vol.222 地球規模で「食」を考えてみる


「好き嫌いはダメ」「食べ残しはやめなさいい」。そう教えられて育った人も多いのでは?そして、子どもたちへも同じように「食べ残しはダメだよ」と言いますよね。食べ残しをしてはいけない理由を聞かれたらみなさんはなんと答えていますか?

多くの人は「恵まれない地域の子どもたちは十分に食事ができていないんだから」と伝えているかもしれませんが、正直子どもはピンときていないかも…。

食べ残しがダメな理由①「食品ロス」

「食品ロス」というのは、本来食べられる食品が捨てられてしまうこと。

いま全世界では、毎年13億トンの食品が捨てられていて、そのうちの3分の1はまだ食べられる食料です。たくさんの食品が捨てられているにも関わらず、世界人口の約8億人、9人に1人が栄養不足、飢餓状態にあると言われています。

食べ物を多く捨てている国がある一方、全く食べれていない人や国もあるというアンバランスな状態が今の世界の現状です。学校のクラスに例えると、1クラスが40人だとしたら、クラスメートのうち4人は毎日朝ごはんも給食も夜ご飯も、十分に食べられていない状態なのです。

食べ残しがダメな理由②「お金と環境問題」

食べ物を捨てれば捨てるほど、コストがかかるのです。日本では、廃棄した食料は焼却しますが、その焼却するということ自体にお金がかかります。

この処理コストには、私たちの税金が使われています。日本は食料自給率が低く、わざわざ海外から輸入して食料を買っているにも関わらず、多く捨ててしまっているのも問題です。買うコストと捨てるコストの両方で大きなお金を使っていることになります。食品ロスを減らすことは家計の負担を軽くすることにも繋がります。つまり、食品ロスが増えることにより皆さんのお金の負担は大きくなりますし、減れば減るほど負担が軽くなるということです。

A:外国産の物は飛行機や船で輸入され、運ぶ距離が長くなり、地球温暖化の原因のCO2をたくさん排出してしまいます。

食べものがどのくらいの距離を運ばれてきたかを表す指標を「フードマイレージ」といいます。距離が長いほどガソリンなどの燃料を使うので、地球温暖化の原因のCO2を排出してしまいます。
そして、食べものをどのくらい自国でまかなっているかを表す指標を「食料自給率」といいます。現在日本はカロリーベースで40%、生産額ベースで70%です。カロリーベースでは60%も海外に依存していることになります。食料自給率は、8月15日の終戦記念日に農林水産省から発表されるので、毎年チェックすることも覚えておいてね。
輸送のために排出するCO2を減らすためにはもちろん、安全保障の面からも食料自給率は大切です。現在、世界人口が増えており、2050年には90億人になるといわれ、食糧不足が心配されています。すでに自国を守るため、日本に輸出をしないと宣言した国が20カ国以上あり、今後60~70カ国は輸出しなくなります。
そして、経済の豊かな国が台頭しており、これまでは日本の商社が外国の食品を買っていましたが、買い負けをしています。
水道・電気・ガスなどのライフラインや、食糧が途絶えてしまう危機は、我々は実際に経験しています。安全保障の面を考えることも、食育には重要なのです。
食料自給率を上げるためには、お米を食べること、国産かを確認して買うことが大切ですが、現在、日本は「地産地消」と言っている場合ではなくなってしまいました。

「もったいない」は世界共通語。食べ物は生き物だから、最後まで感謝の気持ちを持っていただきたいですね。安易に捨てることは控えたいものです。Shoku-ikuより


「食」という字の成り立ちをみると、上の「人」の部分は「集めてふたをすること」を表し、下の「良」の部分は「穀物を盛ったさま」を表している。「食」はこの二つの意味を合わせた会意文字で、容器に入れて手を加え、柔らかくして食べることを意味するのだそうだ。

「食」という字の「良」の意味が「穀物を盛ったさま」なのに、それがなぜ「良い」という意味になるのだろうとさらに調べてみると、「食」の「良」と、「良い」の「良」は形は同じなのだが、成り立ちも意味もまったく違うものだったのである。

「良い」の「良」は、丸い穀粒を水で洗い、きれいにしたさまを表すのだそうで、そこから「けがれのない穀物」の意味となり、「良い」となったのだ。

ついでに、「良い」と同じ意味の「善」も調べてみた。すると、「善」は「たっぷりと見事な供え物」が原義で、これも食べ物に関係し、そこから「よい、すばらしい」という意味になっている。

つまり、「良い(善い)もの」は、けがれのない豊富な食物に由来しているというわけ。これは、美しい自然の豊かな恵みである食物こそ良い(善い)ものである、と遠い昔から尊ばれてきたことを表しているようで、なにやら嬉しくなってしまった。

土や海を相手に暮らしていると、自然は「良いもの」をふんだんに用意してくれていると本当にそう思う。
けれど、人間が自然に余計な手出しをして、せっかくの「良いもの」を台無しにし、自分で自分の首を締めている、というそんな状況ばかりが目につく。食が自然から切り離されていたのでは、人を良くするどころではないだろうに…。

なんていまさら愚痴をいっても仕方がない。せめて子どもたちには、この「良いもの」を食べてもらいたいと思う。そうすれば、食は人を良くする、はずだ。   Sophia Forestより