vol.220 熱中人 滝本 知奈美さん

楽器を演奏・合奏できたら人生が豊かに過ごせると思いませんか?
サックスは始めやすい楽器です。とりあえず誰でも大体音は出ますから。でも、そこから音を作っていくところが難しい楽器です。
また、今習いに来られている方でも、誰一人同じ音の人はいません。声くらい音色が違うのです。それだけ音色の差の出る楽器も少ないと思っています。そこがまたサックスの魅力であり、自分の音を作っていくことがこの楽器の醍醐味です。要するに、音が出てから工夫がいる楽器です。
私は、大学の3年生の時、「成人式の着物はいらないから楽器を買ってほしい。」 と親にたのみ、この楽器を買ってもらいました。その当時師事していた先生も、同じ楽器を使っていらして「この楽器で自分しか出せない音を探しなさい」って助言され、必死に練習しました。
後に、ジャズを師事した先生には、「音符と音符の間がどうなっているか、そのニュアンスまでコピーしろ」と教えられました。そこに注意したことで、音やリズムはあっているはずなのに、自分が吹いたものが、CDとはまるで違う演奏になってしまうのか?ということの理由がやっとわかりました。

10人いたら10通りの音色がある
音色の違いは、楽器や、リードやマウスピースなど道具の違い、さらには、楽器の金属の練り具合とか、重み、ネジの一個の材質とか、そういうものでも変わってきます。信じられないかもしれませんが、首から楽器をぶら下げるストラップ一つでも変わります。
同じ道具を使ったとしても、吹く人によっても音色は全然違います。その人の骨格、息の出し方とか、音色が決まるには様々な要素があります。
また、誰にも憧れの音があるものです。あの人みたいに吹きたいとか。だけど絶対一緒にはならないものです。だからこそ、個性が出ますし、みんなが自分の音を見つけてほしいなと思います。

吹けない理由は、自分以外にあることが多い
大人の方で、せっかく楽器を手に入れても、やめちゃう人が多いのが気になっていました。
その原因は、吹けない原因が自分以外のところにあることが結構多いからです。
例えば、リードやマウスピースがその人にあっていなかったり、つけ方が悪いとか、構え方が悪かったり、楽器の調子が悪くなってきているということです。
初歩の段階で音が出ないことを自分が悪いと思い込んで、「あーやっぱり向いてなかった、サックスって難しいわ」といって辞めてしまいがちです。
ですから、このようなことでつまずかないように、この教則本では、音を出す以前のところに多くのページ数を使っています。

度胸が身につくステージが上達への近道
それから、上手になるには、一人で悩まないようアドバイスをくれる先生と仲間、そして演奏の機会を持つことですね。人前で演奏する機会があるとグッと上達します。目標があることはともて重要です。本番に向けて絶対にこの日にこの曲を吹けるようにする!と気合も入り、練習も集中力が上がりますしね。一回ステージに上がると次の日から変わります。それは不思議なもので、必ずみんな上手くなります。 それはレッスンを何十回受けてもわからないことが、場数を踏むと自分でわか
るようになるからだと思います。

音楽があふれる街って素敵ですよね
私の目標は「人が集まるところに音楽が自然発生する世の中になること」です。生徒の皆さんには「街の音楽家」になってもらいたいなということ。ここで教えている生徒さんたちが、自分たちで企画して、演奏会ができるようになるようサポートしていきたいですね。プログラムの組み方とか、ステージマナーとか、そういった演奏会を行うための目に見えない準備の部分って実はとっても大事です。あちらこちらで演奏が聴かれるようになると、まさに「音楽の街・各務原」ですよね。こうしたことの積み重ねがその街の文化を創生していくのだと思います。