・アーク美術館の山内宏泰学芸員は初会合で言った。「忘れないで、じゃ弱い。覚えとけよ、です」。

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・ 気仙沼市は戸建て・長屋の災害公営住宅すべてを地元業者に発注する協定を結んだ(12月27日)

何をか。「過去の津波の情報も記録もあったのに、無視してきたと言わざるを得ない」「河口を埋め立て、先端に石油タンクを23基作った。そんな街が津波を受けたから、これだけの被害が出た。課題や反省点を伝えないと」。防災会議のような内容だったが、身内とも言える学芸員の指摘を、市はきちんと受け止めて欲しい。

1月中旬、中国地方を巡った。広島平和祈念公園の石碑に有名な「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」を見た。気分転換の旅なのに東北を思い出してしまった。震災と原爆は違う。けれども、石巻の指定避難所で多くの人が亡くなった。気仙沼は津波後の火災が被害を広げた。人災の面があるのは否めない。だからこそ、次の惨事は防げるはずなのだが。

市は1月27日、流された石油タンクの近くに壊れにくいタンク8基を作ると発表した。うーん。翌28日の第2回伝承検討会議。資料はこう謳っていた。「これまでも、地震・津波の被害を受けた地でありながら、同じことを繰り返した結果となった」

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・ 大手コンビニの依頼で気仙沼西高校の生徒が 「気仙沼復活(フカカツ)弁当」を考えた
(1月13日)





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