障がいのある人の支援者
朝日新聞10月25日付の記事に『障害者施設を運営前理事長が性加害 東京地裁 元職員らへの賠償命令』というのが掲載されました。障害者施設などを運営する社会福祉法人「グロー」(滋賀県)の北岡賢剛・前理事長(66)から性的加害を受けたとして、元職員の女性ら2人が賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、性加害を認めお金の賠償を命じる判決を言い渡しました。
北岡さんは、障害福祉業界ではかなり有名で圧倒的な力のある人で、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会の委員などを務めていました。障害者のアート「アール・ブリュット展」を展開した立役者であると私は思っています。
北岡さんが中心になっていたのだと思うのですが、アメニティフォーラムという研修会が毎年1回、全国の支援者・関係者を対象に滋賀県の大津プリンスホテルで行われています。それは、それは大きな研修会で、そこに出席すると、これから少し頑張れるぞ~という気分にさせられるものです。この場所で、アール・ブリュット展が開催されたのを機に、障がいのある人のアートが注目され始めたのを覚えています。私にとっては、とても有意義な研修会で、最新の情報を得られる場所なのです。
滋賀県は「この子らを世の光に」と障がいのある人を隔離収容するのではなく、障がいのある人、一人ひとりの要求を大切にした人、糸賀一雄さんの実践により、福祉の最先端の県であると認識していました。私にとって滋賀県は特別な県で、岐阜県より10年20年先を歩んでいる県でした。ですから滋賀県で大きな研修会が開催されるという事は、福祉の世界では当たり前だったのです。しかし、そんな滋賀県代表の北岡さんが実際にはこんなことをしていたのかと残念で仕方ありません。
人はミラーボールの様にいろいろな側面を持っていると作家の一穂ミチさんが先日テレビで話していましたが、確かにその通りです。しかし、障がい者の支援をしている人が、人を大切にできないという事は情けない限りです。偉くなった人は何をしてもいいわけではありません。誰かもっと早くに彼を止められなかったのでしょうか?
2023年5月に大きく報道されました障がい者のグループホーム「恵」の問題もしかりです。十分な食事を提供しなかった事や不正請求をした事などで指定取り消しが決まりました。その後、譲渡先が決まり、そのままグループホームは経営されるようです。行政の方のご尽力で、障がいのある人・ご家族が困ることなくスムーズに移行できるようです。一安心と関係者は胸をなでおろしています。 障がいのある人は、環境が変化すると対応するのが困難な方もいらっしゃいます。それが回避できて本当に良かったと思います。しかし、誰もこのような違法な行動を止められなかったのでしょうか?障がいのある人たちは、ひどい扱いをされたのです。決して現場の支援者が悪い訳ではありません。
岐阜のグループホームについては、私自身は、良い話しか聞いていませんでした。ただ、支援者がよく変わるということは、漏れ聞いていました。その理由が経営のやり方だったのかもしれません。障がいのある人を守るための課題は次々と出てきます。